転職しやすい職種に移りたい。でも求人が多い職種は給料が低い気がするし、どの職種が本当に人手不足なのかが分からない。

厚生労働省がハローワークの求人と求職者を職業ごとに集計している。令和7年度の有効求人倍率と求人月給を並べた。事務は3人に1つ、建設は1人に7つ。倍率は職種で20倍違う

先に一文で。職業別の有効求人倍率は全体1.10倍で、建設躯体7.72倍・土木6.21倍・建築土木技術者5.58倍・機械整備4.04倍・介護3.84倍・営業2.13倍・看護2.04倍が高く、一般事務0.34倍・デザイナー0.17倍が低い、求人月給は情報処理34.7万円・建築土木34.3万円・営業28.1万円・介護22.9万円・一般事務22.2万円で、倍率と給料の両方が高いのは建設系技術職と営業になる。

この記事の要点

  • 全体1.10倍。建設7.7倍・土木6.2倍・介護3.8倍・営業2.1倍・看護2.0倍
  • 一般事務0.34倍・会計事務0.61倍・デザイナー0.17倍。事務系は求職者が余っている
  • 月給|情報処理34.7万・建築土木34.3万・営業28.1万・介護22.9万・一般事務22.2万
  • 倍率と給料の両方が高いのは、建設技術職・電気工事・営業・看護

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の雇用関係指標(年度)、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の職業別の月間有効求人数・月間有効求職者数(第4表・第5表、パートを含む常用)と、求人平均賃金(第10表、パートを除く常用、受理地)。

  • 有効求人倍率|月間有効求人数÷月間有効求職者数。1倍なら求職者1人に求人1件
  • 職業計1.10倍|職業別の表の合計(職業分類できる求人・求職者)で計算した数字。都道府県ベースで集計した令和7年度の全国平均は1.21倍で、基準が違うため一致しない(都道府県別の有効求人倍率の記事
  • 求人平均賃金|ハローワークに出された求人の月給の平均。実際の採用額ではない
  • ハローワークの数字|転職サイトやエージェント経由の求人は含まない。情報処理や専門職は民間経由が多く、実態より低く出る

職業別の有効求人倍率と求人月給

主な職種を、倍率の高い順に並べた。

職種有効求人倍率前年度求人月給
建設躯体工事7.72倍8.56倍30.0万円
土木作業6.21倍6.10倍27.9万円
保安職業(警備等)6.38倍6.56倍22.1万円
建築・土木・測量技術者5.58倍5.58倍34.3万円
建設(躯体以外)4.37倍4.59倍28.8万円
機械整備・修理4.04倍4.13倍26.2万円
介護サービス3.84倍3.92倍22.9万円
電気工事3.37倍3.30倍28.2万円
生活衛生サービス(理美容等)3.13倍3.22倍27.2万円
医療技術者3.08倍3.09倍26.7万円
保健医療サービス2.90倍3.14倍20.3万円
社会福祉専門職2.65倍2.72倍25.2万円
自動車運転2.58倍2.61倍26.0万円
接客・給仕2.50倍2.89倍26.0万円
飲食物調理2.38倍2.76倍24.4万円
営業2.13倍2.20倍28.1万円
保健師・助産師・看護師2.04倍2.06倍26.6万円
製品製造・加工(金属)1.98倍2.08倍24.9万円
医師・歯科医師・薬剤師1.95倍2.21倍39.4万円
製造技術者(開発)1.88倍2.01倍30.8万円
商品販売1.79倍1.95倍24.3万円
情報処理・通信技術者1.45倍1.53倍34.7万円
教員1.38倍1.37倍24.5万円
生産関連事務1.36倍1.48倍24.5万円
清掃1.22倍1.42倍22.3万円
運搬1.08倍1.14倍23.5万円
職業計1.10倍1.14倍25.9万円
営業・販売事務0.98倍1.03倍24.5万円
法人・団体管理職員1.15倍1.17倍33.2万円
機械組立0.72倍0.68倍23.9万円
法務0.71倍0.85倍31.6万円
経営・金融・保険専門職0.62倍0.64倍31.1万円
会計事務0.61倍0.66倍25.2万円
一般事務0.34倍0.35倍22.2万円
事務用機器操作0.32倍0.35倍24.2万円
研究者0.22倍0.27倍28.3万円
美術家・デザイナー・写真家0.17倍0.18倍26.6万円
著述家・記者・編集者0.12倍0.15倍25.7万円

