働き方を変えたいが、いきなり就職活動をする体力がない。訓練を受けながら準備できる場所があると聞いたが、どこをどう選べばいいのか分からない。

先に立場を書いておく。

*筆者の立場|私はこの制度の当事者ではないし、支援の専門家でもない。ここで書くのは、制度の位置づけと、事業所を選ぶときに確認する項目の整理だ。個別の状況に対する判断は、必ず公的な窓口や支援機関に相談してほしい。*

この記事の要点

  • 就労移行支援は公的な福祉サービス。利用料には上限がある
  • 選ぶ軸は2つ。扱う分野と、通所か在宅か
  • 1件目で決めない。複数見学して比べるのが前提の制度だ
  • 迷う段階なら、事業所より先に自治体の窓口が確実になる

制度の位置づけ。まずここを押さえる

事業所を選ぶ前に、この制度が何なのかを整理しておく。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく公的な福祉サービスだ。一般就労を目指す人が、訓練を受けながら就職の準備をする仕組みになる。

民間のスクールとは、性質がまったく違う。

  • 利用料に上限が定められている。前年の世帯所得によって決まり、多くの人が無料または低額で利用している
  • 利用には自治体の手続きが要る。受給者証の申請が必要になる
  • 利用期間に定めがある。原則として上限が決まっている

この3つを知らずに民間のスクールと比較すると、判断を誤る。数十万円を払う話ではないし、逆に思い立った日から始められる話でもない。制度の全体像は障害者雇用と一般雇用の違いにまとめた。

選ぶ軸は2つ。分野と、通所か在宅か

事業所は数が多く、しかも扱う内容が違う。絞る軸を先に決める。

軸1、扱う分野。事務、IT・Web、デザイン、軽作業など、事業所ごとに訓練の中身が違う。自分がどの方向で働きたいかで、選ぶ事業所が変わる。

軸2、通所か在宅か。通所を前提にする事業所が多い一方で、在宅で訓練を受けられる形に対応しているところもある。体調の波がある人、外出そのものの負担が大きい人には、この違いが決定的になる。

*クリックすると公式サイトが開く。在宅で学べる就労移行支援で、相談・見学から始められる。*

相談の流れ|① 公式サイトから相談・見学を申し込む → ② 訓練の内容と利用の条件を確認する → ③ 自治体の手続きを経て利用を開始する

manabyの在宅での訓練を見てみる

IT・Webの分野で、配慮を得ながら働く方向を考えている人には、その分野に絞った事業所もある。

*クリックすると公式サイトが開く。IT・Webスキルの職業訓練と就職支援を行う就労支援サービスだ。*

相談の流れ|① 公式サイトから相談・見学を申し込む → ② 訓練の内容と就職支援の範囲を確認する → ③ 自治体の手続きを経て利用を開始する

atGPジョブトレIT・Webを見てみる

どちらも、まず見学と相談からになる。申し込んだ時点で決定するものではない。

見学で確認する項目。5つでいい

複数見学するのが前提の制度なので、比べる項目を先に持っておく。

  1. 訓練の中身は具体的に何をするのか——1日の流れを聞く。座学中心か、実践中心か
  2. スタッフの関わり方——個別に相談できる時間があるか。何人を1人で見ているか
  3. 就職の実績——どんな職種・雇用形態で決まっているか。数字だけでなく中身を聞く
  4. 就職した後の支援——定着支援があるか。入った後に相談できる相手が残るか
  5. 通所の負担——通える距離か。在宅を併用できるか

特に3と4を聞いてほしい。就職した人数だけでは、どういう働き方に着地したかが分からない。そして入った後に続くかどうかは、定着支援の有無で変わる場面がある。

見学は1件で決めない。2〜3件見ると、比較の基準が自分の中にできる。

迷っている段階なら、公的な窓口が先になる

ここは強めに書いておく。そもそも制度を使うべきかを迷っている段階なら、事業所に問い合わせる前に公的な窓口の方が確実だ。

  • お住まいの自治体の障害福祉窓口——利用料と手続きの確認ができる
  • ハローワークの専門援助部門——障害のある求職者向けの相談窓口がある
  • 地域障害者職業センター——職業評価や職業準備支援を行っている
  • 障害者就業・生活支援センター——就業面と生活面の両方を相談できる

これらは報酬が発生しない選択肢だが、同じ扱いで並べておく。むしろ最初の入口としては、こちらの方が全体像を把握しやすい。

手帳の有無や診断の段階で使える制度が変わるため、まず窓口で自分の状況を伝えるのが最短になる。体調に症状が出ていて受診自体を迷っている人は、仕事のストレスで何科に行けばいいかを先に見てほしい。

学び直しの制度と混同しない

似た仕組みに見えて、まったく別の制度がある。混同すると、使えるはずのものを見落とす。

  • 就労移行支援——障害者総合支援法に基づく福祉サービス。訓練と就職準備
  • 職業訓練(ハロートレーニング)——雇用保険の枠組み。求職者向けの職業訓練
  • 教育訓練給付金——雇用保険の被保険者期間などの条件を満たす人が、指定講座の受講料の一部の給付を受けられる制度

どれが使えるかは、雇用保険の加入歴や現在の状況によって変わる。教育訓練給付金の全体像は教育訓練給付金の完全ガイドにまとめた。併用や順番については、必ず窓口で確認してほしい。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

事業所を途中で変えることはできますか

制度上、事業所の変更は可能とされている。合わないまま通い続ける方が、訓練の効果も体調も落ちる。ただし手続きが要るため、変更を考えた時点で、まず自治体の窓口か相談支援専門員に相談するのが手順になる。合わなかったのは自分のせいではなく、事業所との噛み合わせの問題である場合が多い。見学の段階で複数を比べておくと、この判断もしやすくなる。

訓練を受けている間、生活費はどうなりますか

就労移行支援そのものは訓練の場であり、賃金が支払われる仕組みではない。だから生活費をどう確保するかは、別に組む必要がある。障害年金、傷病手当金、家族の支援、貯蓄など、使える選択肢は個々の状況で変わる。ここも自治体の窓口や支援センターで一緒に整理してもらえる領域なので、一人で計算しないでほしい。

就職先は事業所が紹介してくれるのですか

事業所によって支援の形が違う。求人の紹介まで行うところ、応募書類や面接の準備を中心に支援するところがある。見学のときに「就職活動のどの部分を一緒にやってもらえるのか」を具体的に聞いておくと、後のずれが減る。ハローワークの専門援助部門と併用する形も普通に使われているんよ。

よくある質問

就労移行支援の事業所は、どう選べばいいですか?

扱う分野と、通所か在宅かの2軸で絞り、複数見学して比べる。1件目で決める必要はない。

利用料はいくらかかりますか?

公的な福祉サービスのため上限が定められており、前年の世帯所得で決まる。自治体の障害福祉窓口で確認できる。

通所が難しくても利用できますか?

在宅での訓練に対応している事業所がある。ただし条件は事業所と自治体で異なるため、相談の段階で確認する。

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