売上は上がっているのに、税金と保険料を払ったら手元に残らない。月いくら残るのか、会社員の時と比べてどうなのか、計算が面倒で分からないままにしている。
2026年(令和8年)の税率と保険料で、売上と経費率ごとの手取りを一覧にした。売上500万で手取り301万。会社員の年収500万より92万少ない。
先に一文で。個人事業主の手取りは経費率20%で売上300万なら約186万・500万なら約301万・800万なら約447万・1,000万なら約536万で売上の53〜62%、会社員の同じ額より2割前後少なく、月30万を残すには売上610万前後が要る。
この記事の要点
- 売上500万(経費20%)→手取り301万。会社員の年収500万は393万
- 手取り率は売上300万で62%、1,000万で54%
- 引かれる順|国保→年金→住民税→所得税→事業税
- 月30万残すには売上610万、月40万には870万が目安
計算の前提
- 所得税は2026年(令和8年)分(基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、給与所得控除の最低74万円)、住民税は令和8年度、2025年度の東京23区の国民健康保険料率、国民年金保険料は月17,920円
- 40歳未満、扶養なし、青色申告特別控除65万円(電子申告)
- 個人事業税は事業所得290万円超に5%(対象外の業種は0)
- 消費税は含まない(免税事業者の前提。インボイス登録者は別途)
- iDeCo・小規模企業共済などの上乗せ控除は使っていない
国保は自治体で年10万円以上変わる。±5万円の幅がある目安として読む。
売上×経費率の手取り早見表
| 売上 | 経費率 | 国保 | 年金 | 所得税 | 住民税 | 事業税 | 手取り(年) | 月の手取り |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 10% | 25.0万 | 21.5万 | 2.8万 | 11.8万 | 0 | 208万円 | 17.4万 |
| 300万円 | 20% | 21.6万 | 21.5万 | 1.4万 | 9.1万 | 0 | 186万円 | 15.5万 |
| 300万円 | 30% | 18.1万 | 21.5万 | 0.1万 | 6.5万 | 0 | 163万円 | 13.7万 |
| 400万円 | 10% | 35.4万 | 21.5万 | 6.8万 | 19.8万 | 3.5万 | 273万円 | 22.8万 |
| 400万円 | 20% | 30.8万 | 21.5万 | 5.0万 | 16.2万 | 1.5万 | 244万円 | 20.4万 |
| 400万円 | 30% | 26.2万 | 21.5万 | 3.2万 | 12.7万 | 0 | 216万円 | 18.0万 |
| 500万円 | 10% | 45.7万 | 21.5万 | 11.9万 | 27.7万 | 8.0万 | 335万円 | 27.9万 |
| 500万円 | 20% | 40.0万 | 21.5万 | 8.7万 | 23.3万 | 5.5万 | 301万円 | 25.1万 |
| 500万円 | 30% | 34.2万 | 21.5万 | 6.4万 | 18.9万 | 3.0万 | 266万円 | 22.2万 |
| 600万円 | 10% | 56.0万 | 21.5万 | 20.0万 | 35.7万 | 12.5万 | 394万円 | 32.9万 |
| 600万円 | 20% | 49.2万 | 21.5万 | 14.6万 | 30.4万 | 9.5万 | 354万円 | 29.6万 |
| 600万円 | 30% | 42.3万 | 21.5万 | 9.6万 | 25.1万 | 6.5万 | 315万円 | 26.3万 |
| 700万円 | 10% | 66.4万 | 21.5万 | 40.1万 | 43.7万 | 17.0万 | 441万円 | 36.8万 |
| 700万円 | 20% | 58.3万 | 21.5万 | 27.4万 | 37.5万 | 13.5万 | 401万円 | 33.5万 |
| 700万円 | 30% | 50.3万 | 21.5万 | 15.5万 | 31.3万 | 10.0万 | 361万円 | 30.1万 |
