体調を崩して休職することになった。傷病手当金が出ると聞いたが、いくらなのか、手取りはどのくらい減るのか、いつまでもらえるのかが分からない。生活できるのかが一番の不安だ。
額は給与の3分の2だが、税金がかからない。傷病手当金は給与の3分の2。手取りで見れば8割近く残る。月給別の早見表と、期間と手順を書く。
先に一文で。傷病手当金は標準報酬月額÷30×3分の2が日額で、月給30万なら月約20万・40万なら約27万、連続3日の待期の後4日目から通算1年6ヶ月、非課税なので所得税と住民税は引かれず、社会保険料だけ引かれるため手取りは給与の8割近くになる。
この記事の要点
- 日額=標準報酬月額の12ヶ月平均÷30×2/3
- 月給30万→月約20万、40万→約27万、50万→約33万
- 待期3日の後、4日目から。通算1年6ヶ月
- 非課税。社会保険料は引かれる。手取りは給与の8割近く
計算式
日額=支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2
標準報酬月額は、給与(基本給+残業代+通勤手当など)を等級に当てはめた額で、給与明細の総支給額に近い。加入12ヶ月未満なら、加入期間の平均か、健保の全員の平均(協会けんぽは30万円)の低いほう。
月給別の早見表
| 標準報酬月額 | 日額 | 30日分 | 給与の手取り(目安) | 手当金と手取りの差 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 4,444円 | 約13.3万円 | 約16.3万円 | −2.9万円 |
| 25万円 | 5,556円 | 約16.7万円 | 約20.1万円 | −3.5万円 |
| 30万円 | 6,667円 | 約20.0万円 | 約24.0万円 | −4.0万円 |
| 35万円 | 7,778円 | 約23.3万円 | 約27.8万円 | −4.4万円 |
| 40万円 | 8,889円 | 約26.7万円 | 約31.5万円 | −4.9万円 |
| 50万円 | 1万1,111円 | 約33.3万円 | 約38.9万円 | −5.5万円 |
| 60万円 | 1万3,333円 | 約40.0万円 | 約45.4万円 | −5.4万円 |
額面の3分の2でも、手取りとの差は1〜2割にとどまる。理由は次の節にある。
手取りが8割近くになる理由
| 給与 | 傷病手当金 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 引かれる | 非課税 |
| 住民税 | 引かれる(前年所得分は翌年に来る) | 非課税(ただし前年所得分の住民税は別途払う) |
| 健康保険・厚生年金 | 引かれる | 引かれる(休職中も会社経由で払う) |
| 雇用保険 | 引かれる | 引かれない(給与がないため) |
月給30万円なら、給与の手取り約24.0万円に対し、傷病手当金20万円から社会保険料約4.3万円を引いて約15.7万円が手元に残る。ただし社会保険料は会社が立て替えて後から請求する形が多く、休職中の振込は20万円のままで、復職後に精算される会社もある。住民税は前年の所得に対する分が別に来るので、その分は取り分けておく(退職後の住民税はいくらかの記事)。
いつからいつまで
- 待期期間|連続3日間の休み。有給・土日・祝日を含めてよい。3日目までは支給なし
- 支給開始|4日目から。会社から給与が出る日は支給されない(給与が手当金より少なければ差額)
- 期間|支給開始日から通算1年6ヶ月。2022年1月から通算方式で、途中で復職した期間は数えない
- 同じ病気での再発|1年6ヶ月を使い切ると、同じ病気では再支給されない。別の病気なら新たに1年6ヶ月
休職の延長と期間の使い方は休職を延長したい時の記事で書いた。
申請の手順
- 医師に、働けない状態であることを診断書か申請書の医師記入欄に書いてもらう
- 会社に申請書の事業主記入欄(出勤状況と給与の支払い状況)を書いてもらう
- 健康保険組合か協会けんぽに提出する(会社経由が多い)
- 初回は提出から1〜2ヶ月で振込。以後は1ヶ月ごとに申請
初回の振込まで1〜2ヶ月空くので、休職に入る時点で1〜2ヶ月分の生活費は要る。申請は月ごとに区切って出すと、振込の間隔が安定する。
退職後も受け取れる条件
退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していて、退職日に傷病手当金を受けているか受けられる状態(退職日に出勤していない)なら、退職後も残りの期間を受け取れる。退職日に挨拶で出勤すると継続の条件を外れるので、最終日は出勤しない。条件の詳細は退職後の傷病手当金の条件の記事で書いた。
転職先に伝わるか
傷病手当金は健康保険の給付で、給与ではないので源泉徴収票に載らない。健保の給付記録が転職先に開示される仕組みもない。伝わる経路は、休職で減った年の源泉徴収票の金額からの推測だけだ(休職は転職先にバレるかの記事)。
私の1社目は、体調を崩しても休職という選択肢が示されなかった会社だった。制度は健康保険にあったのに、会社が使わせなかった。傷病手当金は会社の制度でなく、健康保険の制度だ。会社が渋っても、医師の記入と自分の申請で受け取れる。会社に断られたら、健保に直接聞く。
よくある誤解
「給与の3分の2だから生活が3分の2になる」。非課税なので、手取りで比べれば8割近く残る。
「会社が申請してくれないともらえない」。事業主の証明欄は要るが、会社が拒む正当な理由はなく、健保に直接相談すれば会社に確認が入る。
独立・副業・お金の全体像
副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。
会社員でも確定申告が必要な人
副業所得20万超・年収2,000万超・2ヶ所給与・年の途中の退職は確定申告が必要で、医療費10万超・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン初年度・控除の申告忘れは申告すると戻る。還付だけの申告は5年間できる。判定表とe-Taxの手順は会社員でも確定申告が必要な人の記事で書いた。
育休の手当は手取りでいくらか
育児休業給付は賃金日額×67%(181日目から50%)で、令和8年8月からの上限は月332,454円。月給30万なら20.1万だが、非課税と社会保険料免除で手取りの約84%になり、両親とも14日以上取れば最大28日は13%上乗せで手取り10割になる。住民税だけは前年分が来る。月給別の早見表は育休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。
産休の出産手当金はいくらか
産休98日の出産手当金は標準報酬日額の3分の2で、月給30万なら約65万、40万なら約87万。非課税で社会保険料は免除され、出産育児一時金50万は別に出る。退職後も1年以上の加入・産休中の退職・退職日に出勤しないの3条件で受け取れ、国保の人には出産手当金がない。月給別の早見表と育休給付との1年の合計は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。
よくある質問
有給を使い切ってから傷病手当金にすべきですか?
有給は給与の100%が出るので、先に使うほうが手元は多い。ただし有給を使っている日は待期期間に含められるので、最初の3日を有給で埋めてから傷病手当金に切り替える形が多い。
副業の収入があると減額されますか?
会社からの給与だけが調整の対象で、副業の収入は関係しない。ただし働けないことが支給の前提なので、副業で働けている状態は矛盾する。
休職の資料をLINEで無料配布中
傷病手当金の額と期間、初回振込までの生活費を出す記入表(申請の手順と退職後継続の条件チェックつき)を公式LINEで無料配布している。額を知れば、休む判断ができる。

