「希望年収はいくらですか」。面接で聞かれて、答えを用意していなかった。低く言うと損だし、高く言うと落ちそうで、結局「貴社の規定に従います」と答えてしまう。
その答え方が一番損をする。1つの数字でなく幅で答え、根拠を1つ添える。それだけで通り方が変わる。
先に一文で。希望年収は現年収を下限にした幅で答え、相手の想定レンジを聞き返す形にすると上限を自分で固定せずに済み、根拠を1つ添えれば高めの数字でも印象は落ちない。
この記事の要点
- 1つの数字は上限として扱われる。幅で答える
- 下限は現年収、上限は求人票か相場
- 根拠を1つ添える。相場・役割・資格のどれか
- 「規定に従います」は下限で提示される合図になる
1つの数字で答えると損をする理由
「500万円を希望します」と答えたとする。相手の想定が550万円でも、提示は500万円になる。言った数字が上限として扱われるからだ。
逆に、相手の想定が450万円なら「高い」と受け取られる。1つの数字は、どちらに転んでも損になりやすい。
だから幅で答えて、相手のレンジを聞き返す。
「現在が◯◯万円ですので、同程度からを希望しています。御社の想定レンジがあれば、それに合わせて検討します」
これで、相手の想定が先に出てくる。
数字の作り方
- 下限|現年収。下げたくないなら「現年収以上」と明示する
- 上限|求人票の上限か、同職種の相場
- 幅|下限から上限まで。広すぎると本気度を疑われるので、50〜100万円程度に収める
現年収を聞かれたら正直に答える。源泉徴収票で分かるので、盛ると必ず崩れる。ただし現年収に賞与や手当を含めた総額で答えるのは正当だ。月給×12だけで答えると、自分で下限を下げることになる。
根拠を1つ添える
高めの数字を出す時は、根拠が1つあると印象が変わる。
- 相場|「同職種・同経験年数の相場を見ると、◯◯万円前後が中央値でしたので」
- 役割|「現職では◯◯まで担当範囲が広がっており、その分を反映いただければと」
- 資格・実績|「◯◯の資格と、△△の実績を評価いただけるのであれば」
根拠のない高い数字は交渉でなく要求に見える。逆に根拠があれば、相手はその根拠を検討する側に回る。
応募フォームの希望給与欄
「貴社規定に従います」だけで済ませない。空欄や規定に従う、は下限で提示していい合図として読まれる。
「現年収◯◯万円。同程度以上を希望。詳細は面談時にご相談させてください」
最低ラインだけ示して、幅を残す。求人票に年収の幅があるなら、その中の希望する位置を書いていい。
エージェント経由なら、フォームには最低ラインを書き、実際の希望はエージェントに伝えて交渉してもらうのが最も確実だ。
聞かれた=合格に近いのか
一次面接で聞かれることもあるので、それだけで合否は読めない。ただし最終面接やオファー面談で具体的な金額の話になったら、採用の意思はあると考えていい。条件が合わないから落とす、という段階に入っている。
ここで下げすぎると、その後の昇給の起点まで下がる。交渉しなかった後悔は数年続く(年収交渉して後悔したことの記事)。
低く言いすぎた後の取り返し
面接で低い数字を言ってしまっても、オファー面談で修正できる。
「面接時に◯◯万円とお伝えしましたが、業務内容を詳しく伺い、担当範囲が想定より広いと分かりました。△△万円でご検討いただくことは可能でしょうか」
理由を添えれば、数字の修正は失礼にならない。提示額が低かった時の動き方はオファー面談で年収が低かった時の記事で書いた。
こちらから条件を聞く側の言い回しは面接で給料を聞く丁寧な言い方の記事にまとめてある。聞く時と答える時で、型は違う。
よくある誤解
「高く言うと落ちる」。落ちるのは、根拠がない場合と、相場から大きく外れている場合だけだ。相場の範囲内で根拠があれば、検討される。
「謙虚に低く言えば好印象」。好印象にはならない。自分の価値を把握していない人、と読まれることのほうが多い。
メールで聞かれた場合と、未経験転職の場合
メールで希望年収を聞かれた|面接と同じで幅で答える。「現年収は◯◯万円(賞与込み)です。同程度以上を希望しておりますが、業務内容を踏まえてご相談できればと考えております。御社の想定レンジがあればお教えいただけますと幸いです」。文面でも、相手のレンジを聞き返す一文を入れる。
未経験の職種に移る場合|下限は現年収でなく、その職種の未経験者の相場になる。「未経験ですので相場に沿った額で構いません。◯◯万円前後を想定していますが、御社の規定に合わせます」と、相場を調べたことを示しつつ幅を持たせる。一度下がっても、経験がつけば戻せる職種かどうかを先に確認しておく。
よくある質問
現年収が低いので、希望年収を言いにくいです
現年収でなく、相場を起点にしていい。「現在は◯◯万円ですが、同職種の相場と、今回の業務範囲を踏まえて△△万円を希望します」。現年収が低い理由(業界・会社規模)を一言添えると通る。
年収でなく月給で聞かれたら?
月給で答える時は、賞与の有無を必ず確認する。「月給◯◯万円を希望しますが、賞与の月数によって年収ベースで調整できます」と、年収に戻して考える姿勢を示すと、あとで食い違わない。
転職の資料をLINEで無料配布中
希望年収の答え方テンプレート(現年収の総額の出し方・幅の作り方・根拠の3型つき)を公式LINEで無料配布している。聞かれてから考えると、必ず低く言う。先に作っておこう。

