朝、体が動かない。頭痛と胃の不調が続いている。眠れていない。でも、この程度で病院に行っていいのか分からない。

先に答えを書く。行っていい。そして何科かで迷って動けなくなっているなら、内科でも心療内科でも、行きやすい方でいい。この記事は、受診の前に立ちはだかる「分からない」を全部つぶすために書いた。

なお私は医療の専門家ではない。診断も治療の判断もできないし、するべきでもない。ここに書くのは、受診にたどり着くまでの実務と、その後の働き方の選択肢だけだ。

この記事の要点

  • 心の症状が中心なら心療内科、身体の症状が中心ならまず内科でいい
  • 何科かで迷って動けないなら、かかりつけの内科でも問題ない
  • 受診の事実は、自分から言わない限り会社に自動では伝わらない
  • 診断書が出たら、まず就業規則の休職の項を確認する

何科に行くか。迷ったら内科でもいい

診療科の違いを、大まかに書いておく。

  • 心療内科——ストレスが原因で身体に症状が出ている状態を主に扱う。胃の不調、頭痛、眠れない、動悸など
  • 精神科——気分の落ち込み、不安、意欲の低下など、心の症状を主に扱う
  • 内科——身体の症状の入口。検査で身体的な原因の有無を確認できる

厳密な線引きは、医療機関によっても違う。心療内科と精神科を両方掲げているクリニックも多い。だからあなたが正しく振り分ける必要はない。

判断に迷う人への実務的な答えはこうなる。身体の症状が強いなら、まずかかりつけの内科に行く。検査をして身体的な原因が見つからなければ、そこから適切な科を紹介してもらえる。心の症状の方が強いと自分で感じているなら、心療内科を直接予約すればいい。

一番避けたいのは、どこに行くべきか分からないまま、何ヶ月も放置することだ。体重が急に落ちている、眠れない日が続いている、といったサインが出ている場合の危なさはストレスで痩せるのが危険なサインである理由に書いた。

予約が取れないときの現実的な対処

心療内科は初診の予約が数週間先になることがある。これで諦める人がいるが、対処はある。

  • 複数のクリニックに同時に問い合わせる。1件目で埋まっていても、2〜3件当たれば早い枠が見つかることがある
  • オンライン診療を検討する。対応しているクリニックがある
  • 会社に産業医がいるなら、産業医面談を使う。多くの場合、従業員は面談を申し出ることができる
  • 自治体の相談窓口を使う。保健所や精神保健福祉センターに相談窓口がある

待っている間に悪化しそうなら、行きやすい内科で先に相談する。順番はどうでもよく、医療につながることが先だ。

会社に知られるのかへの答え

これが受診をためらう最大の理由になっている人が多い。整理する。

受診しただけなら、会社には自動で伝わらない。健康保険を使えば健康保険組合に記録は残るが、それが人事や上司に共有される仕組みにはなっていない。

会社が関わるのは、次の場面からだ。

  • 休職を申請するとき——診断書を提出して手続きに入るため、会社が知る
  • 傷病手当金を申請するとき——会社の証明欄が必要になる場合がある
  • 産業医面談を利用するとき——産業医には守秘義務があるが、就業上の配慮が必要と判断されれば、必要な範囲で会社に伝わる

つまり、受診と、会社への申請は別の話になる。受診だけして、働き方は変えないという選択も普通にできる。先に受診して、それから考えればいい。

診断書が出た場合。何ができるようになるか

医師が必要と判断すれば、診断書が出る。これで選べる幅が広がる。

選択肢1、休職する。就業規則に休職の定めがあるのが一般的で、期間・給与の扱い・必要書類が決まっている。まず就業規則の休職の項を読む。社内サイトか総務で確認できる。給与が出ない期間については、健康保険の傷病手当金という制度がある。

