6月に税務署から「予定納税額の通知書」が届いた。確定申告は3月に終わったのに、また税金の請求が来た。何の税金なのか、払わないとどうなるのか、減らせるのかが分からない。

これは追加の税金ではない。予定納税は追加の税金ではない。来年3月の前払いだ。仕組みと、減額と、払い方を書く。

先に一文で。予定納税は前年の所得税が15万円以上の人が、その3分の1ずつを7月と11月に前払いして翌年3月に精算する仕組みで、通知は6月15日までに届き、今年の所得が減るなら7月15日(第2期は11月15日)までの減額申請で減らせ、払わないと延滞税がかかる。

この記事の要点

  • 前年の所得税15万円以上→3分の1ずつを7月と11月に前払い
  • 翌年3月の確定申告で精算。多ければ還付
  • 所得が減る見込みなら減額申請。期限は7月15日・11月15日
  • 独立2年目の6月に初めて来る。1年目の所得税の3分の2を取り分けておく

仕組み

項目内容
対象前年の予定納税基準額(申告納税額から源泉徴収分を除いた所得税)が15万円以上の人
基準額の3分の1ずつ×2回
第1期7月1日〜31日
第2期11月1日〜30日
通知6月15日までに税務署から通知書(e-Tax利用者はメッセージボックス)
精算翌年3月の確定申告で、確定した税額から前払い分を引く。多ければ還付

前年の所得税が30万円なら、7月と11月に10万円ずつ前払いし、確定申告で残りを納める。翌年3月に30万円をまとめて払う代わりに、3回に分けて払う形だ。

いつから来るか。独立2年目の6月

会社員の時は給与から源泉徴収されるので、予定納税はない。独立1年目は前年に申告納税がないので来ない。独立2年目の6月に、1年目の所得税をもとにした通知が初めて届く

独立1年目の売上が伸びた人ほど、2年目の6月に来る額が大きい。1年目の所得税が45万円なら、7月と11月に15万円ずつ。同じ時期に住民税と国保の通知も来るので、1年目の所得税の3分の2を、2年目の資金として取り分けておく。独立初年度からの支払いの時系列は独立の資金はいくら要るかの記事で書いた。

減額申請。所得が減る見込みなら減らせる

減額の理由の例期限出すもの
廃業・休業・失業第1期・第2期の両方|7月1日〜15日予定納税額の減額申請書+所得の見積もりの根拠(帳簿・売上の資料)
売上の減少、大きな経費第2期のみ|11月1日〜15日同上
災害・盗難・多額の医療費同上同上
扶養の増加、社会保険料の増加同上同上

申請書には、6月30日(第2期は10月31日)時点で見積もった今年の所得と税額を書く。承認されれば、見積もった税額の3分の1ずつに減る。根拠の資料は帳簿の売上推移で足りる。会計ソフトの月次の損益を印刷して添える。

減額申請をせずに、確定申告で還付を受ける方法もある。ただし前払いの資金が数ヶ月拘束されるので、明らかに減る年は申請する。

払い方

方法特徴
振替納税口座から自動引き落とし。申し込めば翌年以降も自動。引き落とし日は納期限の数日後
e-Taxのダイレクト納付e-Taxから口座引き落としを指定
クレジットカード国税クレジットカードお支払サイト。手数料は1万円ごとに約83円
スマホアプリ決済30万円まで。手数料なし
コンビニ通知書のQRコードで30万円まで
金融機関・税務署の窓口納付書で現金

振替納税にしておくと、7月と11月を忘れない。確定申告の所得税も同じ口座から引き落とされるので、資金の管理が1本になる。

払わなかった時

納期限の翌日から延滞税がかかる(納期限から2ヶ月は年2.4%、それ以降は年8.7%、2025年の率)。督促状の後は差し押さえの対象になる。確定申告で精算されるからと待つ扱いにはならない。払えない事情がある時は、税務署に納税の猶予を相談する。1年以内の分割で、延滞税が軽減される。

確定申告での精算

確定申告書の「予定納税額」の欄に、7月と11月に払った合計を書く。確定した所得税からその額を引き、残りを3月15日までに納める。前払いが多ければ、差額が1〜2ヶ月で還付される。予定納税を書き忘れると二重に払う形になるので、通知書を確定申告の書類と一緒に保管しておく。

私は独立2年目の6月に、予定納税の通知と住民税の通知が同じ週に届いた。1年目の売上が伸びた分だけ、2年目の6月に集中して来る。額の見当がついていなかったので、その月だけ手元の現金が薄くなった。今は前年の所得税の3分の2を、3月の申告が終わった時点で別口座に移している。

よくある誤解

「予定納税は税金が増えた」。増えていない。翌年3月に払う額の一部を先に払うだけで、確定申告で精算される。

「今年は売上が減るから払わなくていい」。減額申請をせずに払わないと延滞税がかかる。減る見込みなら、7月15日までに申請する。

帳簿と経費の実務

会計ソフトはfreee・弥生・マネーフォワードのどれも65万控除に対応し、簿記を知らない人はfreee、経験者か初年度を安くしたい人は弥生、法人化を見据える人はマネーフォワードが向く(個人事業主の会計ソフトの比較の記事)。経費の線は「売上を得るために使ったと説明できるか」の1つで、家賃と電気代は事業割合3〜5割で按分し、経費を増やすと手取りは減る(個人事業主の経費はどこまでかの記事)。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

よくある質問

会社員の副業でも予定納税は来ますか?

副業の所得税(申告納税額)が15万円以上なら来る。副業の所得で言えば、税率10%の帯で150万円前後の所得が目安になる。

予定納税の通知が届かないのですが、払わなくていいですか?

基準額が15万円未満なら通知は来ず、払う必要もない。15万円以上のはずなのに届かない場合は、e-Taxのメッセージボックスに来ている可能性があるので、そこを確認する。

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