自分の会社は有給が取りにくい。でもそれが普通なのか、うちだけが異常なのかが分からない。周りに聞いても、同じ会社の人しかいない。

厚生労働省が毎年、企業の有給の付与日数と取得日数を調べている。最新の令和7年調査(2024年の実績)を、業界別・会社規模別に並べた。平均は66.9%。5割を切る業界は1つだけだ

先に一文で。有給の平均は付与18.1日・取得12.1日・取得率66.9%で過去最高、業界では電気・ガス・水道が75.2%で最高、宿泊・飲食が50.7%で最低、規模が大きいほど高く、自分の会社が5割を切っているなら業界を含めて仕組みとして低い場所にいる。

この記事の要点

  • 平均|付与18.1日・取得12.1日・取得率66.9%(過去最高)
  • 業界の幅|50.7%(宿泊・飲食)〜75.2%(電気・ガス・水道)
  • 規模の幅|64.9%(30〜99人)〜69.0%(1,000人以上)
  • 年5日の取得は会社の義務。取れていなければ法令違反

出典と数字の意味

出典は厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」(2025年12月公表)の「年次有給休暇の取得状況」。常用労働者30人以上の民営企業を対象に、2024年(または2023会計年度)の1年間の実績を集計したものだ。

  • 付与日数|その年に新しく付与された日数。繰越分は含まない
  • 取得日数|実際に取得した日数
  • 取得率|取得日数÷付与日数

全体と、規模別

区分付与日数取得日数取得率
令和7年調査計18.1日12.1日66.9%
1,000人以上18.5日12.8日69.0%
300〜999人18.4日12.3日66.8%
100〜299人17.8日11.7日65.5%
30〜99人17.4日11.3日64.9%
(前年 令和6年調査計)16.9日11.0日65.3%

取得率66.9%は調査開始以来の最高で、取得日数12.1日も過去最多だ。政府は令和10年までに取得率70%を目標にしている。

規模による差は約4ポイント。大きい会社ほど取りやすい傾向は、人員に余裕があることと、制度(計画的付与や取得促進)が整っていることの両方から来る。

業界別。5割を切るのは宿泊・飲食だけ

業界付与取得取得率
電気・ガス・熱供給・水道19.5日14.7日75.2%
鉱業・採石業18.2日13.5日74.3%
製造業18.8日13.7日72.8%
金融・保険19.6日14.3日72.8%
サービス業(他に分類されないもの)16.4日11.4日69.7%
医療・福祉17.7日12.1日68.4%
情報通信18.9日12.7日66.9%
学術研究・専門技術サービス18.4日12.3日66.8%
不動産・物品賃貸17.8日11.6日65.5%
運輸・郵便17.4日11.4日65.3%
建設18.3日11.1日60.7%
教育・学習支援18.3日11.1日60.5%
卸売・小売17.5日10.5日59.9%
生活関連サービス・娯楽17.7日10.6日59.6%
複合サービス事業19.7日11.2日57.1%
宿泊・飲食サービス15.9日8.0日50.7%

読み取れることは3つある。

1、インフラ・製造・金融は7割超。人員に余裕があり、休みが計画に組み込まれている業界だ。

2、建設・教育・小売・娯楽は6割前後。現場が回らない、繁忙期が固定されている、という理由で取りにくい。

3、宿泊・飲食は付与日数も取得日数も最低。付与15.9日、取得8.0日。業界全体として休みが少ない仕組みで、個人の交渉で変えるのは難しい。

計画的付与と特別休暇

計画的付与(会社が有給の一部を指定日に取らせる制度)がある企業は40.8%。あるなら、そのうち71.6%が5〜6日を指定している。この制度がある会社は、個人が申請しなくても一定日数は消化される。

特別休暇(夏季休暇・病気休暇など)がある企業は60.3%。内訳は夏季休暇41.5%、病気休暇28.4%、リフレッシュ休暇15.4%。有給とは別枠で休めるかどうかは、求人票の休暇欄で確認できる。

自分の会社が平均以下だった時

まず法律の最低ライン|年10日以上付与される人には、会社が年5日を取得させる義務がある。5日も取れていないなら、会社側の法令違反だ。

次に理由を分ける

  • 人員不足で物理的に休めない → 業界か会社の仕組みの問題。個人では変えにくい
  • 休みにくい空気 → 申請の記録を残し、計画的に取る。空気は申請で壊せる
  • 申請を断られる → 会社にあるのは時季変更権だけで、取得自体は拒めない。書面で申請し、通らなければ労働基準監督署へ(有給を取らせてくれない時の記事

業界全体が低い場合|個人の交渉より、会社を変えるほうが早い。取得率が高い業界(製造・金融・インフラ)や、規模の大きい会社に移ると、同じ働き方でも休める日数が変わる。休みの実態を求人票と面接で見抜く方法は定時で帰れる仕事の探し方の記事で書いた。

私の1社目は美容業界で、有給という言葉を聞いたことがなかった。取得率の低い業界にいると、それが普通だと思ってしまう。数字を見ると、普通ではなかったと分かる。

退職時の消化は別の話

退職時に残った有給をまとめて消化するのは、取得率の議論とは別で、会社は拒否できない。日数の数え方と伝える順番は有給消化とはの記事で書いた。

よくある誤解

「有給は半分取れていれば普通」。平均は3分の2だ。5割を切っているなら、平均より明確に低い。

「有給が取りにくいのは日本全体の話」。業界と規模で25ポイントの差がある。全体の話でなく、自分がいる場所の話だ。

年間休日の平均と分布(公的データ)

厚労省の就労条件総合調査(令和7年)では、年間休日は労働者1人平均116.6日、120日以上の企業は39.3%で上位4割、100〜109日が最も多い帯だった。自分の会社の位置は年間休日の平均と分布の記事で測れる。

業界別の平均給料(公的データ)

厚労省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、業界別の平均賃金は電気・ガス44万4,000円・金融保険43万7,000円・情報通信40万6,000円が上位、宿泊飲食27万7,200円・生活関連サービス29万5,200円が下位で、差は20代前半の6万円から50代後半の28万円に開く。16業界の表と年代別の開き方は業界別の平均給料の記事で書いた。

転職の判断に使う公的データの一覧

年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。

残業時間の平均(公的データ)

厚労省の毎月勤労統計調査(2025年分確報)では、フルタイム労働者の残業時間は月平均13.2時間で、運輸・郵便24.1時間が最長、医療・福祉6.7時間が最短だった。固定残業代30時間分はどの業界の平均も上回る。業界別の表と、自分の残業が平均の何倍かの測り方は残業時間の平均の記事で書いた。

3年以内に辞める人の割合(公的データ)

厚労省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)では、大卒の3年以内離職率は33.8%で、1年目12.0%・2年目までに23.9%、業界では宿泊・飲食55.4%から電気・ガス12.4%、事業所規模では5人未満57.5%から1,000人以上27.0%まで差がある。辞めたい理由が根性の問題か場所の問題かは大卒の3年以内離職率の記事で測れる。

よくある質問

有給の付与日数は法律でいくつと決まっていますか?

入社6ヶ月で10日、その後は勤続年数に応じて増え、6年6ヶ月以降は年20日が法定の最低日数になる。調査の平均付与日数18.1日は、勤続年数の分布を反映した数字だ。

取得率100%の会社はありますか?

制度として「全消化」を掲げる会社はあるが、統計上は業界平均で最高でも75%台だ。求人票の「有給取得率100%」は、一部の部署や特定年度の数字であることが多いので、面接で「部署単位の直近の取得率」を聞く。

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