転職活動はどのくらいかかるのか。在職中に動くべきか、辞めてから探すべきか。周りの経験談は極端な話ばかりで、普通がどこにあるのかが分からない。
厚生労働省が転職した本人に、期間・方法・準備・結果を聞いている。令和2年転職者実態調査の個人調査を並べた。準備なしで転職した人が66%。それでも4割は賃金が上がった。
先に一文で。転職活動を始めてから辞めるまでは1〜3ヶ月が最多で、辞めてから次に就職するまでは半数超が1ヶ月以内、方法は求人サイト39.4%・ハローワーク34.3%・縁故26.8%・エージェント14.8%、準備を何もしなかった人が66.1%、賃金が増えた人39.0%・減った人40.1%、労働時間が減った人39.3%だった。
この記事の要点
- 在職中の活動期間|1〜3ヶ月未満28.8%、活動期間なし23.6%、1ヶ月未満18.3%
- 離職から就職まで|期間なし26.1%+1ヶ月未満27.6%で半数超
- 方法|求人サイト39.4・ハローワーク34.3・縁故26.8・企業HP15.1・エージェント14.8
- 準備なし66.1%。賃金増39.0%・減40.1%、労働時間減39.3%
出典と数字の意味
出典は厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(2021年公表)。5人以上の常用労働者を雇う事業所と、そこで働く転職者(2019年10月〜2020年9月に転職した人)を対象にした調査で、5年に1度行われる。
転職者本人の回答なので、「何を使ったか」「どのくらいかかったか」は実際に転職した人の実態になる。数字は2020年のもので、転職サイトやエージェントの普及はその後も進んでいる点は差し引いて読む。
転職活動を始めてから辞めるまでの期間
| 期間 | 割合 |
|---|---|
| 転職活動期間なし(辞めてから探した) | 23.6% |
| 1ヶ月未満 | 18.3% |
| 1ヶ月以上3ヶ月未満 | 28.8% |
| 3ヶ月以上 | 残り |
在職中に動いた人の中では、1〜3ヶ月で辞めている人が最も多い。4人に1人は活動期間なし、つまり辞めてから探し始めている。
辞めてから次に就職するまでの期間
| 期間 | 全体 | 20〜24歳 | 30〜34歳 | 45〜49歳 |
|---|---|---|---|---|
| 離職期間なし | 26.1% | 16.3% | 33.9% | 30.0% |
| 1ヶ月未満 | 27.6% | 28.2% | 25.1% | 30.6% |
| 1ヶ月以上2ヶ月未満 | 13.3% | 17.5% | 11.6% | 11.5% |
| 2ヶ月以上4ヶ月未満 | 12.9% | 12.9% | 13.8% | 9.9% |
| 4ヶ月以上6ヶ月未満 | 4.6% | 4.5% | 3.8% | 5.4% |
| 6ヶ月以上10ヶ月未満 | 5.2% | 2.8% | 5.2% | 3.8% |
| 10ヶ月以上 | 5.5% | 8.4% | 5.2% | 4.1% |
読み取れることは3つある。
1、半数超が1ヶ月以内に次を決めている。離職期間なし26.1%と1ヶ月未満27.6%で53.7%。空白期間が長いのが普通ではない。
2、30代は辞める前に決めている。30〜34歳の離職期間なし33.9%は全年代で最も高い。20代前半は16.3%で、辞めてから探す動きが多い。
3、在職中に活動した人ほど空白が短い。転職活動期間があった人は、離職期間なし20.2%+1ヶ月未満34.3%で54.5%。活動期間なしの人は離職期間なし45.4%と高いが、これは縁故や前の会社の紹介で決まった人が含まれる。
在職中に動くか辞めてから動くかの判断は在職中と退職後のどちらで転職活動をするかの記事で書いた。
使った方法
| 方法 | 全体 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 求人サイト・求人情報誌・新聞・チラシ等 | 39.4% | 36.9% | 42.8% |
| ハローワーク等の公的機関 | 34.3% | 31.7% | 37.8% |
| 縁故(知人・友人等) | 26.8% | 27.6% | 25.8% |
| 企業のホームページ | 15.1% | 15.7% | 14.2% |
| 民間の職業紹介機関(転職エージェント) | 14.8% | 14.8% | 14.8% |
| 前の会社からの紹介・出向 | 7.0% | 8.6% | 4.8% |
| 学校・専修学校等 | 2.5% | 2.8% | 2.1% |
複数回答なので合計は100%を超える。エージェントを使った人は7人に1人で、求人サイトの3分の1程度だ。縁故が4人に1人いる。
エージェントの仕組みと使い方は転職エージェントとはの記事で書いた。
準備活動
- 特に何もしていない|66.1%
- 準備活動を行った|30.9%
