履歴書を最後の欄まで書き終えた瞬間、誤字に気づいた。1時間かけた紙だ。二重線と訂正印で直せば、出せるんじゃないか。

先に答えを言う。選考書類は書き直し一択だ。二重線も訂正印も、履歴書では減点に働く。理由と、時間がない時の現実解まで書く。

この記事の要点

  • 二重線+訂正印は契約書の作法。選考書類では丁寧さの減点になる
  • 修正液・修正テープは論外。改ざん可能な書類として扱われうる
  • 原則は新しい用紙への書き直し。時間がないならパソコン作成へ切り替える
  • 書き損じを防ぐには、下書き→通し確認→清書の順で書く

なぜ訂正印がダメなのか。書類の性格が違う

二重線に訂正印という作法自体は、間違いではない。契約書や社内の届け出では、それが正式な直し方だ。実際、退職届の訂正の書き方では、届の性格に応じて訂正印の使いどころを書いた。

だが履歴書は性格が違う。選考書類は、内容と同時に「仕事の丁寧さの見本」として読まれる。訂正跡が伝えるのは、書き間違えた事実そのものより、「書き直す手間を惜しんで、直した紙を顧客(応募先)に出す人だ」という情報になる。数十円の用紙と30分を惜しんだ、と読まれたら、その減点は誤字1文字の重さを超える。

修正液・修正テープはさらに悪い。公的な書類として、後から書き換え可能な状態は信頼性を損なう。選考の土俵に乗る前の形式ではじかれる危険すらある。

書き直しの判断。間違えた場所で優先度が変わる

とはいえ全ての誤字が同罪ではない。書き直しの優先度を整理しておく。

  • 氏名・生年月日・企業名の誤り→問答無用で書き直す。ここの間違いは丁寧さ以前に、確認力の疑いに直結する
  • 学歴・職歴の年月の誤り→書き直す。経歴の正確性は選考の土台だ
  • 志望動機・自己PR内の誤字1文字→原則書き直す。ただし提出期限との兼ね合いで、次の妥協案の検討余地はある

妥協案は2つだ。1つ目、パソコン作成への切り替え。手書き指定がなければ、パソコンで作り直す方が手書きの再挑戦より速く、誤字はその場で直せる。いまの転職市場で、パソコン作成の履歴書は普通に通用する。2つ目、どうしても手書き・当日提出なら、二重線+訂正印の正式作法。修正液よりはましという次善で、減点込みで出す判断になる。

提出した後に間違いへ気づいたケースは、直し方の話ではなく連絡の話に変わる。提出後に日付の間違いへ気づいた時が担当だ。

書き損じを防ぐ手順。清書は最後の20分だけにする

そもそも書き損じは、いきなり清書するから起きる。順番を変えれば激減する。

  1. コピーかメモ用紙で下書きする。全項目を一度別の紙に書き出す
  2. 下書きを声に出して読む。目視より誤字の検出率が上がる。特に年号と固有名詞
  3. 日付・宛先・年号だけもう一度照合する。間違いの頻発地帯はこの3つだ
  4. 清書は、写す作業に徹する。考えながら書くから間違える。清書の時は思考を止めて、写経のように書く

この手順なら、清書での書き損じはほぼ消える。万一やってしまっても、下書きが残っているので書き直しは速い。

なお、本体は完璧なのに封筒で書き損じた場合の扱いは封筒の書き損じは買い直すべきかで書いた。封筒と本体では、判断が少し変わる。

よくある誤解

「1文字の誤字くらい、読み手は気にしない」。半分だけ正しい。内容が強ければ誤字1つで落とされはしない。だが書類選考は相対評価で、同レベルの応募者が並んだ時、訂正跡のない書類と訂正印の書類なら前者が残る。誤字は落ちる理由の主犯にはならないが、僅差の敗因には普通になる。

「手書きの方が熱意が伝わるから、書き直しも手書きで」。手書きの熱意評価は、いまの転職市場ではかなり限定的だ。指定がない限り、読みやすく修正しやすいパソコン作成の方が、実利で勝る。熱意は書式でなく、志望動機の中身で示す方が確実に届く。

よくある質問

写真を貼った後に書き損じに気づきました。写真は剥がして再利用できますか?

きれいに剥がせれば再利用して構わない。ただし糊の跡や角の折れが出た写真は、新しい書類の上で悪目立ちする。剥がして傷んだ場合は、写真も新しくする方が全体の仕上がりを守れる。証明写真のデータを残しておくと、この場面で焼き増しが楽になる。

市販の履歴書の予備がありません。コンビニで買えますか?

買える。コンビニ・100円ショップ・文具店のどれでも履歴書用紙は手に入る。深夜に気づいてもコンビニで調達できるので、書き直しを諦める理由にはならない。パソコン作成に切り替えるなら、テンプレートを印刷するだけなので用紙の調達すら不要になる。

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