売上が1,000万を超えた。消費税を払うのは今年からか、来年からか。インボイスに登録したら関係なく払うのか。いくら払うのか、簡易課税と2割特例はどう違うのか。取引先に聞かれても答えられない。
消費税は2年遅れて来る。消費税は2年遅れて来る。売上1,000万を超えた年でなく、その2年後だ。いつから払うかの3つの判定と、納税額の3方式の比較と、課税事業者になった年にやることを書く。
先に一文で。消費税は2年前の売上1,000万超で課税、前年上半期1,000万超(給与も超)なら翌年から、インボイス登録なら登録日から課税になり、納税額は本則(受取−支払)・簡易(サービス業は受取の50%)・2割特例(受取の20%、2026年9月まで)で、売上1,200万のサービス業なら90万・60万・24万、申告は翌年3月31日だ。
この記事の要点
- いつから|2年前の売上1,000万超→その年。前年上半期1,000万超(売上も給与も)→翌年。インボイス登録→登録日
- いくら|本則90万、簡易60万、2割特例24万(売上1,200万・経費300万のサービス業)
- 簡易課税は前年末までに届出。2割特例は届出不要で2026年9月まで
- 申告と納付は翌年3月31日。所得税とは別
いつから払うか(3つの判定)
| 判定 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 基準期間 | 2年前の課税売上高が1,000万超ならその年は課税 | 2025年の売上1,200万→2027年から課税。2025・2026年は免税 |
| 特定期間 | 前年1〜6月の売上と給与支払額の両方が1,000万超なら翌年から課税 | 2026年上半期の売上1,100万でも、給与を払っていなければ免税のまま |
| インボイス登録 | 登録日から課税事業者 | 売上500万でも登録すれば課税 |
独立1年目と2年目は、2年前の売上がないので原則免税。1年目に1,000万を超えても、払い始めるのは3年目からだ。その間に受け取った消費税は納めなくてよく、売上として所得税の対象になる。インボイス登録の判断はインボイス制度をフリーランス向けに分かりやすくの記事で書いた。
いくら払うか(3方式の比較)
売上1,200万(税抜、消費税120万)、経費300万(税抜、消費税30万)のサービス業(デザイン・ライティング・コンサル・エンジニア)。
| 方式 | 計算 | 納税額 | 使える人 |
|---|---|---|---|
| 本則課税 | 受け取った消費税120万−払った消費税30万 | 90万円 | 全員 |
| 簡易課税 | 120万×(1−みなし仕入率50%) | 60万円 | 2年前の売上5,000万以下で、前年末までに届出 |
| 2割特例 | 120万×20% | 24万円 | インボイス登録で免税から課税になった人。届出不要。2026年9月30日を含む課税期間まで |
みなし仕入率は業種で違う(卸売90%、小売80%、製造70%、その他60%、サービス50%、不動産40%)。経費の割合が小さいフリーランスは簡易課税が有利、機材や外注が多い人は本則が有利(簡易課税とみなし仕入率の記事)。2割特例が終わった後は、簡易課税の届出を出しておかないと本則になる。
課税事業者になった年にやること
- 届出|基準期間で課税になる人は課税事業者届出書。簡易課税を使うなら、課税になる年の前年末までに簡易課税制度選択届出書(2割特例の終了後に簡易へ移る人も同じ)
- 価格の転嫁|見積もりと請求書を税抜表示+消費税に変える。免税時代に税込で出していた人は、実質の値上げになるので取引先に説明する(フリーランスの請求書の書き方の記事)
- 会計ソフトの設定|課税事業者・簡易か本則・税込か税抜経理を設定する。取引ごとの消費税区分が要る
- 納税資金の取り分け|受け取った消費税の20〜50%を別口座に置く。翌年3月31日に一括で来る
- 申告|所得税の確定申告(3月16日)とは別に、消費税の申告と納付を翌年3月31日までに行う。振替納税なら4月下旬
課税事業者になった年は、税理士に頼む線でもある(フリーランスに税理士は必要かの記事)。
免税に戻れるか
基準期間(2年前)の売上が1,000万以下に戻れば、その年は免税に戻る。ただしインボイス登録をしている間は戻れず、登録を取り消す届出(取消日の属する課税期間の15日前まで)が要る。簡易課税を選んだ人は2年間は変えられない。売上が1,000万前後で上下する人は、2年遅れの判定で課税と免税が交互に来るので、毎年の売上を12月に確認して翌年の扱いを決める。
手取りへの影響
売上1,200万のサービス業が課税事業者になると、簡易課税で60万、本則で90万の消費税が出ていく。所得税・住民税・国保と合わせた手取りの計算は個人事業主の手取り早見表の記事、節税の順番はフリーランスの節税の順番の記事で書いた。売上1,000万を少し超える年は、簡易課税で年50万前後が消える計算になるので、売上980万で止めるか、1,200万まで伸ばすかの判断が要る。
私はフリーランス4年目で、インボイスは取引先の要請で登録した。登録した年から課税事業者になり、2割特例で受け取った消費税の2割を納めている。特例が終わる前に簡易課税の届出を出す予定で、経費の割合が小さいので本則より簡易のほうが合う。免税の間に納税資金を取り分けていなかったら、初年度の3月に慌てていた。
よくある誤解
「売上1,000万を超えた年から消費税を払う」。払うのは2年後から。ただしインボイス登録していれば登録日から払う。
「消費税は売上の10%全部を払う」。本則は払った消費税を引き、簡易はサービス業なら半分、2割特例なら2割で済む。
業務委託の源泉徴収の計算
源泉徴収は原稿料・デザイン料・講演料・翻訳・士業など所得税法204条の報酬が対象で、開発・コーディング・事務代行・営業代行は対象外。税率は100万以下10.21%・超は20.42%で、請求書で消費税を分ければ税抜にかかる(30万なら30,630円)。引かれた額は所得税の前払いで確定申告で精算され、1年目は還付が多い。対象の一覧と請求書の書き方は業務委託の源泉徴収はどう計算するかの記事で書いた。
よくある質問
給与所得と事業所得がある年の判定は?
課税売上高は事業の売上だけで判定する。会社員の給与は含まない。副業の売上が1,000万を超えることは少ないので、副業のうちはほぼ免税だ。
消費税の納税額は経費になりますか?
税込経理なら納めた消費税を租税公課として経費にできる。税抜経理なら損益に影響しない(売上と経費を税抜で計上しているため)。会計ソフトの設定で決まる。
独立の資料をLINEで無料配布中
2年前・前年上半期・インボイスの3判定で課税か免税かを判定し、売上と経費から本則・簡易・2割特例の納税額を並べる記入表を公式LINEで無料配布している。消費税は2年後に来る。今年の売上から、2年後の3月を決めよう。

