ニュースでは「賃上げ率5%」と言っているのに、自分の昇給は数千円だった。世の中の平均がいくらで、自分の会社がどの位置なのかが分からない。

厚生労働省が毎年、企業に「今年いくら上げたか」を聞いている。最新の令和7年(2025年)調査を、規模別・業界別・組合の有無別に並べた。9割の会社が上げた。上がっていないなら1割の側にいる

先に一文で。2025年に賃金を引き上げた企業は91.5%、改定額は月1万3,601円・改定率4.4%で、5,000人以上の企業は5.1%・100〜299人は3.6%、建設5.9%が最高で医療・福祉2.3%が最低、労働組合がある企業はない企業より0.8ポイント高い。

この記事の要点

  • 引き上げた企業91.5%。実施しない2.4%、未定3.9%
  • 改定額1万3,601円、改定率4.4%(前年1万1,961円、4.1%)
  • 規模|5,000人以上5.1%、100〜299人3.6%
  • 業界|建設5.9%・電気ガス5.3%・製造5.2%、医療福祉2.3%・生活関連2.9%

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」(2025年11月公表)。常用労働者100人以上の民営企業を対象に、2025年1〜12月の賃金改定(9〜12月の予定を含む)を聞いたものだ。

  • 1人平均賃金の改定額|所定内賃金(月額)の1人平均の増減額。定期昇給とベースアップの両方を含む
  • 改定率|改定額÷改定前の1人平均賃金
  • 対象は100人以上の企業|100人未満の会社の数字は含まれない

つまり「改定率4.4%」は、100人以上の会社で、定期昇給とベースアップを合わせた月給の伸びになる。

全体。9割が上げた

賃金改定の状況令和7年令和6年
1人平均賃金を引き上げた・引き上げる91.5%91.2%
引き下げた・引き下げる1.1%0.1%
変わらない1.0%
賃金の改定を実施しない2.4%2.3%
未定3.9%6.4%
改定の中身令和7年令和6年
1人平均賃金の改定額(月)1万3,601円1万1,961円
1人平均賃金の改定率4.4%4.1%
うち引き上げた企業の改定額1万3,914円1万2,183円

改定額は前年より1,640円増え、率も0.3ポイント上がった。2年連続で4%台で、2022年以降の伸びが続いている(平均給料の25年推移の記事)。

規模別。大きいほど上がる

企業規模改定額改定率引き上げた企業
5,000人以上1万6,784円5.1%98.9%
1,000〜4,999人1万5,859円5.0%96.0%
300〜999人1万2,308円4.0%95.6%
100〜299人1万264円3.6%89.7%

5,000人以上と100〜299人で、額は6,520円、率は1.5ポイントの差。100〜299人の会社は、1割が上げていない

業界別。建設と医療・福祉で3.6ポイント差

業界改定額改定率引き上げた企業
建設業2万724円5.9%89.6%
電気・ガス・熱供給・水道業1万9,611円5.3%100.0%
製造業1万5,952円5.2%97.5%
不動産業、物品賃貸業1万4,368円4.5%94.7%
卸売業、小売業1万2,183円4.2%92.8%
金融業、保険業1万7,567円4.1%90.7%
情報通信業1万4,096円3.9%97.4%
学術研究、専門・技術サービス業1万4,911円3.8%95.4%
運輸業、郵便業1万545円3.6%85.7%
宿泊業、飲食サービス業1万177円3.6%78.4%
サービス業(他に分類されないもの)8,621円3.4%86.4%
教育、学習支援業9,300円3.2%87.4%
生活関連サービス業、娯楽業7,744円2.9%79.5%
医療、福祉5,589円2.3%84.9%

読み取れることは3つある。

1、建設が最も上げている。改定額2万724円で、医療・福祉の5,589円の3.7倍。人手不足の業界が額で引き留めている形だ。

2、医療・福祉は率も額も最低。2.3%、5,589円で、前年(2.5%、6,876円)より下がった。診療報酬・介護報酬で収入が決まる業界は、賃上げの原資を自分で作れない。

3、宿泊・飲食と生活関連は2割が上げていない。引き上げた企業78.4%と79.5%。平均賃金が低い業界(業界別の平均給料の記事)で、上げる会社の割合も低い。

労働組合の有無

区分改定額改定率引き上げた企業
労働組合あり1万5,229円4.8%95.5%
労働組合なし1万1,980円4.0%90.4%

差は月3,249円、0.8ポイント。組合がある会社は、交渉の場があるだけで年4万円近く差が出る。組合がない会社では、個人の交渉が代わりになる。

自分の会社の賃上げを測る手順

  1. 今年の昇給で、基本給の月額がいくら増えたかを出す(手当の増減は除く)
  2. 改定前の基本給で割って、改定率を出す
  3. 全体平均(1万3,601円・4.4%)、会社の規模、業界の3つと比べる
  4. 3つとも下回っていれば、会社固有の問題

9割の会社が上げている年に上がっていないなら、時代のせいではない。交渉するか、動くかの判断になる。転職で賃金が増えた人は40.8%いる(転職で年収が上がる人の割合の記事)。昇給が少ない会社の見分け方は昇給が少ない会社の記事で書いた。

私の1社目は、昇給という言葉自体を聞いた記憶がない。当時は上がらないのが普通の時代で、比べる数字も持っていなかった。今は9割が上げていて、比べる数字も公開されている。上がっていないと分かったら、その事実を交渉に使える。

よくある誤解

「賃上げ5%は大企業だけ」。5,000人以上で5.1%だが、300〜999人でも4.0%、100〜299人でも3.6%は上がっている。上がっていない会社は、規模でなく会社の判断だ。

「定期昇給があれば賃上げされている」。この調査の改定率4.4%は定期昇給を含む数字だ。定期昇給だけで2%なら、平均の半分にしかならない。

よくある質問

100人未満の会社はどう比べればいいですか?

この調査には含まれない。目安として、100〜299人の3.6%・1万264円を上限側の参考にし、賃金構造基本統計調査の小企業(10〜99人)の前年比2.1%と比べる(平均給料の25年推移の記事)。

改定額に賞与は含まれますか?

含まれない。所定内賃金(月額)の改定額なので、賞与の増減は別だ。年収で比べるなら、賞与の月数の変化も合わせて見る。

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