自分の業界の給料が低い気がする。でも他の業界に移ったら本当に上がるのか、どの業界がどのくらいなのかが分からない。
厚生労働省が産業別に賃金を集計している。最新の令和7年(2025年)調査の16業界を並べた。同じ35歳で、業界の差は16万円ある。
先に一文で。業界別の平均賃金は電気・ガス44万4,000円・学術研究44万300円・金融保険43万7,000円・情報通信40万6,000円が上位、宿泊飲食27万7,200円・サービス業28万4,900円・生活関連29万5,200円が下位で、差は20代前半の6万円から50代後半の28万円に開く。
この記事の要点
- 上位|電気・ガス44.4万、学術研究44.0万、金融43.7万、情報通信40.6万
- 下位|宿泊・飲食27.7万、サービス業28.5万、生活関連29.5万
- 年代で開く|20代前半6万円差→35〜39歳16万円差→55〜59歳28万円差
- 前年比で伸びたのは学術研究9.6%、金融6.4%、鉱業4.3%
出典と数字の意味
出典は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の「産業別にみた賃金」。10人以上の民営事業所の一般労働者(フルタイム)を、2025年6月分の給与で集計したものだ。賃金は所定内給与額で、残業代と賞与を含まない月額になる。賞与の多い業界(金融・製造など)は、年収で見ると差がさらに開く。
16業界のランキング
| 順位 | 業界 | 平均賃金 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 44万4,000円 | +1.5% |
| 2 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 44万300円 | +9.6% |
| 3 | 金融業、保険業 | 43万7,000円 | +6.4% |
| 4 | 情報通信業 | 40万6,000円 | +3.8% |
| 5 | 鉱業、採石業、砂利採取業 | 38万8,300円 | +4.3% |
| 6 | 教育、学習支援業 | 37万9,400円 | +0.9% |
| 7 | 建設業 | 36万6,300円 | +3.9% |
| 8 | 不動産業、物品賃貸業 | 36万100円 | −3.1% |
| 9 | 卸売業、小売業 | 34万9,100円 | +1.6% |
| 10 | 製造業 | 33万円 | +3.6% |
| 11 | 複合サービス事業 | 31万9,000円 | +3.9% |
| 12 | 医療、福祉 | 31万5,700円 | +3.0% |
| 13 | 運輸業、郵便業 | 31万2,700円 | +2.6% |
| 14 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 29万5,200円 | +3.3% |
| 15 | サービス業(他に分類されないもの) | 28万4,900円 | −0.3% |
| 16 | 宿泊業、飲食サービス業 | 27万7,200円 | +2.9% |
| ― | 全産業 | 34万600円 | +3.1% |
読み取れることは3つある。
1、上位4業界は40万円超、下位3業界は30万円未満。全産業平均34万600円を挟んで、上に10万円、下に6万円の幅がある。
2、製造業は平均より下。33万円で10位。製造業は賞与が厚い会社が多いため年収では上がるが、月額では中位より下だ。
3、伸びたのは学術研究と金融。学術研究は前年比9.6%増で、コンサル・士業・研究職などの専門職の賃上げが数字に出ている。不動産とサービス業はマイナスだった。
年代別。差は年齢とともに開く
主な業界の、年齢階級別の平均賃金。
| 業界 | 25〜29歳 | 35〜39歳 | 45〜49歳 | 55〜59歳 |
|---|---|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道 | 30万9,900円 | 44万8,800円 | 52万4,700円 | 58万3,300円 |
| 学術研究、専門・技術サービス | 33万5,800円 | 44万500円 | 52万5,600円 | 53万6,700円 |
| 金融、保険 | 30万9,600円 | 44万8,700円 | 52万1,200円 | 49万5,900円 |
| 情報通信 | 30万8,700円 | 41万100円 | 49万1,700円 | 51万6,300円 |
| 教育、学習支援 | 27万2,900円 | 35万4,300円 | 41万3,400円 | 47万3,300円 |
| 建設 | 29万2,800円 | 36万1,900円 | 39万7,300円 | 44万7,200円 |
| 卸売、小売 | 27万2,700円 | 33万6,700円 | 38万5,400円 | 42万3,400円 |
| 製造 | 25万9,300円 | 32万4,400円 | 37万2,800円 | 39万9,200円 |
| 医療、福祉 | 27万7,300円 | 32万1,500円 | 33万円 | 34万7,800円 |
| 運輸、郵便 | 27万8,200円 | 32万4,300円 | 33万5,500円 | 32万4,300円 |
| 生活関連サービス、娯楽 | 26万9,400円 | 30万8,900円 | 33万8,400円 | 33万400円 |
| 宿泊、飲食サービス | 25万500円 | 28万6,400円 | 32万7,300円 | 30万4,800円 |
25〜29歳では上位と下位の差が9万円弱。それが35〜39歳で16万円、55〜59歳で28万円になる。
