辞めると決めた。でも残っている有給が20日以上ある。全部使えるのか、それとも捨てることになるのか。

結論から言う。会社に拒否する権利はない。ただし、順番を間違えると揉める。

先に一文で。退職時の有給消化は会社が拒否できない権利で、退職日から残日数を引いた日が実質の最終出社日になるため、退職を伝えると同時に日数を確定させ、そこから引き継ぎを組むのが揉めない順番だ。

この記事の要点

  • 会社にあるのは時季変更権だけ。退職時は使えない
  • 残日数は給与明細か勤怠システムで確認できる
  • 退職日−残日数=実質の最終出社日
  • 買い取りは原則不可。例外は退職時の未消化分など

拒否できない理由

有給の取得は労働者の権利だ。会社に認められているのは時季変更権、つまり「忙しいから別の日にしてほしい」とずらす権利だけになる。

ここが重要なところだ。退職日が決まっている場合、ずらす先が存在しない。だから時季変更権は事実上使えない。

「引き継ぎが終わっていない」「前例がない」「繁忙期だから」。どれも拒否の理由にならない。

残日数の確認

  • 給与明細|残日数が印字されている会社が多い
  • 勤怠システムのマイページ
  • 人事・総務に直接聞く

注意点が1つ。有給は付与から2年で時効消滅する。前年度分から先に消えていく計算になるので、去年の分を残している人は早めに使ったほうがいい。

逆算して最終出社日を出す

退職日 − 残日数(営業日)= 実質の最終出社日

例えば残20日で、退職日を10月31日にするなら、最終出社は10月の頭あたりになる。土日祝は有給を消費しないので、カレンダーで数える必要がある。計算の手順は退職日から有給を逆算する記事で書いた。

日付を先に確定させる。ここが曖昧なまま引き継ぎの話を始めると、「終わってから」という話になって消化できなくなる。

伝える順番

  1. 残日数を自分で確認する(会社に聞く前に)
  2. 退職の意思を伝える|この時点で退職希望日も出す
  3. 同じ場で有給消化の意向を伝える|「残っている◯日は消化したいと考えています」
  4. 書面かメールで残す|口頭だけにしない
  5. 最終出社日を確定させる
  6. そこから引き継ぎを組む

3を後回しにすると、引き継ぎのスケジュールが先に埋まってしまう。同じタイミングで出すのが要点だ。

切り出し方はこれで足りる。

「退職日は◯月末で考えています。有給が△日残っているので消化させていただき、最終出社は□月□日を想定しています」

お願いでなく、想定として伝える。権利なので、許可を求める言い方にする必要はない。

買い取りについて

有給の買い取りは原則として違法だ。休ませないための金銭解決を認めると、制度の意味がなくなるからだ。

ただし例外がある。

  • 退職時に消化しきれなかった分
  • 時効消滅する分
  • 法定日数を超えて会社が独自に付与している分

これらは買い取りが認められる。ただし会社に買い取る義務はないので、交渉事になる(有給の買い取りが違法になる場合の記事)。消化できるなら、消化するほうが確実だ。

残したまま辞めた場合にいくら損するかは有給を残して退職すると損なのかの記事で計算した。

よくある誤解

「有給消化中は転職先で働けない」。二重に在籍する形になるので、就業規則で禁じられている場合がある。開始日をずらすのが無難だ。

「消化中に賞与の支給日が来たら、もらえない」。在籍していれば支給対象になるのが原則だが、規程で「支給日に在籍」と定めている会社が多いので、支給日と退職日の前後関係を確認する。

よくある質問

有給消化中に会社から連絡が来たら対応すべきですか?

義務はない。有給は労働義務のない日なので、業務対応を求められる筋合いはない。とはいえ全部無視すると角が立つので、「メールのみ、緊急時に限る」と範囲を決めて伝えておくのが現実的だ。

消化を認めてもらえない場合はどうすればいいですか?

まず書面(内容証明でなくメールで足りる)で申請の記録を残す。それでも拒否が続くなら、労働基準監督署への相談が使える。実務としては、記録が残った時点で会社側が折れることが多い。

転職の資料をLINEで無料配布中

退職スケジュールの逆算シート(有給日数から最終出社日を出す形)を公式LINEで無料配布している。日付を先に決めれば、消化できないという事態は起きない。

LINEで無料の資料を受け取る