転職したい理由はある。でも「転職の軸は?」と聞かれると答えられない。理想を書き出しても、どれも大事に見えてしまう。
軸の定義を変えるところから始める。軸とは理想のリストでなく、譲れないものの順位だ。3つの質問で出す手順を書く。
先に一文で。転職の軸は理想でなく譲れない順位であり、前職で消耗した要因・満足した瞬間・戻りたくない状態の3つの質問から言語化し、3つまでに絞って順位をつけると選考でも決断でも使える。
この記事の要点
- 軸は理想のリストでなく、譲れないものの順位だ
- 出し方は3つの質問。全部、過去の実感から引く
- 数は3つまで。順位までつけて初めて道具になる
- 面接で語る型は、軸→根拠の経験→この会社が合う理由
なぜ理想から考えると決まらないのか
「年収も上げたい、残業も減らしたい、人間関係も良い方がいい」。全部本音で、全部正しい。だから決まらない。
理想は並列で出てくるが、選択に必要なのは順位だ。そして順位は、理想を眺めても出てこない。過去の実感から引くのが早い。
3つの質問で軸を出す
質問1、前職(現職)で一番消耗した要因は何か。
長時間労働、評価の不透明さ、人間関係、成長の頭打ち、通勤。一番削られたものを避けることが、第一の軸になる。これが一番強く、一番ブレない。
質問2、働いていて満足した瞬間はどんな時か。
任された時、感謝された時、数字が動いた時、静かに集中できた時。ここから、求める環境の性質が見える。
質問3、絶対に戻りたくない状態は何か。
これは軸というより下限の設定だ。「月45時間超の残業には戻らない」「年収◯万円は下回らない」。オファーを判断する時の足切りラインになる。
私自身の4社目の選択で言えば、質問1の答えが「通勤と時間の拘束」で、そこから「リモートと育休制度」という軸が出た。年収を下げてでもそれを優先したのは、順位がはっきりしていたからだ。
3つに絞って、順位をつける
軸が5つ6つあると、全部を満たす求人は存在しない。3つに絞り、さらに順位をつける。
例:
- 残業月20時間以内(最優先・下限)
- リモート週2以上
- 年収は現状維持以上
この形にしておくと、「①と③は満たすが②が週1」のオファーが来た時に即断できる。軸は面接で語るための飾りでなく、あなたが決断するための道具だ。
面接での使い方
軸は志望動機の芯になる。型は3段だ。
- 軸|「私は◯◯を軸に会社を選んでいます」
- 根拠の経験|「前職で△△という経験があり、そこから◯◯が自分の成果に直結すると考えるようになりました」
- この会社が合う理由|「御社は□□の点で、その軸に合致しています」
根拠の経験があると、軸は借り物でなく自分の言葉になる。本音(給料・残業・人間関係)を軸の言葉に翻訳する手順は志望動機の本音の記事で書いた。軸と志望動機は、同じものを別の角度から言っているだけだ。
軸は変わっていい
活動の途中で軸が変わることは普通にある。面接で現場の話を聞き、条件を比べるうちに、優先順位が入れ替わる。
- 変わったこと自体は問題ない。変わった理由を説明できれば、思考した証明になる
- ただし、応募先ごとに軸が変わるのは別の話だ。それは軸でなく、その場の合わせになる
軸そのものが見えない状態が続くなら、辞めたい理由の分解から始める方が早い(方向性が決まらない時の記事、次が決まってないまま辞めたい時の記事)。
よくある誤解
「軸は、かっこいい言葉で語らないといけない」。「成長できる環境」「裁量のある仕事」は、誰でも言える言葉で差がつかない。具体的で、少し生々しい方が強い。「残業月20時間以内で、家族と夕食を取れる働き方」は、立派な軸だ。
「軸がないと転職してはいけない」。軸がないまま動いて、選考の過程で見つかることもある。ただ、軸なしで内定が出ると、決断で必ず迷う。動きながら決めるのは可、決断の前には決めておく、が現実的な順番になる。
そもそもプランの立て方から迷っているなら
将来像を描く作業だと思うと止まる。積み上げ型・回避型・状態型のどれかを選んで次の1手だけ決める方法はキャリアプランとはの記事で書いた。
よくある質問
軸が「人間関係の良い会社」しか出てきません
それは軸として使いにくいので、分解する。人間関係の何が嫌だったのか(詰められる・放置される・派閥がある)を特定すると、確認できる条件(1on1の有無・チームの人数・評価制度)に変換できる。面接で確認できる形にして初めて、軸は機能する。
年収を軸にするのは、浅いと思われませんか?
思われない。ただし「年収を上げたい」でなく「成果が報酬に接続する仕組みがある環境」と言い換えると、選ぶ基準の話になる。中身は同じで、面接での通り方が変わる。
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転職の軸の言語化シート(3つの質問+順位づけの記入式)を公式LINEで無料配布している。理想を並べるのをやめて、譲れない順に並べ替えよう。それが軸だ。

