職務経歴書を書こうと机に向かった。で、固まる。前職で何をやっていたか、細かく覚えてない。売上?件数?数字なんて全然出てこない。

その状態は、記憶力の問題ではなく手順の問題だ。記憶から書こうとするから出てこない。記録から掘れば、思ったより残っている。掘り方を全部書く。

先に一文で。覚えてない職務経歴は、メール・カレンダー・給与明細・写真・同僚など7つの記録経路から掘り起こせて、会社の数字は公開情報で確認し、わからない数字は創作せず概算か省略で処理する。

この記事の要点

  • 記憶でなく記録から掘る。経路は7つある
  • 一番強いのは自分の送信メールと過去のカレンダーだ
  • 会社の売上・資本金は公開情報で確認。非公開なら書かなくていい
  • 思い出せない数字の創作は厳禁。概算表記の作法で逃がす

掘り起こしの7経路。強い順に

1、送信メール・チャット履歴。自分が送った文面は、当時の業務の一次記録そのものだ。前職のアカウントが消えていても、私用に転送していたもの、個人のGmailでのやり取りが残っていることは多い。

2、カレンダー・スケジュール帳。過去の予定表には、会議名・案件名・繰り返し業務がそのまま残っている。GoogleカレンダーやOutlookの過去表示は、業務の時系列の再現装置になる。

3、給与明細。残業時間の推移から繁忙期が、手当から役割(役職手当・資格手当)が辿れる。捨てていなければ、実態の証拠として最強クラスだ。

4、スマホの写真。職場の風景、ホワイトボード、成果物、送別会。写真のタイムスタンプと写り込みから、担当案件と時期が復元できることがある。

5、SNSの過去投稿。仕事の愚痴や達成の報告は、当時の業務のログでもある。自分の過去投稿を職歴の資料として読み直す。

6、当時の同僚。「職務経歴書を書いてるんだけど、あの頃って何やってたっけ」の一言で、驚くほど記憶は戻る。他人の記憶は自分の記憶の外部ストレージだ。関係が残っている同僚が1人いれば十分機能する。

7、会社のサイト・アーカイブ。担当していた商品・サービス・プロジェクトの痕跡は、会社の発信に残っている。過去のページはWayback Machine(インターネットアーカイブ)で辿れることもある。

会社の数字。調べ方と、書かない判断

職務経歴書の会社概要欄(売上高・資本金・従業員数)が埋まらない問題は、こう処理する。

  • 上場企業|公式サイトのIR・有価証券報告書で確定できる
  • 非上場|会社サイトの会社概要→国税庁の法人番号公表サイト→登記情報の順で、資本金までは確認できることが多い
  • 売上が非公開|「非公開」が普通の状態なので、書かなくていい。従業員数と事業内容で規模感は伝わる

会社情報は採用側が照合できる情報だ。うろ覚えで書いた数字が違っていた時のダメージは、空欄よりはるかに大きい。

自分の数字。創作禁止と、概算の作法

担当件数や実績の数字が正確に思い出せない時、やっていいことと駄目なことの線を引く。

  • 駄目|それらしい数字の創作。「前年比120%達成」を記憶なしで書くと、深掘り質問で崩れ、経歴詐称の入口にもなる
  • いい概算表記。「月◯件程度」「約◯社を担当」「◯名規模のチーム」。概算は誠実な表記として普通に通用する
  • いい|数字が掘れない項目は、数字なしで役割と行動で書く。「新規顧客の開拓を担当し、初回訪問から契約までを一貫して行った」

掘り起こした事実の整理と清書はAIに任せると速い。ただし数字の創作をさせない使い方が絶対条件で、その役割分担はAIで作るとバレるのかの記事で書いた。

それでも薄い場合。書けない×覚えてないの複合

掘っても材料が薄いと感じるなら、原因は記憶でなく、書いていい基準を高く見積もりすぎている方かもしれない。実績と呼べる派手な数字がなくても、任されていた役割・繰り返しやっていた業務・後輩に教えたことは全部書ける材料だ。基準の下げ方は職務経歴書に書くことがない時で書いた。

よくある誤解

「10年前の職歴も詳細に書かないといけない」。直近の経歴ほど詳しく、古い経歴は要約でいい、が職務経歴書の標準の濃淡だ。10年前の会社は3〜4行の要約で構わないので、掘り起こしの労力も直近に集中させれば効率がいい。

「前職に問い合わせて確認するのは非常識だ」。在籍期間の確認程度なら、円満に辞めた会社へ問い合わせるのは普通にできる。人事に「転職手続きで在籍期間を確認したい」と連絡すればいい。気まずい辞め方をした会社なら、年金記録や雇用保険の加入記録(マイナポータルで見られる)から在籍期間は確認できる。

よくある質問

派遣でいろんな現場を転々としました。全部覚えていません

派遣元の会社に就業履歴の確認を頼めば、派遣先と期間の一覧は取り寄せられることが多い。全現場を書く必要はなく、期間の長いもの・スキルが今に繋がるものを選んで書き、残りは「その他◯社で事務業務に従事」とまとめていい。

思い出す作業が苦痛で進みません

1日で全部やろうとしないことだ。今日はカレンダーを見るだけ、明日は同僚に1通送るだけ、と経路を1日1つに刻む。1週間で7経路が終わり、材料は揃っている。

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