休職期間がそろそろ終わる。でも、あの職場に戻る気になれない。復職せず、このまま転職してしまうのはありなのか。

私のDMに届く休職関連の相談でも、この形は繰り返し出てくる。まとめると迷いは1つだ。戻らず動く直行と、一度戻ってから動く復職経由、どっちが損をしないのか。両方の損得を並べる。

先に一文で。休職明けの直行転職は可能だが回復の証明と体調の両面で不利が乗るため、原因が職場環境そのものにある場合を除き、復職して勤務実績を作ってから動く方が安全だ。

この記事の要点

  • 直行は可能。ただし勤務実績がなく、回復の証明が難しい
  • 環境変化のストレスが回復直後に乗るのが、直行最大のリスクだ
  • 直行していいのは、原因が職場環境で、主治医も賛成している場合
  • 迷ったら復職経由。数ヶ月の通常勤務が最強の証明になる

直行の弱点は2つ。証明とストレス

弱点1、回復の証明材料がない。面接で休職に触れることになった場合(伝えるかどうかの整理はこちら)、一番強い答えは「復職後◯ヶ月、通常勤務を続けています」という実績だ。直行だとこのカードがなく、「回復しました」が自己申告のままになる。採用側から見ると、確認のしようがない。

弱点2、環境変化のストレスが回復直後に乗る。転職は健康な人でも消耗する行事だ。新しい人間関係、新しい業務、成果を早く出したい焦り。回復したての時期にこれを浴びると、せっかく戻した体調をまた崩す危険が一番高い。休職→直行転職→新天地で再発、が最悪のループになる。

それでも直行を選んでいい条件

直行が合理的になるケースもある。条件はこの2つが揃った時だ。

  • 休職の原因が、明確に今の職場環境にある。パワハラの加害者が居続ける、長時間労働の是正が見込めない、など。戻ること自体が再発の引き金になる場合、復職経由の安全性は成立しない
  • 主治医が、環境を変える方向に賛成している。回復の判定は自分の感覚でなく、診てきた専門家の判断に置く

私自身、1社目のブラック企業を1年以内に離れた。休職ではなかったが、環境そのものが原因の消耗は、環境を出ないと終わらないことは体で知っている。原因が場所にあるなら、戻らない選択は逃げではない。

ただしその場合も、退職→療養の続き→回復してから活動開始の順で、退職と転職活動の間に回復期間を挟むこと。直行の「すぐ」を、退職と活動開始の間まで詰めないでほしい。

復職経由の型。数ヶ月の勤務実績を作る

原因が環境だけと言い切れないなら、復職経由が安全だ。動き方はこうなる。

  1. 復職して、まず勤務を安定させる。転職活動はまだ始めない
  2. 通常勤務が数ヶ月続いたら、活動を開始する。この時点で「復職後◯ヶ月、支障なし」が言える
  3. 在職のまま、細く長く活動する。収入が途切れず、焦りで妥協する事故が減る

復職経由の副産物は、選択肢が増えることだ。働けている状態なら、「残る」も選択肢に戻る。休職前は無理だと思っていた職場が、体調が戻ると違って見えることもある。戻ってみて、やはりダメなら動く。この順番は遠回りに見えて、判断の質が全く違う。

復職そのものへの恐怖が大きい場合は、休職からの復職が怖い時を先に読んでほしい。

直行する場合のお金と手続き

直行(復職せず退職)を選ぶ場合、お金の段取りが重要になる。

  • 傷病手当金|在職中に受給を始めていれば、条件を満たすと退職後も継続受給できる場合がある。退職日までの手続きで結果が変わるので、辞める前に必ず健保組合に確認する。詳細は傷病手当金の記事で書いた
  • 失業保険|病気ですぐ働けない場合は受給期間の延長手続きがある。療養を挟むなら忘れずに
  • 社会保険の切り替え|任意継続か国保かで保険料が変わる。退職前に両方の試算を

お金の準備は、焦らないための準備だ。手当と貯金で療養期間を賄えると分かっていれば、回復を待たずに妥協の転職へ飛び込む事故が減る。

活動を始めた後の消耗にも、備えておく

休職からの転職活動は、不採用の通知が体調に直撃しやすい。活動を始めてから消耗が心に来たら、転職が決まらなくて病みそうな時を読んでほしい。活動を止める判断も含めて、守り方を書いてある。

よくある誤解

「復職せず辞めたら、逃げ癖がつく」。原因が職場環境なら、離れるのは治療の一部であって癖の問題ではない。逆に、環境が原因なのに根性で復職して再発する方が、回復もキャリアも遠回りになる。

「休職明けの転職は、面接で必ず休職を聞かれる」。聞かれないことも普通にある。自分から言う義務は原則なく、聞かれた時に嘘をつかない準備だけしておけばいい。線引きの全体は休職を転職先に伝えるべきかが担当だ。

よくある質問

休職中に転職活動を始めて、内定をもらってから辞めるのは?

法的に一律で禁止されてはいないが、休職は療養のための期間なので、就業規則との関係と、療養に使うエネルギーを削る問題がある。何より、回復しきる前に入社日が確定するのが危ない。やるなら主治医に活動可否を確認し、入社日は回復を優先して交渉すること。

復職して数ヶ月働きましたが、やはり辞めたいです

それは休職明けの直行ではなく、勤務実績を持った普通の転職だ。堂々と動いていい。復職後の勤務が安定している事実が、あなたの一番の武器になっている。

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