入社2年目で辞めたい。でも「3年は続けろ」と言われるし、自分だけが根性なしなのかと思ってしまう。
厚生労働省が、新卒で就職した人が3年以内に何%辞めたかを毎年出している。令和4年3月卒の大卒を、業界別・会社規模別に並べた。3人に1人が3年で辞める。業界で4倍違う。
先に一文で。大卒の3年以内離職率は33.8%で、1年目12.0%・2年目までに23.9%、業界では宿泊・飲食55.4%が最高で電気・ガス12.4%が最低、規模では5人未満57.5%から1,000人以上27.0%まで、辞めるかどうかは個人の根性より業界と規模で決まっている。
この記事の要点
- 全体33.8%。1年目12.0%、2年目までに23.9%
- 高い業界|宿泊飲食55.4・生活関連54.7・教育44.2・医療福祉40.8・小売40.4
- 低い業界|電気ガス12.4・化学15.3・機械16.8・製造21.2・金融25.0
- 規模|5人未満57.5%、1,000人以上27.0%
出典と数字の意味
出典は厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2025年10月公表)。新規学卒として雇用保険に加入した人を対象に、卒業3年後の6月時点で離職しているかを集計したものだ。令和4年3月卒は、2025年6月時点の数字になる。
「離職」は、その会社を辞めたことで、転職先が決まっているかどうかは問わない。
学歴別と推移
| 卒業年 | 大卒 | 高卒 | 短大等 |
|---|---|---|---|
| 平成21年3月卒(過去最低) | 28.8% | 35.7% | 39.3% |
| 平成31年3月卒 | 31.5% | 35.9% | 41.9% |
| 令和2年3月卒 | 32.3% | 37.0% | 42.6% |
| 令和3年3月卒 | 34.9% | 38.4% | 44.6% |
| 令和4年3月卒 | 33.8% | 37.9% | 44.5% |
大卒は3割前後で20年以上動いていない。「最近の若者は辞めやすい」という話は、統計上は成り立たない。平成8年3月卒(1996年)も33.6%だった。
令和4年3月卒の大卒の内訳
| 時点 | 離職率 |
|---|---|
| 1年目まで | 12.0% |
| 2年目まで | 23.9% |
| 3年目まで | 33.8% |
年に10ポイント前後ずつ積み上がる。2年目で辞める人は、1年目で辞める人と同じくらいいる。
業界別。最高と最低で4倍
| 業界 | 3年以内離職率 | 1年目まで |
|---|---|---|
| 宿泊業、飲食サービス業 | 55.4% | 22.9% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 54.7% | 25.4% |
| 教育、学習支援業 | 44.2% | 18.3% |
| 医療、福祉 | 40.8% | 13.7% |
| 小売業 | 40.4% | 15.5% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 38.8% | 15.3% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 36.5% | 15.2% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 33.9% | 11.8% |
| 運輸業、郵便業 | 31.5% | 12.3% |
| 建設業 | 30.5% | 11.3% |
| 卸売業 | 30.0% | 9.9% |
| 情報通信業 | 27.2% | 7.8% |
| 金融業、保険業 | 25.0% | 6.7% |
| 製造業 | 21.2% | 6.1% |
| うち機械関係 | 16.8% | 4.3% |
| うち化学工業 | 15.3% | 3.2% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 12.4% | 5.5% |
| 調査産業計 | 33.8% | 12.0% |
読み取れることは3つある。
1、宿泊・飲食と生活関連は半分以上が辞める。1年目だけで4人に1人。この2業界は、平均賃金も下位3業界に入り(業界別の平均給料の記事)、有給取得率も最低だ。給料が低く、休めず、辞める、が統計上つながっている。