選択肢2、働き方を調整する。残業の免除、業務内容の変更、配置転換など。診断書があると、会社は就業上の配慮を検討する必要が出てくる。

選択肢3、退職する。症状が職場環境そのものに起因していて、環境が変わる見込みがない場合の選択になる。

順番として、いきなり3を選ぶ必要はない。休職を挟んでから判断しても遅くないし、体調が戻ってからの方が判断の質は上がる。消耗した状態での決断は、後で見ると条件が悪いことが多い。

辞める場合の全手順はブラック企業の辞め方 完全版に、辞めた後の手続きは退職後の手続きを期限順に並べた全体マップにまとめてある。

受診をためらう理由への、個別の答え

よく聞くためらいに、順に答える。

「この程度で行くのは大げさではないか」——医療機関は重症度を自分で判定してから来る場所ではない。判定するのが医師の仕事だ。何もなければ「問題ない」と分かるだけで、それ自体が価値になる。

「薬を飲みたくない」——受診したら必ず薬が出るわけではない。処方についても、意向を伝えて相談できる。まず相談だけしに行くのは普通のことだ。

「診断がつくのが怖い」——気持ちとしては分かる。ただし、診断がつくことで使える制度がある。休職も傷病手当金も、診断がなければ使えない。名前がつくのは、選択肢が増えることでもある。

「自分が弱いだけだ」——環境の負荷に対して身体が反応しているだけで、強さの問題ではない。同じ職場で他の人が平気に見えるのは、負荷の量も耐性の質も違うからだ。

症状が出ている間に、キャリアの決断をしない

最後に、これだけは書いておきたい。

体調が悪いときに、重い決断をしないでほしい。辞める、引っ越す、資格を取る——どれも回復してから判断できる。消耗している最中の判断は、選択肢が狭く見える状態でのものになる。

順番はこうなる。①医療につながる ②休む ③回復してから考える。

キャリアの整理が必要になったときは「仕事辞めたい」と検索したあなたへに、状況別の案内をまとめてある。ただし今日の話ではない。今日は受診の予約だけでいい。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

心療内科に行くと、生命保険や住宅ローンに影響しますか

保険の加入時には健康状態の告知が求められ、通院歴や服薬歴が審査に影響する場合がある。ただし影響の内容は保険の種類と保険会社によって違い、一律に「入れなくなる」という話ではない。そして、その懸念のために受診を先送りして症状を悪化させる方が、長い目で見た損失は大きい。気になる場合は、加入を検討している保険会社に条件を確認した上で判断してほしい。

心療内科と精神科、どちらに行ったか周りに言うべきですか

言う義務はどこにもない。家族や親しい人に共有すると支えを得やすい面はあるが、職場に自分から言う必要はない。特に上司や同僚に伝えるかどうかは、その職場の空気次第で、伝えたことで扱いが変わる職場も残念ながら存在する。休職などの手続きで必要になる範囲だけ、必要な相手に伝えれば足りる。

産業医に相談すると、会社に筒抜けになりませんか

産業医には守秘義務がある。相談内容がそのまま人事に流れる仕組みにはなっていない。ただし就業上の配慮が必要と判断された場合、必要な範囲で会社に意見が伝わる。これは配慮を実現するために必要な経路であって、症状の詳細が共有されるわけではない。何をどこまで伝えてほしくないかは、面談の冒頭で産業医に直接伝えていいんよ。

よくある質問

仕事のストレスで体調が悪いとき、何科に行けばいいですか?

心の症状が中心なら心療内科、身体の症状が中心ならまず内科でいい。迷って動けないなら、かかりつけの内科でも問題ない。

病院に行ったことは会社に知られますか?

自分から申告しない限り、受診の事実が自動で伝わることはない。休職や傷病手当金の申請をする段階で会社が関わる。

診断書をもらったら、会社を休めますか?

医師が必要と判断すれば診断書が出る。就業規則の休職の項を確認し、期間・給与の扱い・必要書類を把握しておく。

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