年末調整をしたから、自分は確定申告に関係ない。そう思っている会社員が、副業を始めて、医療費がかさんで、ふるさと納税を増やして、途中で退職して、ある日「申告が必要だった」と知る。逆に、申告すれば戻るお金を、知らずに放置している人も多い。
年末調整で終わる人と、確定申告で戻る人は違う。年末調整で終わる人と、確定申告で戻る人は違う。必要な人と、得な人と、やり方を書く。
先に一文で。会社員の確定申告は、副業所得20万超・年収2,000万超・2ヶ所給与・年の途中の退職で必要になり、医療費10万超・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン初年度・控除の申告忘れは申告すると戻り、源泉徴収票とマイナンバーカードでe-Taxから入力し、期限は3月15日で還付は5年間できる。
この記事の要点
- 必要な人|副業所得20万超、年収2,000万超、2ヶ所給与、年の途中で退職
- 得な人|医療費10万超、ふるさと納税6自治体超、住宅ローン初年度、控除の申告忘れ
- やり方|源泉徴収票+マイナンバーカードでe-Tax。マイナポータル連携で自動入力
- 期限|3月15日。還付だけなら5年間いつでも。振込は3週間〜2ヶ月
必要な人(義務)
| 該当する人 | 理由 | しないとどうなるか |
|---|---|---|
| 副業の所得(収入−経費)が年20万円超 | 給与以外の所得は年末調整の対象外 | 無申告加算税+延滞税。住民税の申告漏れで会社に通知が行くこともある |
| 給与の年収が2,000万円超 | 年末調整の対象外 | 同上 |
| 2ヶ所以上の給与で、年末調整されない側が20万円超 | 副業のアルバイトなど | 同上 |
| 年の途中で退職し、年末調整を受けていない | 会社が年税額を計算していない | 多くは還付。しないと戻らない |
| 同族会社の役員で、会社から家賃・利息を受けている | 給与以外の所得扱い | 無申告加算税 |
副業の20万円は所得(収入−経費)で見る。給与の副業は収入で見る。20万円以下でも住民税の申告は要る(副業の確定申告はいくらからかの記事)。
した方が得な人(任意)
| 該当する人 | 戻る額の目安 |
|---|---|
| 医療費が年10万円超(所得200万円未満は所得の5%超) | 超えた額×税率。年収500万で医療費30万なら所得税約1万+住民税2万 |
| ふるさと納税で6自治体超、またはワンストップを出し忘れた | 寄附額−2,000円の全額(申告しないと控除されない) |
| 住宅ローン控除の初年度 | 年末残高×0.7%。残高3,000万なら21万 |
| 年末調整で控除の申告を忘れた(生命保険料・地震保険料・iDeCo・扶養・障害者・寡婦・ひとり親) | 控除額×税率 |
| 災害・盗難の被害(雑損控除) | 損失額−所得の10%など |
| 年の途中で退職し、再就職していない | 払いすぎた源泉徴収税の全部または一部 |
| 特定支出控除(転職の資格取得費など、給与所得控除の半分を超える場合) | 該当は少ないが、大きい年は使える |
ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告をすると無効になる。医療費控除や副業で申告する年は、ふるさと納税の分も全部申告書に入れる。ワンストップを出したから安心、が最も多い失敗だ。
年の途中で退職した人は、源泉徴収された所得税が1年分の見込みで引かれているので、申告すれば戻る(年末調整前に退職した時の記事)。転職して年内に入社した人は、前職の源泉徴収票を転職先に出せば年末調整で済む(転職した年の年末調整の記事)。
用意するもの
- 源泉徴収票(1月に会社から。転職した年は前職分も)。見方は源泉徴収票の見方の記事
- マイナンバーカードとスマホ(e-Taxのログインに使う)
- 控除の証明書|医療費の明細(医療費通知でも可)、ふるさと納税の受領証(ポータルの証明書XMLでも可)、保険料控除証明書、住宅ローンの年末残高証明書と登記事項証明書(初年度)
- 副業の収支|売上の記録と経費の領収書。会計ソフトがあれば集計は出る
