独立して1年目の1月。確定申告という言葉は知っているが、何を用意して、どこから手を付けて、いくら払うのかが分からない。税務署に呼び出されるのではないかという不安だけがある。
1年目の申告は、還付で終わる人が多い。1年目の確定申告は、還付で終わる人が多い。怖がる前に順番だ。必要書類と、青色65万の条件と、1月から3月16日までの手順を書く。
先に一文で。1年目の確定申告は、売上と経費の記録・領収書・支払調書・国保と年金の納付額・控除証明書・前職の源泉徴収票・マイナンバーカードを1月に揃え、青色65万は承認申請済み+複式簿記+決算書添付+e-Taxで受けられ、10.21%の源泉徴収がある人は還付になりやすく、消費税は1,000万以下なら免税で、期限は3月16日だ。
この記事の要点
- 用意する物8つ。会計ソフトに口座を連携していれば集計は自動
- 青色65万|承認申請済み・複式簿記・決算書添付・e-Tax。紙は55万
- 源泉徴収10.21%された人は、申告で戻ることが多い
- 期限3月16日。還付だけなら1月から。消費税は1,000万以下で免税
1月に用意するもの
| 書類 | 何に使うか | 入手先 |
|---|---|---|
| 売上と経費の記録 | 決算書 | 会計ソフト(口座・カード連携)か帳簿 |
| 請求書・領収書・レシート | 経費の証拠。7年保存 | 自分で保管 |
| 支払調書 | 源泉徴収された額の確認 | 取引先(届かない場合も多い。自分の記録で可) |
| 国民健康保険の納付額 | 社会保険料控除 | 自治体の納付書・通知 |
| 国民年金の控除証明書 | 社会保険料控除 | 11月頃に年金機構から |
| 生命保険料・地震保険料の控除証明書 | 保険料控除 | 10〜11月に保険会社から |
| iDeCo・小規模企業共済の払込証明書 | 全額所得控除 | 10〜11月に運営機関から |
| 前職の源泉徴収票 | 年の途中で独立した人の給与分 | 前の会社(退職後1ヶ月以内に発行) |
| マイナンバーカード+スマホ | e-Taxのログイン | ― |
口座とカードを事業用に分けて会計ソフトに連携していれば、1月の作業は確認だけになる(屋号の決め方と事業用口座の記事、個人事業主の会計ソフトの比較の記事)。
手順(1月〜3月16日)
- 売上を確定する|請求書ベース(発生主義)で、12月に請求して1月入金の分も前年の売上に入れる
- 経費を確定する|事業に使った分。家賃・通信費・電気代は事業使用割合で家事按分(個人事業主の経費はどこまでかの記事)
- 決算書を作る|青色は貸借対照表と損益計算書、白色は収支内訳書。会計ソフトが出す
- 所得控除を入れる|国保・国民年金(全額)、iDeCo・小規模企業共済(全額)、生命保険料、基礎控除(2026年分は合計所得489万以下で104万)
- 源泉徴収税額を入れる|支払調書か自分の記録から。10.21%を引かれた報酬の合計
- e-Taxで送信|確定申告書等作成コーナーか会計ソフトから。マイナンバーカードでログイン
- 納付か還付|納める場合は3月16日まで(振替納税なら4月中旬の引落し)。還付は3週間前後で振込
年の途中で独立した人は、前職の給与(源泉徴収票)と事業所得を合算して申告する。給与で払った所得税が戻ることが多い(会社員でも確定申告が必要な人の記事)。
青色申告65万円控除の4条件
| 条件 | 内容 | 満たさないと |
|---|---|---|
| 承認申請 | 開業から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出 | 白色申告(控除なし) |
| 複式簿記 | 会計ソフトなら自動 | 簡易簿記は10万円 |
| 決算書の添付 | 貸借対照表と損益計算書 | 10万円 |
| e-Tax提出(か電子帳簿保存) | マイナンバーカードで送信 | 紙提出は55万円 |
所得300万の人で年約13万、500万で約20万の税が減る。承認申請を出し忘れた1年目は白色で、翌年分から青色にする(青色申告と白色申告の違いの記事、フリーランスが開業届を出さない場合の記事)。
源泉徴収された報酬は戻ることが多い
原稿料・デザイン料・講演料など一部の報酬は、取引先が10.21%(100万超の部分は20.42%)を源泉徴収して国に納めている。これは所得税の前払いで、1年目は所得が少なく、青色控除と基礎控除で税額が小さいので、申告すると差額が戻る。売上300万・源泉徴収30万・所得150万なら、所得税は数万円で、20万以上が還付になる計算だ。請求書に源泉徴収の額を書く方法はフリーランスの請求書の書き方の記事で書いた。
