昇進の打診が来た。周りは祝福ムードだが、正直、受けたくない。断ったらどうなるのか。クビ?窓際?それとも普通に働ける?
現実を順に言う。断れる。クビにはまずならない。ただし断り方で、その後の景色が変わる。私は昇格も経験し、その後のレースからは自分の意思で降りた人間だ。両側から書く。
先に一文で。昇進の打診は業務命令より断る余地が広く、辞退を理由にした解雇は法的に極めて難しいが、印象のリスクは残るため、感謝+今はできない理由+別の形の貢献の3点で断るのが正解だ。
この記事の要点
- 昇進辞退だけを理由にしたクビ・降格は、法的に立たない
- 残るのは印象のリスク。だから断り方が9割になる
- 型は3点セット。感謝→時期・形の理由→貢献の意思
- 断り続ける生き方もある。ただし会社選びとセットで考える
断るとどうなるか。法と現実を分けて見る
法的には。昇進は異動命令と性格が違い、本人の意欲・適性を前提にした打診の色が濃い。辞退を理由にした解雇は、解雇に必要な客観的合理性を満たさず、まず立たない。降格や減給も、辞退への報復として行われれば不利益取り扱いの問題になる。
現実には。印象は残る。「意欲がない」と読まれれば、次の打診が来なくなる、育成投資の対象から外れる、重要案件の割り振りが変わる。これは制裁でなく、会社側の合理的な再配置として起きるので、防ぎようは断り方の側にしかない。
断り方の型。3点セットで角を消す
1、感謝から入る。「お声がけいただき、ありがとうございます。評価いただけたことは素直に嬉しいです」
2、理由は「今はできない」に変換する。
- 時期型|「子どもが小さく、今はマネジメントに必要な時間を確保できません。数年後には状況が変わります」
- 適性・志向型|「現場の専門性をさらに深めたい時期で、プレイヤーとして貢献する方が力を出せると考えています」
- 健康型|「体調面で、責任範囲を広げるのは今は難しい状況です」
3、貢献の意思で締める。「今のポジションで、成果でお返しさせてください」
全否定(管理職はやりたくないです)は、次の機会ごと閉じる。時期と形の話にすれば、評価も関係も選択肢も残る。この違いが、断り方の9割だ。
断る前に、1つだけ確認してほしいこと
断りたい理由が不安なら、断る前に不安の中身を見てほしい。責任が怖い・自分に務まる気がしない・残業が増えそう。この種の不安は、昇進の実像を知らないことから膨らんでいる場合がある。打診の場で聞いていい質問(業務量の実際・裁量・サポート体制)を聞いてから決めても遅くない。責任と重圧への不安が主成分の場合は昇進が不安・憂鬱な時の記事を先に読んでほしい。
一方、理由が志向(マネジメントでなく専門で生きたい・時間を家庭や副業に使いたい)なら、それは立派な判断だ。私は4社目で、昇進レースより リモートと育休の取れる働き方を選んだ。その選択が、副業を育てる時間になり、いまのフリーランスにつながっている。昇進だけが上がり方ではない。
断り続けるなら。キャリアの形をセットで考える
1回の辞退は挽回可能だが、断り続けるなら、会社との相性の問題になっていく。
- 専門職コースの有無|管理職にならずに等級が上がる複線型の制度がある会社なら、断り続ける働き方が制度として成立する
- 年功と昇進が一体の会社|断り続けると昇給も止まる作りの会社では、時間とともに不利が積もる。管理職にならない場合の年収の現実は管理職になりたくない人の年収の記事で書いた
- 市場との接続|専門性で生きると決めたなら、社内の評価より市場の評価(スカウトの反応・副業の実績)を物差しに加える方が、判断がぶれない
よくある誤解
「一度断ったら、二度と打診は来ない」。断り方による。時期型で断って関係を保った人には、状況が変わった頃に再打診が来ることは普通にある。全否定で断った場合だけ、リストから消える。
「断ったら周りに白い目で見られる」。昇進を望まない働き方は年々一般化していて、辞退自体が珍しい時代ではなくなった。見られ方を決めるのは辞退の事実でなく、その後も変わらず成果を出しているかどうかだ。
よくある質問
打診でなく、内示として一方的に昇進が決まっていました
昇進が発令の形で来る会社もある。その場合も、受けられない事情があるなら内示段階で相談する価値がある。動き方は異動の内示の記事の「内示は最後の調整期間」の考え方がそのまま使える。
昇進したのに給料がほぼ上がりません。断ればよかったでしょうか
役職手当と残業代の関係(管理監督者扱いで残業代が消える)で、昇進後に実質の時給が下がる現象は実在する。これから打診を受ける人は、報酬の変化を具体的な数字で確認してから返事をすることだ。確認は失礼ではなく、引き受ける側の当然の実務になる。
転職の資料をLINEで無料配布中
昇進の打診への返事テンプレ(受ける前の確認リスト・断る3型の文例)を公式LINEで無料配布している。断ることは、降りることじゃない。自分の上がり方を選ぶ、という話だ。

