「転職したら年収が下がるのでは」という不安に、感覚でなく数字で答える。厚生労働省が毎年公表している雇用動向調査に、転職した人の賃金が前職と比べてどう動いたかの統計がある。
最新の令和7年(2025年)分から、年代別に整理した。45歳までは上がる側が多数で、50歳で逆転する。それが数字の結論だ。
先に一文で。転職で賃金が増えた人は全体の40.8%、減った人は31.0%で、30代前半までは半数前後が増加、40代前半でも45%が増加するが、50〜54歳で減少が増加を上回り、60代では半数以上が減少する。
この記事の要点
- 全体|増加40.8%・変わらない25.5%・減少31.0%
- 1割以上の増加は28.2%、1割以上の減少は21.9%
- 30代前半までは半数前後が増加
- 境目は50歳前後。45〜49歳で前年から下がり始めた
出典と数字の意味
出典は厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年公表)の「転職入職者の賃金変動状況」だ。対象は、2025年の1年間に転職して入職した人のうち、前職が雇用者で調査時点で在籍している人(自営業からの転職は含まない)。
「増加」「減少」は、前職の賃金と比べての変化で、額の大きさは1割を境に分けられている。年収でなく賃金(月々の給与)ベースの調査だが、傾向を読むには十分だ。
全体の数字
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| 増加 | 40.8% |
| うち1割以上の増加 | 28.2% |
| うち1割未満の増加 | 12.6% |
| 変わらない | 25.5% |
| 減少 | 31.0% |
| うち1割未満の減少 | 9.2% |
| うち1割以上の減少 | 21.9% |
増加が減少を9.8ポイント上回っている。前年(令和6年)と比べると、増加は0.3ポイント上がった一方で、1割以上の増加は1.2ポイント下がり、減少は1.6ポイント上がった。上がる人は増えたが、大きく上がる人は減り、下がる人も増えた。転職の年収は二極化の方向にある。
年代別。境目は50歳
| 年代 | 増加 | 変わらない | 減少 | 増加−減少 |
|---|---|---|---|---|
| 19歳以下 | 63.6% | 18.2% | 15.4% | +48.2 |
| 20〜24歳 | 55.2% | 19.9% | 17.5% | +37.7 |
| 25〜29歳 | 49.8% | 25.0% | 23.9% | +25.9 |
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% | +19.6 |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | +19.6 |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% | +17.5 |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% | +11.0 |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% | −12.6 |
| 55〜59歳 | 25.5% | 33.0% | 38.9% | −13.4 |
| 60〜64歳 | 21.1% | 24.2% | 54.3% | −33.2 |
| 65歳以上 | 22.2% | 33.4% | 42.3% | −20.1 |
読み取れることは3つある。
1、30代前半までは半数前後が上がる。20代は5割を超え、30〜34歳でも48.6%。転職が年収を上げる手段として機能している年代だ。
2、40代前半でもまだ上がる側が多数。44.9%が増加で、減少の27.4%を大きく上回る。「40代の転職は下がる」という言い方は、40代前半には当てはまらない。
3、境目は50歳。45〜49歳で差が+11.0まで縮まり、50〜54歳で−12.6に転じる。60代は半数以上が減少する。
前年からの変化。45〜49歳が下がった
令和6年と比べて、増加の割合が最も下がったのは50〜54歳(−9.6ポイント)で、次が45〜49歳(−5.3ポイント)だった。前年は50〜54歳でも増加が減少を10.8ポイント上回っていたので、40代後半から50代前半の転職は、1年で年収面が厳しくなった。
逆に20〜24歳は増加が4.7ポイント上がり、25〜29歳も3.5ポイント上がっている。若手の転職市場は前年より強い。