読み取れることは3つある。

1、建設・介護・運転・接客は求人が余っている。建設躯体は求職者1人に7.7件。介護は3.8件。人手が足りない職種は、ハローワークの数字にそのまま出る。

2、事務は求職者が余っている。一般事務0.34倍は、3人に1件。求職者483万人に対して求人163万件。事務職への転職が難しいのは、数字の上で明らかだ。

3、倍率が全体で下がっている。1.14倍から1.10倍。接客・調理・清掃などで下げ幅が大きく、飲食・サービスの求人が減っている。

倍率と給料は別の軸

倍率が高い(2倍以上)倍率が低い(1倍未満)
月給が高い(28万以上)建築土木技術者34.3万・建設躯体30.0万・電気工事28.2万・営業28.1万情報処理34.7万・管理職員33.2万・法務31.6万・経営金融31.1万
月給が低い(25万未満)介護22.9万・保安22.1万・調理24.4万・保健医療サービス20.3万一般事務22.2万・事務用機器24.2万・機械組立23.9万

両方が高いのは、建設系の技術職と営業。倍率が高くて給料が低い職種は、入りやすいが上がりにくい。倍率が低くて給料が高い職種は、入りにくいが入れば上がる。

介護は3.84倍で入りやすいが、月給22.9万円は職業計より3万円低い。業界別の平均賃金でも医療・福祉は下位で、年齢を重ねても上がりにくい(業界別の平均給料の記事)。

情報処理の1.45倍は低く見えるだけ

情報処理・通信技術者の倍率1.45倍は、建設や介護より低い。ただしIT職の求人は転職サイトとエージェント経由が中心で、ハローワークには出ないものが多い。転職した人が使った方法でも、ハローワークは34.3%で求人サイト39.4%より少ない(転職活動の期間と方法の実態の記事)。民間経由が多い職種は、この表の倍率より実態は高い。求人月給34.7万円で全職種の2位という数字のほうが、実態に近い。

職種を変える転職で、このデータをどう使うか

1、未経験で入りやすい職種は倍率で選ぶ|2倍以上の職種は、経験者だけでは埋まらない。営業2.13倍、機械整備4.04倍、電気工事3.37倍は未経験採用も多い。

2、入りやすさと給料を分けて見る|倍率が高くて給料が低い職種に入ると、入りやすかった分だけ上がりにくい。倍率2倍以上かつ月給28万円以上の職種を先に候補にする。

3、事務職への転職は倍率0.34倍を前提に動く|一般事務は求職者が3倍いる。事務を狙うなら、会計事務0.61倍・営業事務0.98倍・生産関連事務1.36倍のほうが、まだ通りやすい。

4、求人月給は上限でなく入口|ハローワーク求人の平均なので、経験者の実額や民間求人の額はこれより上になることが多い。

私は美容業界からWebスクールを経て、Web制作の中小企業に未経験で入った。当時のこの表なら、倍率も月給も中位の職種だった。入りやすさで選んだのではなく、その後の上がり方で選んだ。倍率だけで職種を決めると、入った後の上がり方を見落とす。

よくある誤解

「求人が多い職種なら安心」。介護3.84倍・保安6.38倍は求人が多いが、月給は22万円台。求人の多さは、辞める人の多さでもある。

「事務は未経験でも入りやすい」。一般事務0.34倍で、全職種の中でも最も通りにくい部類だ。

よくある質問

年代別の有効求人倍率は分かりますか?

求人には年齢の指定がないため、年代別の倍率は集計されていない。求職者数は年代別に分かり、25〜29歳と60〜64歳が多い。

都道府県で倍率は違いますか?

違う。同じ統計の都道府県別では、東京1.73倍・福井1.67倍から神奈川0.85倍・沖縄0.96倍まで幅があり、正社員だけなら全国1.01倍で北陸3県が1.4倍以上、神奈川は0.64倍になる。一覧は都道府県別の有効求人倍率の記事で書いた。

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