地元で転職したいが、求人が少ない気がする。都会なら多いのか、地元が特に少ないのか、正社員の求人だけで見るとどうなのかが分からない。

厚生労働省がハローワークの求人と求職者を都道府県ごとに集計している。令和7年度の倍率を、パートを含む数字と正社員だけの数字で並べた。神奈川・千葉・埼玉は1倍を切る。東京に求人を吸われている

先に一文で。都道府県別の有効求人倍率は全国1.21倍で、東京1.73倍・福井1.67倍・石川1.56倍が高く、神奈川0.85倍・兵庫0.96倍・沖縄0.96倍が低い、正社員だけでは全国1.01倍で福井1.64倍・富山1.51倍が高く、神奈川0.64倍・沖縄0.66倍が低い、東京の高さは本社受理の求人が集まる受理地ベースの効果で、周辺3県は逆に低く出る。

この記事の要点

  • 全国1.21倍(前年度1.26倍)。東京1.73倍・福井1.67倍・石川1.56倍
  • 1倍未満|神奈川0.85・兵庫0.96・沖縄0.96・千葉0.99・埼玉0.99
  • 正社員だけ|全国1.01倍。北陸3県は1.4倍以上、神奈川0.64倍
  • 受理地ベース。東京は高く、周辺3県は低く出る

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の雇用関係指標(年度)、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の都道府県別の有効求人数(第1表・第2表)と有効求職者数(第3表)。

  • 有効求人倍率|月間有効求人数÷月間有効求職者数。1倍なら求職者1人に求人1件
  • 正社員有効求人倍率|正社員の求人数÷パートを除く常用の求職者数
  • 受理地ベース|求人は、それを受理した労働局(都道府県)に数える。東京本社の企業が全国の支店の求人を東京のハローワークに出せば、東京の求人になる
  • ハローワークの数字|転職サイト・エージェント経由の求人は含まない

都道府県別の一覧

都道府県有効求人倍率(パート含む)前年度正社員有効求人倍率
東京1.73倍1.77倍1.17倍
福井1.67倍1.74倍1.64倍
石川1.56倍1.55倍1.40倍
富山1.49倍1.41倍1.51倍
香川1.45倍1.46倍1.22倍
岐阜1.43倍1.52倍1.35倍
新潟1.41倍1.48倍1.39倍
広島1.41倍1.43倍1.23倍
愛媛1.41倍1.36倍1.23倍
島根1.38倍1.43倍1.27倍
岡山1.36倍1.44倍1.24倍
山口1.35倍1.45倍1.31倍
山梨1.32倍1.29倍1.06倍
山形1.30倍1.36倍1.11倍
鳥取1.28倍1.30倍1.10倍
長野1.27倍1.33倍1.08倍
群馬1.26倍1.34倍1.07倍
福島1.25倍1.28倍1.06倍
京都1.25倍1.24倍1.03倍
愛知1.25倍1.28倍1.12倍
秋田1.24倍1.30倍1.20倍
佐賀1.22倍1.29倍1.13倍
大分1.22倍1.35倍1.16倍
全国1.21倍1.26倍1.01倍
宮崎1.20倍1.30倍1.07倍
徳島1.18倍1.15倍1.06倍
大阪1.18倍1.21倍0.95倍
三重1.17倍1.16倍1.00倍
熊本1.16倍1.23倍1.09倍
青森1.16倍1.18倍1.02倍
宮城1.16倍1.24倍0.98倍
栃木1.16倍1.17倍1.01倍
茨城1.16倍1.32倍0.99倍
奈良1.14倍1.16倍1.00倍
岩手1.14倍1.21倍0.91倍
高知1.12倍1.12倍0.90倍
福岡1.11倍1.18倍0.88倍
長崎1.10倍1.19倍1.05倍
静岡1.07倍1.11倍1.01倍
鹿児島1.06倍1.13倍1.05倍
和歌山1.06倍1.13倍0.90倍
滋賀1.05倍1.01倍0.81倍
北海道1.01倍1.05倍0.82倍
埼玉0.99倍1.05倍0.83倍
千葉0.99倍1.00倍0.78倍
沖縄0.96倍0.99倍0.66倍
兵庫0.96倍1.01倍0.78倍
神奈川0.85倍0.91倍0.64倍

読み取れることは3つある。

1、東京だけが高く、周辺3県は1倍を切る。東京1.73倍に対し、神奈川0.85倍、千葉0.99倍、埼玉0.99倍。首都圏の求人が東京に集計され、3県の求職者が東京の求人に応募する形になっている。3県の数字は、実態より低く出ている。

2、北陸3県が正社員で最も強い。福井1.64倍、富山1.51倍、石川1.40倍。製造業の集積があり、正社員求人が求職者を大きく上回る。東京は正社員だけだと1.17倍まで下がる。

3、大阪・福岡・北海道・沖縄は正社員で1倍を切る。地方の大都市は求職者が集まる分、正社員の倍率が低い。沖縄0.66倍は、正社員の求職者3人に求人2件の計算になる。

パートを含む倍率と正社員の倍率のずれ

地域パート含む正社員
東京1.73倍1.17倍0.56
沖縄0.96倍0.66倍0.30
福井1.67倍1.64倍0.03
富山1.49倍1.51倍−0.02

差が大きい地域は、パートの求人で倍率が押し上げられている。東京の1.73倍のうち、正社員の実態は1.17倍。北陸は差がほぼなく、正社員の求人そのものが多い。

地方で転職する時に、このデータをどう使うか

1、住む県の正社員倍率を先に見る|パートを含む数字は当てにならない。正社員の列で1倍を切る県は、正社員の求人が求職者より少ない。

2、首都圏3県は東京の求人を含めて考える|神奈川0.64倍は、東京に通える範囲の求人を除いた数字だ。通勤圏で見れば実態は高い。

3、地方でも職種で差が出る|県の倍率が低くても、建設・介護・運転・営業は全国的に2倍以上で、事務は0.34倍。県より職種の差のほうが大きい(職業別の有効求人倍率の記事)。

4、ハローワーク以外の経路を足す|転職者が使った方法はハローワーク34.3%、求人サイト39.4%、縁故26.8%。地方ほど縁故の比率が上がる(転職活動の期間と方法の実態の記事)。

私は大阪の会社に転職した後、育休を機に沖縄へ移住してフルリモートで働いた。沖縄の正社員倍率は0.66倍で全国で下から2番目だ。住む場所の倍率が低くても、勤め先の場所を切り離せば関係なくなる。リモートで働ける職種なら、県の倍率は転職の条件にならない。

よくある誤解

「東京が一番転職しやすい」。パートを含めば1.73倍で最高だが、正社員だけなら1.17倍で、福井・富山・石川・新潟・岐阜・山口・島根・岡山・愛媛・広島・香川・秋田より低い。

「地方は求人がない」。北陸・山陰・四国の一部は正社員倍率1.2倍以上で、全国平均1.01倍を上回る。ないのは、職種と条件を絞った時の求人だ。

よくある質問

有効求人倍率は下がっていますか?

令和6年度1.26倍から令和7年度1.21倍へ下がった。前年度より上がったのは石川・富山・愛媛・山梨・京都・徳島・三重・滋賀など少数で、多くの県で下がっている。

倍率が1倍を切る県で正社員になるには?

倍率は平均で、職種で20倍の差がある。県の倍率より、職種の倍率と、ハローワーク以外の経路(求人サイト・エージェント・縁故)を足すほうが、通りやすさは上がる。

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