求人票に「月給28万円(固定残業代含む)」とある。悪くない額に見える。でもこの1行には、確認しないと損する情報が抜けている。
みなし残業は違法な制度ではない。問題になるのは、時間数と基本給が伏せられている時だ。
先に一文で。みなし残業とは一定時間分の残業代を先に給与へ含める仕組みで、超過分の支払い義務は残るため、求人票では「何時間分か・基本給はいくらか・超えたらどうなるか」の3点だけ確認すればいい。
この記事の要点
- 残業代が出ない制度ではない。超過分の支払い義務は残る
- 確認は3点。時間数・基本給・超過分の扱い
- 45時間超の設定は、恒常的な長時間労働の可能性が高い
- 答えられない会社が一番危ない
仕組み
「月給28万円(固定残業代30時間分・5万円を含む)」という表記なら、内訳はこうなる。
- 基本給など|23万円
- 固定残業代|5万円(30時間分)
30時間までは、残業しなくても5万円が出る。逆に35時間働いたら、超過5時間分を追加で払う義務が会社にある。ここを払わないのは違法だ。
求人票で確認する3点
1、何時間分が含まれているか
20時間程度なら一般的な水準だ。45時間を超える設定は要注意で、恒常的にそれだけ働く前提だと読める。45時間の場合の実際はみなし残業45時間はやばいのかの記事で書いた。
2、固定残業代を除いた基本給
ここが見落とされやすい。賞与・退職金・昇給は基本給を基準に計算されることが多い。月給28万でも基本給が18万なら、賞与2か月分は36万円にしかならない。基本給と手取りの関係は固定給とはの記事で整理した。
3、超過分が実際に支払われているか
制度としては払う義務があるが、運用で払われていない会社は実在する。面接で聞く。
「固定残業の30時間を超えた月は、どのように処理されていますか」
答えが曖昧、あるいは「そんなに残業する人はいません」とはぐらかされたら、そこが答えだ。
違法になるケース
- 時間数と金額が明示されていない|どこまでが固定残業代か区別できない状態は無効とされうる
- 超過分を支払わない|これは明確に違法
- 最低賃金を下回る|固定残業代を除いた基本給で計算して下回る場合
- 深夜・休日割増を含めているのに区別がない|割増率が違うので、まとめての処理はできない
給与明細で基本給と固定残業代が分かれていない場合は、労働条件通知書を確認する(労働条件通知書の見方の記事)。
面接で聞いても失礼にならない
「残業のことを聞くと印象が悪い」と思って黙る人が多い。逆だ。条件の確認は、入社後のトラブルを防ぐための正当な質問であり、まともな会社は普通に答える。
聞き方を柔らかくするなら、こう。
「入社後の働き方をイメージしたいのですが、固定残業の時間数と、超えた場合の扱いを教えていただけますか」
これで不機嫌になる会社なら、入社後もその調子だ。
よくある誤解
「みなし残業がある会社はブラック」。制度自体は適法で、大手にも普通にある。判断は時間数と運用で行う。
「固定残業代の分は、残業しないと損」。しない。時間内なら働かなくても支払われる。むしろ早く終わらせるほうが時給換算では得になる。
時間内に終わったら帰っていいのか
固定残業代がある会社で、残業が少なかった月に罪悪感を持つ人は多い。制度としては先に払っているものなので、時間内に終わったなら帰って構わない。理由と、帰りにくい空気への対処はみなし残業でも定時で帰っていいのかの記事で書いた。
裁量労働制と言われた場合
固定残業代と混同されやすいが、裁量労働制は別の仕組みで、対象になる業務も限られている。実際にどう運用されているかは裁量労働制の実情の記事で書いた。
よくある質問
みなし残業の時間数は途中で変えられますか?
労働条件の変更にあたるので、原則として本人の同意が必要になる。会社が一方的に時間数を増やして残業代の実額を減らすことはできない。通知が来たら内容を書面で確認するといい。
転職先を比べる時、みなし残業込みの月給で比較していいですか?
しないほうがいい。基本給で比べるのが正しい。月給が同じでも、基本給20万+固定残業8万の会社と、基本給26万+固定残業2万の会社では、賞与も退職金も残業時の実入りも変わる。
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