内定は嬉しい。でもオファー面談で提示された年収が、想定より低い。このまま承諾していいのか。交渉したら心証が悪くなるのか。
先に一番大事なことを言う。交渉できるのは今だけだ。承諾した後の蒸し返しはできない。だから、この面談の前後で何をどう言うかを書く。
先に一文で。オファー年収が低い時は承諾前が唯一の交渉機会で、内訳の確認→根拠つきの希望提示→通らなければ年収以外の条件か辞退判断、の順で動く。
この記事の要点
- 交渉のタイミングは承諾前だけ。入社後に取り返す計画は不確実だ
- まず内訳を確認する。額面の錯覚(残業代込み・賞与の扱い)が結構ある
- 通る交渉は根拠つきだけ。現年収・他社提示・業務範囲の3つが武器になる
- 通らない時は、年収以外の条件か、断る判断へ進む
手順1、怒る前に内訳を確認する
提示額を見て低いと感じたら、まず額面の中身を確認する。ここで錯覚が解けることが割とある。
- 残業代の扱い|現職が残業代込みの額面で、提示額が基本給ベースなら、比較がずれている。逆もある(固定残業代込みで高く見える提示)
- 賞与の算定|賞与が業績連動か固定か。想定年収に賞与が含まれているか
- 昇給の実績|初年度は低いが昇給が早い会社もある。制度でなく実績を聞く
比較するのは手取りの実額と、5年後の見込みだ。ここを揃えてもなお低いなら、交渉に進む。
手順2、根拠つきで希望を伝える
交渉で通るのは、感情でなく根拠だ。使える根拠は3つある。
- 現年収|「現職の年収が◯◯万円のため、同水準以上でご相談できないでしょうか」。下がる転職を求められているなら、これが一番自然な根拠になる
- 他社の提示|「他社から◯◯万円の提示をいただいており、御社が第一志望のため相談したい」。事実である場合に限る。嘘は後で自分を焼く
- 業務範囲|求人票より広い業務・重い役割を打診されているなら、「この範囲を担うなら」という形で載せられる
言い方の型はこうだ。「承諾したい気持ちが前提にある。ただこの1点だけ相談したい」。ゴネる人でなく、入社したいから調整したい人として話す。これで心証の問題はほぼ消える。
手順3、通らない時は年収以外を取りに行く
企業には給与テーブルがあり、枠を超えられないことも多い。その時は、同じ価値を別の形で取る。
- 入社一時金(サインボーナス)|テーブル外で出せる会社がある
- 半年後の見直し確約|「入社半年後に評価の上で見直す」を口頭でなく条件に入れてもらう
- 等級・役職の調整|同じ額でも等級が上なら、次の昇給の起点が変わる
- リモート・残業条件|金額に換算できる働き方の条件
私自身、4社目は年収を下げてリモートと育休制度を取った。年収は条件の1つであって、全部ではない。ただしそれは、他の条件を意識して選んだ場合の話だ。何も取らずにただ低い提示を飲むのとは違う。
手順4、断るラインを先に決めておく
交渉しても届かない時のために、ここを下回ったら断るというラインを面談前に決めておく。基準は2つだ。
- 生活が成立するか|固定費と手取りの計算。感覚でなく数字で
- 下がる理由に納得できるか|業界水準・未経験ハンデなど説明がつくか。説明がつかない安さは、入社後の扱いの予告でもある
断る場合の伝え方は簡潔でいい。「条件面で折り合わず、今回は辞退させていただきます」。理由を洗いざらい話す義務はない。
なお、オファー面談で聞くべき項目の全体はオファー面談で聞くこと、服装や当日の準備はオファー面談の服装で書いた。提示条件と求人票が食い違っている場合は交渉でなく確認の問題なので、内定通知と労働条件が違う時を読んでほしい。
よくある誤解
「年収交渉は生意気だと思われる」。企業側は採用予算の範囲で低めに出すことが普通にあり、交渉は想定内の行為だ。むしろ、条件を確認せず承諾して入社後に不満を漏らす方が、双方にとって損になる。
「入社してから頑張って上げればいい」。昇給は評価制度・会社業績・上司の裁量に依存し、あなた1人の頑張りでは決まらない。承諾前の交渉は自分の意思だけでできる最後の機会で、ここで決まった額が今後の昇給の起点になる。起点の差は、年を追うごとに開く。
よくある質問
メールと面談、どちらで交渉すべきですか?
一次の相談は面談(口頭)が通りやすく、合意した内容は必ず書面(メールか条件通知書の再発行)で残す。口頭の合意だけで入社するのは、後で言った言わないになる典型の型だ。
現年収を偽って高く伝えてもバレませんか?
やめておく。源泉徴収票の提出などで矛盾が出る可能性があり、発覚すれば信頼どころか内定自体が危うくなる。現年収が低いこと自体は恥ではないし、根拠は他社提示や業務範囲でも作れる。
転職の資料をLINEで無料配布中
年収交渉の文例集(現年収・他社提示・業務範囲の3パターン)を公式LINEで無料配布している。交渉の窓は承諾前の今だけ開いている。1回の相談で、5年分の起点が変わるんよ。