正社員間の移動で見ると
雇用形態別に見ると、雇用期間の定めのない一般労働者から同じ形態への移動では、増加44.5%・減少29.0%で、差は15.5ポイントになる。全体の9.8ポイントより大きい。
つまり正社員から正社員への転職に絞れば、上がる側がより多い。全体の数字を下げているのは、雇用形態の変更を伴う移動や、定年後の再就職が含まれているからだ。
この数字を自分に当てはめる時の注意
- 平均は平均|同じ40代でも、職種・業界・会社規模で結果はまるで違う。自分の職種の相場を先に見る(年収とはの記事で額面の出し方を整理した)
- 下がる転職にも理由がある|働き方や制度を優先して年収を下げる選択は、統計上は「減少」に入る。私自身、4社目はリモートと育休制度を優先してあえて年収を下げた。数字の「減少」が全部失敗ではない
- 交渉で動く|同じ内定でも、希望年収の答え方で提示額は変わる(面接で希望年収を聞かれた時の答え方の記事)
- 40代後半以降は準備の質で決まる|経験の翻訳と、応募先の選び方で結果が分かれる年代だ(40代スキルなしは嘘だの記事)
自分が同じ年代・職種の中でどの帯にいるかを数字にしておくと、平均との差が読める。
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受けた後の流れ|① 設問に答える(10分前後) → ② その場で結果が表示される → ③ 結果だけ持ち帰ってもいいし、求人の案内に進んでもいい
よくある誤解
「転職すると年収は下がるのが普通」。全体では上がる人のほうが10ポイント近く多い。下がるのが普通なのは50代以降だ。
「20代は経験がないから上がらない」。逆で、20代が最も上がる。経験の少なさより、伸びしろと市場の若手需要が効いている。
年代別の平均給料(公的データ)
厚労省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、フルタイムの平均賃金は月34万600円で、20〜24歳24.3万円・30〜34歳31.2万円・40〜44歳36.4万円・55〜59歳39.6万円、大企業と小企業で8万円、正社員と非正規で12万円の差があった。自分の位置は年代別の平均給料の記事で測れる。
平均給料の25年推移(公的データ)
厚労省の賃金構造基本統計調査では、平均賃金は2001年30万5,800円から2021年30万7,400円までほぼ横ばいで、2022年以降は4年連続で伸びて2025年は34万600円、2021年比で10.8%上がった。自分の給料がこの4年で10.8%上がっていないなら、平均より遅れている。推移の表は平均給料の25年推移の記事にある。
転職の判断に使う公的データの一覧
年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。
平均年収と分布(公的データ)
国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)では、平均年収は478万円(男性587万・女性333万)、年代別では20代前半277万・30代前半449万・40代前半516万・50代後半572万で、年収500万円超は全体の36.7%、700万円超は17.3%、1,000万円超は6.2%だった。真ん中の人は400万円台前半にいる。自分の年収が上位何%かは平均年収と分布の記事で測れる。
転職活動の期間と方法の実態(公的データ)
厚労省の転職者実態調査(令和2年)では、転職活動を始めてから辞めるまでは1〜3ヶ月未満が28.8%で最多、辞めてから次に就職するまでは離職期間なし26.1%+1ヶ月未満27.6%で半数超、使った方法は求人サイト39.4%・ハローワーク34.3%・縁故26.8%・エージェント14.8%、準備を何もしなかった人が66.1%だった。年代別の表は転職活動の期間と方法の実態の記事で書いた。
よくある質問
転職の理由で多いものは何ですか?
同じ調査の「前職を辞めた理由」では、男性は給料の少なさ、女性は労働時間・休日の条件と人間関係が上位に来る。年代別の内訳は転職理由のランキングの記事で整理した。
この統計はどこで見られますか?
厚生労働省のサイトで「雇用動向調査」の結果の概要として毎年公表されている。令和7年分は「3 転職入職者の状況」の表6が賃金変動の年代別データになる。
転職の資料をLINEで無料配布中
年代別の年収推移シート(現年収・同職種の相場・希望額の記入欄つき)を公式LINEで無料配布している。平均でなく、自分の帯で判断しよう。


