「転職理由は何ですか」と聞かれて、自分の理由が普通なのか、言っていいものなのかが分からない。周りに聞いても、本音は出てこない。

厚生労働省が毎年、転職した人に「前職を辞めた理由」を聞いている。最新の令和7年(2025年)分を、男女別・年代別に並べた。男性は給料、女性は労働条件と人間関係。それが全体の形だ。

先に一文で。転職した人が前職を辞めた具体的な理由は、男性は給料の少なさ(9.9%)、女性は労働時間・休日の条件(12.9%)と人間関係(11.5%)が上位で、20代は給料と労働条件、30代は将来性と育児、40代後半以降は人間関係に重心が移る。

この記事の要点

  • 男性は給料9.9%・人間関係8.9%・労働条件8.5%の順
  • 女性は労働条件12.9%・人間関係11.5%・給料8.6%の順
  • 20代は給料と労働条件、40代後半以降は人間関係が上がる
  • 2025年の離職率は13.7%、入職率は14.7%

出典

厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年公表)の「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」(表5)と、「入職と離職の推移」(表1)、「年齢階級別転職入職率」(図4)から整理した。対象は2025年の1年間に転職して入職した人のうち、前職が雇用者で調査時に在籍している人。

男女別のランキング

「その他の個人的理由」(男16.8%・女23.8%)と「定年・契約期間の満了」(男16.1%・女9.8%)、「その他の理由(出向等)」を除いた、具体的な理由の順位。

男性

順位理由割合
1給料等収入が少なかった9.9%
2職場の人間関係が好ましくなかった8.9%
3労働時間、休日等の労働条件が悪かった8.5%
4会社の将来が不安だった6.9%
5仕事の内容に興味を持てなかった5.2%
5能力・個性・資格を生かせなかった5.2%
7会社都合5.3%

女性

順位理由割合
1労働時間、休日等の労働条件が悪かった12.9%
2職場の人間関係が好ましくなかった11.5%
3給料等収入が少なかった8.6%
4会社都合6.2%
5仕事の内容に興味を持てなかった4.6%
6会社の将来が不安だった4.3%
7能力・個性・資格を生かせなかった3.9%

前年(令和6年)からの変化で目立つのは、男性の「定年・契約期間の満了」が2.0ポイント上がったこと、女性の「仕事の内容に興味を持てなかった」が1.0ポイント上がったことだ。

年代別。重心はこう移る

男性(主な理由の割合)

年代給料人間関係労働条件会社の将来
20〜24歳13.8%10.3%12.4%2.4%
25〜29歳13.1%10.7%10.5%11.0%
30〜34歳13.4%5.9%13.0%10.0%
35〜39歳11.2%9.5%11.1%12.7%
40〜44歳9.5%7.3%9.6%10.7%
45〜49歳11.5%13.3%7.5%5.8%
50〜54歳11.6%7.9%6.0%9.2%
55〜59歳5.7%14.4%7.0%2.7%

女性(主な理由の割合)

年代労働条件人間関係給料出産・育児
20〜24歳18.8%10.3%5.3%1.5%
25〜29歳14.1%10.5%13.4%1.0%
30〜34歳10.1%10.6%12.2%6.2%
35〜39歳13.7%8.3%8.5%3.4%
40〜44歳8.8%15.4%11.4%1.9%
45〜49歳13.1%11.2%10.1%0.6%
50〜54歳13.2%8.9%6.6%
55〜59歳13.5%16.5%3.2%

読み取れることは3つある。

1、20代は給料と労働条件。男性20代は給料が13〜14%、女性20〜24歳は労働条件が18.8%と突出する。最初の会社の条件の悪さが、そのまま転職理由になっている。

2、30代は将来性と育児。男性35〜39歳の「会社の将来が不安」12.7%は全年代で最も高い。女性30〜34歳の「出産・育児」6.2%も他の年代の2〜6倍だ。

3、40代後半以降は人間関係。男性45〜49歳13.3%、55〜59歳14.4%、女性40〜44歳15.4%、55〜59歳16.5%。条件より、人の問題で辞める割合が上がる。