| 800万円 | 10% | 76.7万 | 21.5万 | 56.3万 | 51.6万 | 21.5万 | 492万円 | 41.0万 |
| 800万円 | 20% | 67.5万 | 21.5万 | 41.9万 | 44.5万 | 17.5万 | 447万円 | 37.3万 |
| 800万円 | 30% | 58.3万 | 21.5万 | 27.4万 | 37.5万 | 13.5万 | 401万円 | 33.5万 |
| 1,000万円 | 10% | 94.6万 | 21.5万 | 90.5万 | 67.8万 | 30.5万 | 595万円 | 49.6万 |
| 1,000万円 | 20% | 85.9万 | 21.5万 | 71.8万 | 58.7万 | 25.5万 | 536万円 | 44.7万 |
| 1,000万円 | 30% | 74.4万 | 21.5万 | 52.7万 | 49.9万 | 20.5万 | 480万円 | 40.1万 |
| 1,200万円 | 10% | 98.4万 | 21.5万 | 130.7万 | 85.5万 | 39.5万 | 704万円 | 58.7万 |
| 1,200万円 | 20% | 96.3万 | 21.5万 | 103.0万 | 73.7万 | 33.5万 | 632万円 | 52.7万 |
| 1,200万円 | 30% | 90.5万 | 21.5万 | 79.1万 | 62.2万 | 27.5万 | 559万円 | 46.6万 |
読み取れることは3つある。
1、国保が最大の負担。売上500万(経費20%)で国保40万、所得税8.6万。会社員の健康保険と違って全額自己負担で、所得に比例して上がり、上限は年92万円(40歳未満、東京23区)に達する。
2、売上400万で個人事業税が始まる。事業所得(青色控除前)が290万を超えた分に5%。売上1,000万で25〜30万になる。文筆業など対象外の業種もある。
3、経費率10%の差は、手取りで年30〜60万の差。売上800万で経費率10%と30%の手取り差は91万。経費を使うと手取りは減るが、税と国保はその4〜5割分だけ減る。経費は使うと手取りが減る。節税のために使う経費は、手取りを減らしている。
会社員の同じ額との比較
| 額 | 会社員の手取り(年収として) | 個人事業主の手取り(売上・経費20%) | 差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 241万円 | 186万円 | −55万円 |
| 500万円 | 393万円 | 301万円 | −92万円 |
| 700万円 | 531万円 | 401万円 | −130万円 |
| 1,000万円 | 727万円 | 536万円 | −191万円 |
差の中身は、会社が半分払っていた社会保険料がなくなること、国保が所得比例で上がること、個人事業税の3つだ。同じ手取りを残すには、会社員の年収の1.2〜1.3倍の売上が要る。ただし個人事業主の売上には経費が含まれているので、経費を実際にほぼ使わない仕事(在宅の制作・執筆・コンサルなど)なら差は縮まる。会社員側の早見表は年収別の手取り早見表の記事で書いた。
ここまでのまとめ
・売上500万(経費20%)→手取り301万。会社員の年収500万は393万
・手取り率は売上300万で62%、1,000万で54%
・引かれる順|国保→年金→住民税→所得税→事業税
月の手取りから必要な売上を逆算する
| 欲しい月の手取り | 必要な売上(経費率20%) | 経費率10%なら |
|---|---|---|
| 20万円 | 390万円 | 350万円 |
| 25万円 | 500万円 | 440万円 |
| 30万円 | 610万円 | 540万円 |
| 35万円 | 740万円 | 660万円 |
| 40万円 | 870万円 | 780万円 |
| 50万円 | 1,140万円 | 1,010万円 |
月30万を残すには売上610万、月に51万の請求が要る。時給換算で、月160時間働くなら時給3,200円、100時間なら5,100円。単価の上げ方はフリーランスの単価の上げ方の記事で書いた。
手取りを増やす順番
- 青色申告65万控除|電子申告で65万。していなければ所得税と住民税で年10〜20万変わる
