毎月30時間残業している。周りも同じだから普通だと思っていたが、他の会社や業界がどのくらいなのかは知らない。

厚生労働省が毎月、約3万事業所の労働時間を集めている。2025年分の確報から、業界別の残業時間を並べた。月13時間が平均。30時間なら平均の2倍以上だ。

先に一文で。フルタイム労働者の残業時間は月平均13.2時間で、運輸・郵便24.1時間が最長、医療・福祉6.7時間が最短、総実労働時間は160.5時間で出勤日数19.2日、給与は名目で2.9%増えたが物価を引いた実質では1.3%減った。

この記事の要点

  • 残業の平均|フルタイム月13.2時間、前年比2.0%減
  • 長い業界|運輸24.1・電気ガス16.9・情報通信16.5・飲食15.6
  • 短い業界|医療福祉6.7・複合サービス8.3・生活関連10.5
  • 固定残業代30時間分は、どの業界の平均も上回る

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」(2026年公表)。事業所規模5人以上の約3万事業所の、2025年1〜12月の月平均だ。

  • 所定外労働時間|会社が定めた労働時間を超えた時間。残業・休日出勤の合計で、会社が把握して支払った分だけが入る。サービス残業は含まれない
  • 一般労働者|パートタイム以外の労働者。正社員とフルタイムの契約社員
  • 総実労働時間|所定内+所定外の合計

全体の数字

項目一般労働者就業形態計(パート含む)
総実労働時間160.5時間135.1時間
所定内労働時間147.3時間125.3時間
所定外労働時間13.2時間9.8時間
出勤日数19.2日17.4日
現金給与総額46万5,923円35万5,941円
所定内給与34万634円26万7,532円

残業は前年比2.0%減、総実労働時間は1.0%減。残業は減る方向で動いている

業界別の残業時間(一般労働者)

業界所定外労働時間総実労働時間出勤日数
運輸業、郵便業24.1時間175.3時間19.9日
電気・ガス業16.9時間156.9時間18.6日
情報通信業16.5時間160.5時間18.8日
飲食サービス業等15.6時間172.6時間20.0日
教育、学習支援業14.8時間157.2時間19.0日
製造業14.7時間162.3時間19.1日
不動産・物品賃貸業14.5時間162.9時間19.3日
学術研究等14.2時間158.5時間18.8日
金融業、保険業13.6時間151.0時間18.6日
建設業13.5時間164.3時間20.0日
その他のサービス業13.0時間157.1時間18.9日
鉱業、採石業等12.4時間166.8時間20.4日
卸売業、小売業11.3時間161.3時間19.4日
生活関連サービス等10.5時間163.3時間20.0日
複合サービス事業8.3時間154.3時間19.0日
医療、福祉6.7時間153.6時間19.2日
調査産業計13.2時間160.5時間19.2日

読み取れることは3つある。

1、運輸だけ突出している。24.1時間で、2位の電気・ガスより7時間長い。ドライバーの時間外上限規制(2024年4月)の後でも、この水準だ。

2、残業が短い業界は、総労働時間も短いとは限らない。医療・福祉は残業6.7時間だが、飲食サービスは残業15.6時間で総実労働時間172.6時間。飲食・建設・生活関連は出勤日数が20日で、残業より出勤日数で総時間が伸びている。

3、情報通信は残業も給料も上位。残業16.5時間で3位、平均賃金40万6,000円で4位。残業の少なさと給料の高さは別の軸で、両方を取れる業界は電気・ガスくらいしかない(業界別の平均給料の記事)。

自分の残業が多いかを測る

  1. 直近3ヶ月の残業時間を、給与明細か勤怠から出す
  2. 上の表で、自分の業界の平均と比べる
  3. 平均の2倍以上なら、業界内でも多い側。3倍以上なら会社固有の問題

月30時間なら、全体平均の2.3倍で、最長の運輸の平均も上回る。月30時間が普通に見えているなら、見えている範囲が偏っている

サービス残業がある場合は、この統計より実態が長い。統計は支払われた分しか数えていないので、払われていない残業は、平均の外側にある

求人票の固定残業代を、この平均で読む

固定残業代の時間数全体平均との比読み方
10〜15時間分平均並み実態に近い設定
20時間分1.5倍業界によっては平均並み(運輸・情報通信)
30時間分2.3倍どの業界の平均も上回る
45時間分3.4倍36協定の原則上限。長時間労働が前提

固定残業代の時間数が業界平均の2倍を超えていたら、その時間まで働かせる前提か、基本給を低く見せる設定かのどちらかだ。確認する3点はみなし残業とはの記事、45時間の設定の危険はみなし残業45時間はやばいのかの記事で書いた。

面接では「直近1年の、配属予定の部署の平均残業時間」を聞く。答えが固定残業代の時間数と同じなら、その時間まで働くのが前提だ。

給料は上がったが、実質では減っている

2025年の現金給与総額は名目で2.3%増(一般労働者2.9%増)だったが、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)が3.7%上がったため、実質賃金は1.3%減だった。給料が上がった実感がないのは、上がった分より物価が上がっているからで、統計上もそうなっている。名目の平均の推移は平均給料の25年推移の記事で書いた。

私の1社目は残業代が出なかったので、この統計には残業時間として1分も入っていない。統計に出ない残業をしている会社は、平均と比べる以前の問題だ。まず払われているかを確認してから、時間数を比べる。

よくある誤解

「残業月30時間は普通」。フルタイム平均13.2時間の2.3倍。最も長い運輸の平均24.1時間も上回る。普通ではない。

「残業が少ない業界は楽」。医療・福祉は残業6.7時間だが、シフト・夜勤・休日出勤は所定内として数えられることがある。残業時間だけで楽かどうかは決まらない。

3年以内に辞める人の割合(公的データ)

厚労省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)では、大卒の3年以内離職率は33.8%で、1年目12.0%・2年目までに23.9%、業界では宿泊・飲食55.4%から電気・ガス12.4%、事業所規模では5人未満57.5%から1,000人以上27.0%まで差がある。辞めたい理由が根性の問題か場所の問題かは大卒の3年以内離職率の記事で測れる。

仕事で強いストレスを感じている人の割合(公的データ)

厚労省の労働安全衛生調査(令和6年)では、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じている人は68.3%、正社員は74.6%、30代と40代は73%で、内容は仕事の量43.2%・失敗と責任36.2%・仕事の質26.4%・対人関係26.1%・会社の将来性22.2%だった。年代別・雇用形態別の表と、自分で変えられる内容かの分け方は仕事のストレスの割合と内容の記事で書いた。

よくある質問

残業時間は年々減っていますか?

2025年は前年比2.0%減で、減る方向にある。ただし出勤日数も減っているため、1日あたりの密度は上がっている可能性がある。

残業が少なくて休日が多い業界はどこですか?

残業が短い医療・福祉・複合サービスと、年間休日が多い電気・ガス・金融・情報通信は一致しない。休日の側は年間休日の平均と分布の記事、有給は有給取得率の業界別一覧の記事で確認できる。

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