消費税|1年目は免税、インボイスは2割特例
| 状況 | 消費税 |
|---|---|
| 2年前の売上が1,000万以下(1年目・2年目は原則なし) | 免税。申告不要 |
| インボイス登録した | 免税でも課税事業者になる。2割特例で、受け取った消費税の2割を納める(2026年9月までの申告分) |
| 売上1,000万超 | 2年後から課税事業者。簡易課税か本則 |
インボイス登録の判断はインボイス制度をフリーランス向けに分かりやすくの記事、簡易課税は簡易課税とみなし仕入率の記事で書いた。
1年目にやりがちな失敗
- 12月請求・1月入金を翌年の売上にする。請求日の年で計上する
- 国保と国民年金を控除に入れ忘れる。年30〜60万の控除が消える(国民健康保険が高い時の対策の記事)
- 前職の源泉徴収票を入れ忘れる。給与分の還付が消える
- 領収書を捨てる。7年保存。スマホ撮影で電子保存も可
- 住民税と国保の後払いを忘れる。前年の給与所得に対する住民税と、事業所得に対する翌年の国保が来る(退職後の住民税はいくらかの記事)
2年目から変わること
前年の所得税が15万を超えると、7月と11月に予定納税(前年の3分の1ずつの前払い)が来る。減る見込みなら減額申請できる(予定納税とは何かの記事)。国保も、2年目に前年の事業所得ベースで上がる。手取りの全体は個人事業主の手取り早見表の記事、独立後のお金の5段階は独立・副業・お金の完全ガイドで書いた。
私は会社員の時に副業のブログ収入で確定申告を始めていたので、独立1年目の申告は、事業所得の額が増えただけで手順は同じだった。1年目に怖かったのは申告でなく、翌年に来た住民税と国保の額だ。申告は会計ソフトの確認で終わる。取り分けるべきは、後払いの税と保険料のほうだ。
よくある誤解
「1年目は売上が少ないから申告しなくていい」。所得が基礎控除以下でも、源泉徴収された分を取り戻すには申告が要る。住民税の申告も別に必要になる。
「青色申告は難しい」。会計ソフトに口座を連携すれば複式簿記は自動。条件はe-Taxで出すことだけだ。
フリーランスの節税の順番と効果
所得500万のフリーランスの年間の税と保険料は、青色65万で25.2万、小規模企業共済84万で15.9万、iDeCo90万で16.8万、両方で29.5万、経費50万で17.2万減る。青色は掛金なしで最初、共済とiDeCoは貯金6ヶ月の後、国保は所得控除では減らない。所得別の早見表と順番はフリーランスの節税を効果の大きい順にの記事で書いた。
フリーランスに税理士は必要か
税理士の費用は確定申告だけで5〜15万、個人の顧問で年20〜45万、法人で年40〜90万。売上1,000万以下の免税事業者で取引が単純なら会計ソフトで足り、頼むのは消費税の課税事業者・法人化・税務調査・売上の急増の時。記帳は自分でやり申告だけ頼めば費用は半分になる。相場と線はフリーランスに税理士は必要かの記事で書いた。
フリーランスの消費税はいつから払うか
消費税は2年前の売上1,000万超で課税、前年上半期1,000万超(売上も給与も)なら翌年から、インボイス登録なら登録日から課税になる。納税額は本則(受取−支払)・簡易(サービス業は受取の50%)・2割特例(受取の20%、2026年9月まで)で、売上1,200万のサービス業なら90万・60万・24万。判定と手順はフリーランスの消費税はいつから払うかの記事で書いた。
業務委託の源泉徴収の計算
源泉徴収は原稿料・デザイン料・講演料・翻訳・士業など所得税法204条の報酬が対象で、開発・コーディング・事務代行・営業代行は対象外。税率は100万以下10.21%・超は20.42%で、請求書で消費税を分ければ税抜にかかる(30万なら30,630円)。引かれた額は所得税の前払いで確定申告で精算され、1年目は還付が多い。対象の一覧と請求書の書き方は業務委託の源泉徴収はどう計算するかの記事で書いた。
よくある質問
税理士に頼むべきですか?
売上1,000万未満で取引が単純なら、会計ソフトで自分でできる。消費税の課税事業者になった年、法人化を考える年、税務調査の連絡が来た時に頼めばいい。
支払調書が届かない取引先があります
取引先に個人への支払調書の交付義務はない。自分の請求書と入金の記録で源泉徴収額を計算して申告すればいい。
独立の資料をLINEで無料配布中
1年目の確定申告の書類チェック(8項目)と、青色65万の4条件、1月〜3月16日の手順を並べた記入表を公式LINEで無料配布している。怖がる前に、順番を1回並べよう。