上がり続ける業界と、40代で止まる業界がある。運輸・郵便と宿泊・飲食は、55〜59歳が45〜49歳より低い。医療・福祉も45歳以降の伸びが小さい。この3業界は、年齢を重ねても月額が上がらない形になっている。
業界を変える転職で、このデータをどう使うか
1、若いほど差が小さく、入りやすい。25〜29歳の宿泊・飲食25万500円と情報通信30万8,700円の差は5万8,200円。この段階で移れば、その後の上がり方の差(55〜59歳で21万円)を取りに行ける。
2、業界と一緒に、規模と雇用形態を見る。同じ業界でも大企業と小企業で8万円、正社員と非正規で12万円の差がある(年代別の平均給料の記事)。低い業界の大企業と、高い業界の小企業なら、後者が上とは限らない。
3、休みの実態も業界で決まる。有給取得率は電気・ガス75.2%に対し宿泊・飲食50.7%で、給料が低い業界は休みも少ない傾向がある(有給取得率の業界別一覧の記事)。
4、辞める理由も業界の平均と重なる。転職した人が前職を辞めた理由の上位は給料・労働条件・人間関係で、低い業界ほど前2つが出やすい(転職理由のランキングの記事)。
私の1社目は美容業界で、この分類では生活関連サービス業に入る。下から3番目の業界で、しかも残業代が出なかった。そこからWebスクールに通って情報通信寄りの業界に移り、給料は転職のたびに上がった。業界を変えた効果は、統計の差そのものだった。
ここまでのまとめ
・上位|電気・ガス44.4万、学術研究44.0万、金融43.7万、情報通信40.6万
・下位|宿泊・飲食27.7万、サービス業28.5万、生活関連29.5万
・年代で開く|20代前半6万円差→35〜39歳16万円差→55〜59歳28万円差
よくある誤解
「製造業は給料が高い」。月額では33万円で16業界中10位。賞与を含めた年収では上位に来るが、月給で比べると平均より下だ。
「医療・福祉は安定していて給料も悪くない」。31万5,700円で12位。45歳以降の伸びが小さく、年齢を重ねるほど他業界との差が開く。
平均給料の25年推移(公的データ)
厚労省の賃金構造基本統計調査では、平均賃金は2001年30万5,800円から2021年30万7,400円までほぼ横ばいで、2022年以降は4年連続で伸びて2025年は34万600円、2021年比で10.8%上がった。自分の給料がこの4年で10.8%上がっていないなら、平均より遅れている。推移の表は平均給料の25年推移の記事にある。
転職の判断に使う公的データの一覧
年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。
残業時間の平均(公的データ)
厚労省の毎月勤労統計調査(2025年分確報)では、フルタイム労働者の残業時間は月平均13.2時間で、運輸・郵便24.1時間が最長、医療・福祉6.7時間が最短だった。固定残業代30時間分はどの業界の平均も上回る。業界別の表と、自分の残業が平均の何倍かの測り方は残業時間の平均の記事で書いた。
3年以内に辞める人の割合(公的データ)
厚労省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)では、大卒の3年以内離職率は33.8%で、1年目12.0%・2年目までに23.9%、業界では宿泊・飲食55.4%から電気・ガス12.4%、事業所規模では5人未満57.5%から1,000人以上27.0%まで差がある。辞めたい理由が根性の問題か場所の問題かは大卒の3年以内離職率の記事で測れる。
2025年の賃上げ率(公的データ)
厚労省の賃金引上げ等の実態に関する調査(令和7年)では、賃金を引き上げた企業は91.5%、改定額は月1万3,601円・改定率4.4%で、5,000人以上は5.1%・100〜299人は3.6%、建設5.9%が最高で医療・福祉2.3%が最低、労働組合がある企業はない企業より0.8ポイント高かった。自分の昇給を規模と業界の平均と比べる手順は2025年の賃上げ率の記事で書いた。
職業別の有効求人倍率(公的データ)
厚労省の一般職業紹介状況(令和7年度)では、ハローワークの職業別の有効求人倍率は建設躯体7.72倍・土木6.21倍・介護3.84倍・営業2.13倍・看護2.04倍が高く、一般事務0.34倍・デザイナー0.17倍が低い。求人月給は情報処理34.7万円・建築土木34.3万円・営業28.1万円・介護22.9万円・一般事務22.2万円で、入りやすさと給料は別の軸になる。一覧は職業別の有効求人倍率の記事で書いた。
都道府県別の有効求人倍率(公的データ)
厚労省の一般職業紹介状況(令和7年度)では、都道府県別の有効求人倍率は全国1.21倍で、東京1.73倍・福井1.67倍・石川1.56倍が高く、神奈川0.85倍・兵庫0.96倍・沖縄0.96倍が低い。正社員だけでは全国1.01倍で北陸3県が1.4倍以上、神奈川は0.64倍になる。受理地ベースの読み方と地方で転職する時の使い方は都道府県別の有効求人倍率の記事で書いた。
よくある質問
業界内で給料が高い会社を見分けるには?
求人票の基本給と賞与の実績を見る。同じ業界でも、基本給の比率と賞与の月数で年収は変わる(求人票の給与欄の読み方 完全ガイド)。
未経験で高い業界に入れますか?
情報通信・学術研究は20代なら未経験採用の求人がある。30代以降は、今の業界で身につけた職種(営業・経理・人事など)を軸に、業界だけを変える動きが現実的だ。
転職の資料をLINEで無料配布中
業界別の平均と自分の給料を年代で比べる記入表(業界・規模・雇用形態の3軸で動く額を出す式つき)を公式LINEで無料配布している。業界の差を知ってから、次の業界を決めよう。

