転職サイトに「現在の年収」を入れる欄がある。手取りで書けばいいのか、賞与は入れるのか、残業代はどうするのか。数字が曖昧なまま入力すると、それが自分の値段として扱われる。
線を引く。年収は額面で、手取りは別の数字。何を足して、何を引くのかを整理する。
先に一文で。年収とは1年間の総支給額(額面)で、月給×12に賞与と残業代を足した数字であり、手取りは年収から税と社会保険料を引いた75〜85%程度になるため、面接や転職サイトでは額面の数字を使う。
この記事の要点
- 年収=1年間の総支給額(額面)。手取りではない
- 月給×12+賞与+残業代。通勤手当は含めない
- 手取りは年収の75〜85%が目安
- 面接・転職サイトで答えるのは額面
年収とは何か
1年間(1〜12月)に会社から支払われた給与の総額だ。税金や社会保険料が引かれる前の額面を指す。
含むもの、含まないものを分ける。
| 含む | 含まない |
|---|---|
| 月給(基本給+手当) | 通勤手当(非課税分) |
| 賞与 | 立替経費の精算 |
| 残業代 | 退職金 |
| インセンティブ | 副業の収入(給与所得なら別途合算) |
通勤手当は含めないのが一般的だ。求人票の年収例にも入っていない。
月収・月給との違い
- 月給|月ごとに決まって支払われる額。基本給+手当
- 月収|ある月に実際に支払われた額。月給+その月の残業代
- 年収|月収の12ヶ月分+賞与
月給30万円でも、残業が多い月は月収35万円になる。年収を計算する時は、月給でなく月収の平均を使う。基本給と月給の関係は基本給とはの記事で書いた。
月収から年収を計算する
月給(額面)×12+賞与の年額+残業代の年額。
例:月給30万円、賞与年2回・各2ヶ月分、残業代が月平均3万円
- 30万×12=360万
- 賞与 30万×4=120万
- 残業代 3万×12=36万
- 年収 516万円
正確な数字は、前年の源泉徴収票の「支払金額」で確認できる。今年の途中で転職した場合は、前職の源泉徴収票と現職の給与明細を合算する。
手取りとの関係
年収から引かれるもの。
- 所得税
- 住民税(前年の所得に対して。転職1年目は前職分)
- 健康保険料・厚生年金保険料(標準報酬月額で決まる)
- 雇用保険料
引いた後の手取りは、年収の75〜85%が目安になる。年収が高いほど税率が上がるので、比率は下がる。
| 年収 | 手取りの目安 |
|---|---|
| 300万円 | 240万円前後 |
| 400万円 | 315万円前後 |
| 500万円 | 390万円前後 |
| 600万円 | 460万円前後 |
| 700万円 | 530万円前後 |
扶養家族の有無や住んでいる自治体で前後する。500万円の内訳は年収500万の手取りの記事で計算した。
面接・転職サイトで答える数字
額面で答える。転職サイトの「現在の年収」も、面接の「現年収は?」も、求人票の「想定年収」も、すべて額面だ。手取りで答えると、自分を2割安く見せることになる。
答える時は賞与と残業代を含めた総額にする。「月給×12」だけで答える人が多いが、それでは下限を自分で下げている。
「現年収は◯◯万円です(賞与・残業代込み)」
希望年収の答え方は面接で希望年収を聞かれた時の記事で書いた。
年収を盛るとどうなるか
源泉徴収票で分かる。入社時に前職の源泉徴収票を提出するので、面接で言った額と食い違えば分かる。虚偽が発覚した場合、内定取り消しや懲戒の理由になりうる。
盛る必要はない。賞与・残業代・手当を全部含めた正確な額面を出せば、それが一番大きい正当な数字になる。
よくある誤解
「年収=手取り×12」。違う。年収は額面で、手取りより2割前後多い。
「年収に通勤手当を入れていい」。一般的には入れない。求人票の年収例にも含まれていないので、比較がずれる。
給与欄の全体を分解して読む
基本給→固定残業代→手当→賞与→年収例の順に分解する手順は、求人票の給与欄の読み方 完全ガイドにまとめた。用語ごとの記事はそこから辿れる。
転職で年収が上がる人の割合(公的データ)
厚労省の雇用動向調査(令和7年)では、転職で賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%で、30代前半までは半数前後が増加、50代で逆転する。年代別の表は転職で年収が上がる人の割合の記事で整理した。
年代別の平均給料(公的データ)
厚労省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、フルタイムの平均賃金は月34万600円で、20〜24歳24.3万円・30〜34歳31.2万円・40〜44歳36.4万円・55〜59歳39.6万円、大企業と小企業で8万円、正社員と非正規で12万円の差があった。自分の位置は年代別の平均給料の記事で測れる。
転職の判断に使う公的データの一覧
年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。
よくある質問
副業の収入は年収に入りますか?
会社の給与としての年収には入らない。ただし税金の計算では合算され、転職サイトで「年収」を聞かれた時は本業の給与のみを答えるのが通例だ。
入社1年目で年収を聞かれたら?
まだ12ヶ月分がない場合は、月給×12+賞与の見込みで答える。「現在の条件で年換算すると◯◯万円です」と言えば足りる。
転職の資料をLINEで無料配布中
年収の計算シート(月給・賞与・残業代・手当の記入欄と、手取りの概算つき)を公式LINEで無料配布している。自分の値段を、額面で正確に言えるようにしておこう。