2、製造・インフラ・金融は5人に1人以下。電気・ガスは12.4%で、宿泊・飲食の4分の1以下。給料が高く、有給が取れる業界が、そのまま辞めない業界になっている。
3、医療・福祉と教育は、給料が中位以下で離職率は上位。残業時間は短い業界(残業時間の平均の記事)だが、辞める人は多い。時間の長さでなく、仕事の負荷や人間関係で辞める形だ。
事業所規模別。小さい会社ほど辞める
| 事業所規模 | 3年以内離職率 | 1年目まで |
|---|---|---|
| 5人未満 | 57.5% | 30.2% |
| 5〜29人 | 52.0% | 24.0% |
| 30〜99人 | 41.9% | 16.0% |
| 100〜499人 | 33.9% | 11.8% |
| 500〜999人 | 31.5% | 10.2% |
| 1,000人以上 | 27.0% | 8.1% |
5人未満の事業所は、1年目だけで3割が辞める。1,000人以上は8.1%。規模の差は業界の差と同じくらい大きい。小さい会社の低い業界なら、3年で6割以上が辞める計算になる。
3年以内に辞める判断で、このデータをどう使うか
1、自分の業界と規模の離職率を見る。宿泊・飲食や5人未満の事業所で2年目に辞めたくなっているなら、それは半数以上が通る道で、あなたの根性の問題ではない。
2、辞める理由が、業界の平均と重なっているか。転職した人が前職を辞めた理由の上位は給料・労働条件・人間関係で、20代は給料と労働条件が特に高い(転職理由のランキングの記事)。低い業界にいて理由が給料と労働条件なら、会社を変えても同じ業界では繰り返す。業界ごと変える判断になる。
3、次に入る会社は、離職率の低い側から選ぶ。製造・インフラ・金融・情報通信で、規模が100人以上なら、3年以内離職率は3割を切る。
4、「3年は続けろ」の根拠は統計にない。3年以内に辞める人が3人に1人いて、それが20年以上変わっていない。3年続けた人だけが評価される仕組みなら、3割の人が毎年評価されないことになるが、実際にはその人たちも転職している。
私は1社目を1年以内に辞めた。美容業界は、この分類では生活関連サービス業に入る。3年以内離職率54.7%、1年目だけで25.4%の業界だった。当時は自分だけが辞めるのだと思っていたが、4人に1人が1年目で辞める業界にいただけだ。
よくある誤解
「3年以内に辞めると転職で不利」。3人に1人が辞めている以上、採用側もそれを前提に見ている。不利になるのは辞めたことでなく、辞めた理由を言えないことだ。
「大企業なら辞めない」。1,000人以上でも27.0%、4人に1人は辞める。規模で下がるが、ゼロにはならない。
仕事で強いストレスを感じている人の割合(公的データ)
厚労省の労働安全衛生調査(令和6年)では、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じている人は68.3%、正社員は74.6%、30代と40代は73%で、内容は仕事の量43.2%・失敗と責任36.2%・仕事の質26.4%・対人関係26.1%・会社の将来性22.2%だった。年代別・雇用形態別の表と、自分で変えられる内容かの分け方は仕事のストレスの割合と内容の記事で書いた。
職業別の有効求人倍率(公的データ)
厚労省の一般職業紹介状況(令和7年度)では、ハローワークの職業別の有効求人倍率は建設躯体7.72倍・土木6.21倍・介護3.84倍・営業2.13倍・看護2.04倍が高く、一般事務0.34倍・デザイナー0.17倍が低い。求人月給は情報処理34.7万円・建築土木34.3万円・営業28.1万円・介護22.9万円・一般事務22.2万円で、入りやすさと給料は別の軸になる。一覧は職業別の有効求人倍率の記事で書いた。
よくある質問
高卒の3年以内離職率も業界で違いますか?
違う。高卒全体は37.9%で、大卒より4ポイント高い。業界の傾向は大卒と同じで、宿泊・飲食と生活関連が高く、製造・インフラが低い。
離職率が低い会社を面接で見分けるには?
「直近3年の新卒入社者のうち、今も在籍している人数」を聞く。人数で答えられない会社は、把握していないか、答えたくない数字だ。求人票の「3年後定着率」も同じ意味の数字になる。
転職の資料をLINEで無料配布中
自分の業界と規模の離職率を確認して、辞める理由が平均と重なるかを判定する記入表(業界別・規模別一覧つき)を公式LINEで無料配布している。根性の問題か、場所の問題かを数字で分けよう。