準備した人の内容(複数回答)は、産業・職業の情報収集42.9%、キャリアコンサルティング16.0%、その他22.4%。30〜34歳は準備した人が40.5%で最も高く、45〜49歳は25.2%で最も低い。
3人に2人は準備なしで転職している。それでも4割は賃金が上がっているので、準備の有無で結果が全て決まるわけではない。ただし準備した人が何を準備したかは、情報収集が最多で、それは今なら1日でできる。
結果。賃金と労働時間はどう変わったか
| 変化 | 賃金 | 労働時間 |
|---|---|---|
| 増加した | 39.0% | 26.3% |
| 変わらない | 20.2% | 33.6% |
| 減少した | 40.1% | 39.3% |
賃金が増えた人の内訳は、3割以上増7.2%、1割以上3割未満20.6%、1割未満11.1%。減った人は3割以上減11.1%、1割以上3割未満18.1%、1割未満10.9%。
この調査は2020年(コロナ禍)の転職者で、増えた人と減った人がほぼ同数だった。2025年の雇用動向調査では増えた人40.8%、減った人31.0%で、上がる側に傾いている(転職で年収が上がる人の割合の記事)。年代別では20〜49歳は増えた人が多く、50歳以上は減った人が多い。
労働時間は、減った人が39.3%で増えた人26.3%を上回る。転職で時間は減る方向、賃金は年代次第というのが統計上の形だ。
辞めた理由と、選んだ理由
自己都合で辞めた人は76.6%。その理由(3つまで)は、労働条件(賃金以外)がよくなかった28.2%、満足のいく仕事内容でなかった26.0%、賃金が低かった23.8%。男性は仕事内容28.4%、女性は労働条件28.1%が最多だった。
現在の会社を選んだ理由(3つまで)は、仕事の内容・職種に満足がいく41.0%、自分の技能・能力が活かせる36.0%、労働条件(賃金以外)がよい26.0%。辞めた理由は労働条件、選んだ理由は仕事内容という形で、次の会社では時間より中身を見て決めている。理由の年代別の表は転職理由のランキングの記事で書いた。
このデータをどう使うか
- 期間の目安|在職中に1〜3ヶ月動き、辞めてから1ヶ月以内に決めるのが最多。3ヶ月を超えたら方法を変える
- 方法は2つ以上|求人サイトだけの人が多いが、エージェントと縁故を足すと母数が広がる
- 準備は情報収集だけでいい|準備した人の最多は情報収集。業界の平均給料と離職率を見るだけで、準備した側に入る(転職の判断に使う公的データ一覧)
- 50代は賃金が下がる前提で条件を組む|年代別のD.I.がマイナスになる。時間や働き方で取り返す形を先に決める
私の転職は4回とも在職中に動いた。期間は1〜3ヶ月に収まっていた回もあれば、もっと長い回もあった。方法は求人サイトとエージェントの両方で、縁故は使っていない。統計の最多パターンから外れても、決まる時は決まる。目安は目安として、動き続けるほうが早い。
よくある誤解
「転職活動は半年かかる」。在職中の活動は1〜3ヶ月が最多で、辞めてから1ヶ月以内に決めた人が半数超。半年は少数派だ。
「エージェントを使うのが普通」。使った人は14.8%。求人サイトとハローワークが主流で、縁故も4人に1人いる。
職業別の有効求人倍率(公的データ)
厚労省の一般職業紹介状況(令和7年度)では、ハローワークの職業別の有効求人倍率は建設躯体7.72倍・土木6.21倍・介護3.84倍・営業2.13倍・看護2.04倍が高く、一般事務0.34倍・デザイナー0.17倍が低い。求人月給は情報処理34.7万円・建築土木34.3万円・営業28.1万円・介護22.9万円・一般事務22.2万円で、入りやすさと給料は別の軸になる。一覧は職業別の有効求人倍率の記事で書いた。
都道府県別の有効求人倍率(公的データ)
厚労省の一般職業紹介状況(令和7年度)では、都道府県別の有効求人倍率は全国1.21倍で、東京1.73倍・福井1.67倍・石川1.56倍が高く、神奈川0.85倍・兵庫0.96倍・沖縄0.96倍が低い。正社員だけでは全国1.01倍で北陸3県が1.4倍以上、神奈川は0.64倍になる。受理地ベースの読み方と地方で転職する時の使い方は都道府県別の有効求人倍率の記事で書いた。
よくある質問
転職エージェントを使った人は少ないのに、使うべきですか?
使った人が少ないのは、使わなくても決まる求人が多いからで、使う価値がないからではない。年収交渉や非公開求人が必要な人には、7人に1人しか使っていないこと自体が差になる。
離職期間が長いと不利ですか?
10ヶ月以上の人も5.5%いる。不利になるのは期間そのものより、期間中に何をしていたかを言えないことだ。
転職の資料をLINEで無料配布中
転職活動の期間と方法を統計の最多パターンと比べる記入表(在職中の活動月数・離職期間・使う方法の3欄つき)を公式LINEで無料配布している。自分の動きが普通か遅いかを、数字で確かめよう。


