ニュースでは賃上げと言っているのに、自分の給料は何年も変わっていない。世の中は本当に上がっているのか、自分の会社だけが止まっているのかが分からない。

厚生労働省が同じ方法で25年分の平均賃金を出している。2001年から2025年の推移を並べた。20年横ばい、直近3年で3万円。上がっている会社にいるかどうかが、そのまま差になる。

先に一文で。平均賃金は2001年30万5,800円から2021年30万7,400円までほぼ横ばい、2022年以降は1.4%・2.1%・3.8%・3.1%と伸びて2025年は34万600円で、25年分の上昇のほとんどが直近4年に集中し、男女間格差は65.3から76.6へ縮まった。

この記事の要点

  • 2001年30.6万→2021年30.7万。20年で1,600円しか上がっていない
  • 2022年以降は4年連続で伸び、2025年は34.1万
  • 男女間格差(男=100)は65.3→76.6
  • 2021年比で10.8%上がっていなければ、平均より遅れている

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の「賃金の推移」。10人以上の民営事業所の一般労働者(フルタイム)の、毎年6月分の所定内給与額(残業代と賞与を含まない月額)を並べたものだ。2020年から推計方法が変わっているため、2019年と2020年の間は厳密には連続しない。

25年の推移

男女計前年比男性女性男女間格差(男=100)
2001年30万5,800円+1.2%34万700円22万2,400円65.3
2005年30万2,000円+0.1%33万7,800円22万2,500円65.9
2009年29万4,500円−1.5%32万6,800円22万8,000円69.8
2013年29万5,700円−0.7%32万6,000円23万2,600円71.3
2017年30万4,300円+0.1%33万5,500円24万6,100円73.4
2019年30万7,700円+0.5%33万8,000円25万1,000円74.3
2021年30万7,400円−0.1%33万7,200円25万3,600円75.2
2022年31万1,800円+1.4%34万2,000円25万8,900円75.7
2023年31万8,300円+2.1%35万900円26万2,600円74.8
2024年33万400円+3.8%36万3,100円27万5,300円75.8
2025年34万600円+3.1%37万3,400円28万5,900円76.6

読み取れることは3つある。

1、2001年から2021年までは動いていない。30万5,800円が30万7,400円。20年で1,600円。2009年には29万4,500円まで下がっている。

2、2022年から一気に上がった。4年で3万3,200円。25年間の上昇分3万4,800円のほぼ全部が、この4年に入っている。

3、女性は上がり続けていた。男性が2001年34万700円から2021年33万7,200円へ下がった一方で、女性は22万2,400円から25万3,600円へ上がった。格差が縮んだのは、女性側が上がった分だ。

誰の給料が上がったのか

直近の伸びは、全員に均等ではない。2025年の前年比を分けると、こうなる。

区分前年比
大企業+5.7%
中企業+1.0%
小企業+2.1%
20〜24歳+4.4%
25〜29歳+4.6%
45〜49歳+1.4%
55〜59歳+1.1%
学術研究、専門・技術サービス業+9.6%
金融、保険業+6.4%
不動産、物品賃貸業−3.1%

大企業と20代に集中している。中企業は1.0%、45歳以上は1%台。「賃上げ」の実感がないなら、中企業の40代以上である可能性が高い。業界別の差は業界別の平均給料の記事で書いた。

自分の給料が遅れているかを測る

  1. 4年前(2021年)と今の給与明細で、基本給+手当(残業代を除く)を比べる
  2. 伸び率を出す。全体平均は10.8%
  3. 10.8%に届いていなければ、平均より遅れている
  4. 会社の規模と業界の伸びとも比べる。大企業なら5.7%×4年分、中企業なら1%前後×4年分が目安になる

会社の規模と業界の平均にも届いていない場合は、会社固有の問題だ。賃上げ交渉をするか、転職で動くかの判断になる。転職で賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%いる(転職で年収が上がる人の割合の記事)。自分の年代・規模・雇用形態の平均との位置関係は年代別の平均給料の記事で測れる。

私が1社目にいた頃は、この表で言えば横ばいの時期だった。上がらないのが普通だったから、上がらないことを疑わなかった。今は上がるのが普通の時期に入っている。上がっていないなら、それは時代のせいではなく、会社のせいだ。

よくある誤解

「賃上げは大企業だけの話」。小企業も2.1%上がっている。上がっていないのは中企業(1.0%)で、規模より会社の判断の差が大きい。

「平均が上がった=自分も上がるはず」。平均は上がった会社と上がらない会社の混ざった数字だ。上がった会社に移った人の分も入っている。

転職の判断に使う公的データの一覧

年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。

平均年収と分布(公的データ)

国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)では、平均年収は478万円(男性587万・女性333万)、年代別では20代前半277万・30代前半449万・40代前半516万・50代後半572万で、年収500万円超は全体の36.7%、700万円超は17.3%、1,000万円超は6.2%だった。真ん中の人は400万円台前半にいる。自分の年収が上位何%かは平均年収と分布の記事で測れる。

2025年の賃上げ率(公的データ)

厚労省の賃金引上げ等の実態に関する調査(令和7年)では、賃金を引き上げた企業は91.5%、改定額は月1万3,601円・改定率4.4%で、5,000人以上は5.1%・100〜299人は3.6%、建設5.9%が最高で医療・福祉2.3%が最低、労働組合がある企業はない企業より0.8ポイント高かった。自分の昇給を規模と業界の平均と比べる手順は2025年の賃上げ率の記事で書いた。

よくある質問

物価の上昇と比べるとどうですか?

この調査は名目の月額で、物価を引いた実質賃金は別の統計(毎月勤労統計調査)で出る。実質で見るかどうかとは別に、名目で10.8%上がっていない会社は、平均より遅れていることは変わらない。

賞与を含めた年収の推移は分かりますか?

この調査の「賃金」は所定内給与で、賞与は別集計になる。年収で比べるなら、源泉徴収票の支払金額を4年分並べるのが早い。

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