- 小規模企業共済|掛金が全額所得控除。月7万なら年84万の控除で、税と住民税が15〜30万減る。ただし手元の現金は減る
- iDeCo|個人事業主は月6.8万まで。同じく全額控除
- 国保の見直し|業種によっては国保組合(文芸美術・建設など)のほうが安い。所得が高いほど差が出る
- 法人化|売上800〜1,000万を超えたあたりで、社会保険と税の合計が逆転することがある
2と3は手取りを「今」増やすのでなく、税として消える分を「将来の自分」に回す仕組みだ。現金が要る時期は無理に入れない。
私はフリーランス4年目で、この表の上のほうの帯を経験している。最初の年に国保の通知を見て額に驚いたのは、前年の所得に対して翌年に来る仕組みを知らなかったからだ。売上が伸びた翌年は、伸びた分の1割強が国保として来る。表の国保の列は、翌年の額として読む。
よくある誤解
「フリーランスは経費で落とせるから会社員より得」。経費を使えば手取りは減る。得なのは、どうせ使う費用が経費になる場合だけだ。
「売上1,000万なら年収1,000万」。手取りは536万で、会社員の年収750万の手取りに近い。売上と年収は別の言葉だ。
独立とお金の入口
独立の資金は生活費6ヶ月+前年の税と保険料の後払い(年収500万で約88万)+初期費用で、退職翌月に国保と年金、6月に住民税が来る(独立の資金はいくら要るかの記事)。国保が高い時の5つの対策は国民健康保険が高い時の対策の記事、青色申告の65万控除は青色申告とはの記事、インボイスの判断はインボイスをフリーランス向けに分かりやすくの記事、老後の積立はフリーランスの老後資金の記事で書いた。
自分で作る退職金と老後の積立
会社員の退職金がないフリーランスは、小規模企業共済(月7万まで全額控除、廃業時に退職所得として受け取る)で自分の退職金を作る。節税額の早見表とデメリットは小規模企業共済とはの記事、年金の差と積立の順番はフリーランスの老後資金の記事で書いた。
フリーランスの保険と契約の守り
会社員の保障6つのうち独立で残るのは医療費3割と国民年金だけで、消える傷病手当金・労災・賠償の代わりは労災特別加入(年1〜2万)・所得補償(月1万前後)・賠償責任保険(フリーランス協会)で埋める(フリーランスに必要な保険5種類の記事)。2024年11月のフリーランス新法で発注者には条件の書面明示と60日以内の支払いが義務になり(フリーランス新法を分かりやすくの記事)、契約書は損害賠償の上限・中途解約・競業避止の3ヶ所を直す(業務委託契約書のチェック項目の記事)。
予定納税と簡易課税
独立2年目の6月には、1年目の所得税が15万円以上なら予定納税(3分の1ずつを7月と11月に前払い)の通知が来る(予定納税とはの記事)。インボイスの2割特例が2026年分で終わった後は、経費率が50%未満のサービス業なら簡易課税(受け取った消費税の50%)が原則課税より少なく、2027年分から使うなら2026年12月31日までに届出を出す(簡易課税制度とはの記事)。
帳簿と経費の実務
会計ソフトはfreee・弥生・マネーフォワードのどれも65万控除に対応し、簿記を知らない人はfreee、経験者か初年度を安くしたい人は弥生、法人化を見据える人はマネーフォワードが向く(個人事業主の会計ソフトの比較の記事)。経費の線は「売上を得るために使ったと説明できるか」の1つで、家賃と電気代は事業割合3〜5割で按分し、経費を増やすと手取りは減る(個人事業主の経費はどこまでかの記事)。
独立・副業・お金の全体像
副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。
よくある質問
40歳以上だと国保はいくら増えますか?
介護保険分(所得割2.36%+均等割1.66万円、上限17万円)が加わる。売上500万・経費20%なら年5万円前後増える。
消費税はいつからかかりますか?
2年前の課税売上が1,000万円を超えた年から課税事業者になる。インボイス登録をした場合は売上に関係なく納税が発生し、2026年9月までは2割特例(売上の消費税の2割を納める)が使える。
独立の資料をLINEで無料配布中
売上と経費から手取りと翌年の国保を出す記入表(月の手取り目標から必要な売上を逆算する式つき)を公式LINEで無料配布している。売上でなく、残る額で仕事を決めよう。


