前任が辞めた。渡されたのは、更新が止まったエクセルが1枚。聞こうにも、もういない。
先に言っておく。その状態はあなたの責任ではない。ただし、放置するとあなたの責任にされる。そこだけ手を打つ。
先に一文で。引き継ぎがぐちゃぐちゃな時は、業務を一覧にして把握できている範囲と不明な範囲を分け、それを上長に共有した時点で個人の問題から組織の課題に変わる。
この記事の要点
- 最初にやるのは可視化。全部を理解しようとしない
- 上長への共有が最重要。共有すれば組織の課題になる
- 前任がいなくても、情報は4か所から集められる
- 抱え込むと、不備の責任まで背負うことになる
最初にやる3つ
1、現状を可視化する
引き継いだ業務を一覧にして、3つに分ける。
- わかる|手順も目的も把握している
- わからない|存在は知っているが、やり方が不明
- 不明|そもそも何があるか把握できていない可能性がある領域
3つ目を書けるかどうかが分かれ目になる。「把握できていない範囲がある」と明示すること自体が、あとで効く。
2、優先順位をつける
止まると誰かが困るもの、期限があるものを上に置く。全部を同時に把握しようとすると必ず潰れる。
3、上長に共有する
一覧を見せて、こう伝える。
「引き継ぎを受けた業務を整理しました。ここまでは把握できていますが、この部分は資料も引き継ぎもなく不明です。優先順位をご確認いただけますか」
これが一番重要だ。共有しないまま抱えると、あとで問題が出た時にあなたの落ち度として扱われる。共有した時点で、それは組織の課題に変わる。
前任がいない時、情報はどこにあるか
1、メールと共有フォルダの検索
過去のやり取りに手順も経緯も残っている。案件名や取引先名で検索すると早い。「なぜこうなっているのか」の答えは、たいてい過去のメールにある。
2、隣接部署
経理、総務、システム担当。その業務が外からどう見えていたかを知っている。締切や提出先は、彼らのほうが正確に覚えていることがある。
3、取引先
先方の担当者のほうが経緯を覚えているのは珍しくない。引き継ぎの挨拶を兼ねて聞けば、失礼にもならない。
4、実際に動かしてみる
手順が不明なものは、影響の小さいものから試して記録する。動かさないと、いつまでも不明なままだ。
そして集めた情報はその場で資料に落とす。次に困るのはあなたの後任で、同じことを繰り返させる理由はない。引き継ぐ側の手順は引き継ぎとは何をどこまでやることかの記事で書いた。
抱え込まないための線引き
- 不明な部分を「調べておきます」で終わらせない|期限と、必要な協力を添えて出す
- 前任の不備を謝らない|「すみません、把握できておらず」を繰り返すと、責任がこちらに移る
- 残業で埋めない|時間で解決すると、その状態が標準になる
- 記録を残す|いつ、何を、誰に共有したか。日付つきで
4つ目は自衛でもあり、評価材料でもある。混乱した状態を整理した実績は、そのまま次の職務経歴書に書ける。
中途入社直後なら、なおさら共有する
入ったばかりで言い出しにくい、という感覚はわかる。ただ、最初の1か月は質問が許される期間であって、ここを逃すと聞きにくくなる。
新しい職場での立ち上がりについては中途入社でなじめない時の記事で書いた。渡す側になった時の手順は引き継ぎが終わらないと言われた時の記事も参考になる。
よくある誤解
「聞かずに自分で調べるのが優秀」。程度による。1時間調べてわからないことは、聞いたほうが早い。判断の速さも評価対象だ。
「引き継ぎ不足を指摘すると、前任を悪く言うことになる」。ならない。事実として不足を共有するのと、人を責めるのは別だ。「資料が残っていない」と言えば足りる。
よくある質問
引き継ぎ後にミスが出たら、自分の責任になりますか?
事前に不明点を共有していれば、組織の問題として扱われる。共有していなければ、あなたの管理不足として扱われやすい。だから最初の共有が効く。メールで残しておくのが確実だ。
業務量が明らかに一人分を超えています
これも可視化と共有で扱う。一覧に想定時間を書き添えて、「この量だと通常勤務時間に収まりません」と数字で出す。感覚で訴えるより、時間で示すほうが動く。
転職の資料をLINEで無料配布中
引き継ぎ受け取り用の棚卸しシート(わかる・わからない・不明の3欄つき)を公式LINEで無料配布している。埋めて上長に見せるだけで、状況が変わる。