やり方(e-Tax、30分〜1時間)
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーを開き、マイナンバーカードでログインする
- マイナポータル連携をすると、源泉徴収票・保険料控除・ふるさと納税・医療費通知が自動で入る(連携しない場合は源泉徴収票を見て手入力)
- 副業があれば収入と経費を入力(事業所得か雑所得)。20万円以下でも入力していい
- 追加の控除(医療費・寄附金・住宅ローンなど)を入力する
- 副業がある人は住民税の納付方法で自分で納付を選ぶ。会社に副業分の住民税が通知されなくなる(副業が住民税でバレる仕組みの記事)
- 還付の振込口座を入力し、送信する
紙で出す場合は税務署に郵送か持参。e-Taxのほうが還付が早い。
期限と還付の時期
| 期限 | 還付の振込 | |
|---|---|---|
| 納める税金がある申告 | 翌年2月16日〜3月15日 | ― |
| 還付だけの申告 | 翌年1月から。5年間いつでも | e-Tax 3週間前後、紙 1〜2ヶ月 |
過去に医療費控除やふるさと納税の申告を忘れた年があれば、5年前の分まで遡って出せる。去年の分も、一昨年の分も、まだ戻る。
副業がある年の注意
副業の所得で確定申告をすると、所得税の計算は給与と合算になり、税率は給与の所得に副業の所得を上乗せした段階で決まる。年収500万円で副業所得50万円なら、副業分は所得税5〜10%+住民税10%で約9万円の税金になる。副業の税金は手取りから2割を取り分けておく。開業届と青色申告を使えば、副業でも65万円の控除が使える場合がある(会社員が開業届を出すとバレるかの記事)。
私は会社員の時に副業のブログ収入で確定申告を始めた。最初の年は20万円を超えたかどうかで迷い、収入でなく所得(経費を引いた額)で見ることを、申告書を作る画面で知った。2年目からは会計ソフトに口座を連携して、1月に集計を出すだけになった。
よくある誤解
「年末調整をしたから確定申告は関係ない」。副業・医療費・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン初年度は、年末調整では処理されない。
「ワンストップを出したから、確定申告でふるさと納税は書かなくていい」。確定申告をするとワンストップは無効になる。書かないと控除が全部消える。
フリーランス1年目の確定申告
1年目の確定申告は、売上と経費の記録・領収書・支払調書・国保と年金の納付額・控除証明書・前職の源泉徴収票・マイナンバーカードを1月に揃え、青色65万は承認申請済み+複式簿記+決算書+e-Taxで受けられ、10.21%の源泉徴収がある人は還付になりやすく、期限は3月16日。手順と失敗例はフリーランス1年目の確定申告のやり方の記事で書いた。
iDeCoの上限が月6.2万円に上がる
2026年12月分の掛金から、会社員のiDeCo上限は2.3万→6.2万(企業年金ありは合算6.2万、公務員5.4万、自営業7.5万)になり、加入は70歳未満まで延びる。節税は掛金×(所得税率+10%)で、年収500万なら年4.2万→11.2万、800万なら8.4万→22.6万。60歳まで引き出せないので、貯金6ヶ月分と数年内の大きな支出を先に見る。年収別の表はiDeCoの上限引上げと節税額の早見表の記事で書いた。
よくある質問
副業の所得が20万円以下なら何もしなくていいですか?
所得税の申告は不要だが、住民税の申告は市区町村に別で出す。医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業も一緒に申告する。
確定申告をすると会社に副業がバレますか?
住民税の納付方法を自分で納付にすれば、副業分の住民税は会社に通知されない。給与の副業は合算されやすいので、副業のアルバイトの社会保険と住民税の記事で経路を確認する。
転職の資料をLINEで無料配布中
会社員の確定申告の判定表(必要な人・得な人のチェックと、用意する書類、e-Taxの入力順)を公式LINEで無料配布している。戻るお金は、5年分まとめて取り戻そう。