転職する人の割合(転職入職率)

2025年の1年間に転職して入職した人の、年初の常用労働者に対する割合。

年代男性女性
20〜24歳16.5%15.8%
25〜29歳14.1%17.1%
30〜34歳11.4%13.1%
35〜39歳7.8%9.3%
40〜44歳7.3%10.5%
45〜49歳6.0%10.0%
50〜54歳4.7%7.9%

25〜59歳では、どの年代も女性のほうが転職入職率が高い。全体の離職率は13.7%(前年比−0.5ポイント)、入職率は14.7%で、1.0ポイントの入職超過だった。10人に1人強が1年で職場を離れている計算になる。

面接で退職理由を語る時に、このデータをどう使うか

本音の理由は、給料・労働条件・人間関係のどれかであることが統計上も普通だ。あなたの理由は珍しくない。面接官も統計を知らなくても、経験上は分かっている。

問題は本音を言うかどうかでなく、本音をどう翻訳するかになる。

  • 給料が少ない → 「成果が報酬に接続する環境で働きたい」
  • 労働条件が悪い → 「時間内に成果を出す働き方をしたい」
  • 人間関係 → 「チームで役割を分担して進める環境を希望している」

翻訳の型は志望動機の本音の記事で書いた。辞めたい理由から転職の軸を作る手順は転職の軸の決め方の記事にある。

私が1社目を辞めた理由も、統計の上位そのものだった。残業代が出ない、休日に出る、上司に詰められる。理由が普通であることと、動いていいことは、同じ意味だ。

よくある誤解

「人間関係で辞めるのは甘え」。男性の上位2位、女性の上位2位に入る、最も普通の理由の1つだ。

「転職する人は少数派」。25〜29歳の女性は17.1%、男性20〜24歳は16.5%が1年で転職入職している。6人に1人の年代がある。

業界別の平均給料(公的データ)

厚労省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、業界別の平均賃金は電気・ガス44万4,000円・金融保険43万7,000円・情報通信40万6,000円が上位、宿泊飲食27万7,200円・生活関連サービス29万5,200円が下位で、差は20代前半の6万円から50代後半の28万円に開く。16業界の表と年代別の開き方は業界別の平均給料の記事で書いた。

転職の判断に使う公的データの一覧

年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。

3年以内に辞める人の割合(公的データ)

厚労省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)では、大卒の3年以内離職率は33.8%で、1年目12.0%・2年目までに23.9%、業界では宿泊・飲食55.4%から電気・ガス12.4%、事業所規模では5人未満57.5%から1,000人以上27.0%まで差がある。辞めたい理由が根性の問題か場所の問題かは大卒の3年以内離職率の記事で測れる。

転職活動の期間と方法の実態(公的データ)

厚労省の転職者実態調査(令和2年)では、転職活動を始めてから辞めるまでは1〜3ヶ月未満が28.8%で最多、辞めてから次に就職するまでは離職期間なし26.1%+1ヶ月未満27.6%で半数超、使った方法は求人サイト39.4%・ハローワーク34.3%・縁故26.8%・エージェント14.8%、準備を何もしなかった人が66.1%だった。年代別の表は転職活動の期間と方法の実態の記事で書いた。

仕事で強いストレスを感じている人の割合(公的データ)

厚労省の労働安全衛生調査(令和6年)では、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じている人は68.3%、正社員は74.6%、30代と40代は73%で、内容は仕事の量43.2%・失敗と責任36.2%・仕事の質26.4%・対人関係26.1%・会社の将来性22.2%だった。年代別・雇用形態別の表と、自分で変えられる内容かの分け方は仕事のストレスの割合と内容の記事で書いた。

よくある質問

転職で年収が上がった人の割合も分かりますか?

同じ調査で、前職より賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%だった。年代別の内訳は転職で年収が上がる人の割合の記事で整理した。

「その他の個人的理由」が一番多いのはなぜですか?

調査票の選択肢に当てはまらない理由と、答えたくない理由がここに集まる。実態としては、上位の具体的理由の複合や、家庭の事情、健康の問題が含まれていると考えられる。

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