副業は普通になった、独立する人が増えた、と言われる。でも周りに副業している人はほとんどいないし、フリーランスも身近にいない。本当に増えているのか、自分が特別なのかが分からない。

総務省が5年に1度、全国の働き方を調べている。最新の2022年調査から、副業とフリーランスの数を並べた。正社員で副業している人は40人に1人。したい人は13人に1人

先に一文で。副業がある人は305万人で4.8%・正社員は2.5%、副業をしたい人は493万人で7.8%、本業がフリーランスの人は209万人で3.1%・45〜54歳が最多で、業界では建設・学術研究・不動産に集中し、割合は東京4.2%が最高で、副業も独立もまだ少数派だが5年で確実に増えている。

この記事の要点

  • 副業がある人305万人(4.8%)。正社員2.5%、非正規7.2%。5年で60万人増
  • 副業をしたい人493万人(7.8%)。している人の3倍
  • 本業フリーランス209万人(3.1%)。45〜54歳が最多、20代は1%台
  • 業界|建設49.7万人・学術研究36.7万人。割合は学術研究13.5%

出典と数字の意味

出典は総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」(2023年公表)。約54万世帯の15歳以上の人を対象に、2022年10月1日時点の就業状態を聞いた調査で、5年に1度行われる。次回は2027年調査になる。

  • 副業がある者|本業のほかに収入を伴う仕事をしている人。非農林業従事者に占める割合が副業者比率
  • 追加就業希望者|今の仕事を続けながら、ほかの仕事もしたいと考えている人
  • フリーランス|実店舗がなく、雇人もいない自営業主または1人社長で、自分の経験や知識、スキルを活用して収入を得る人(この調査で初めて集計された)

副業がある人

区分2022年2017年増減
副業がある人305万人(4.8%)245万人(3.9%)+60万人(+0.9pt)
うち正規の職員・従業員2.5%1.9%+0.6pt
うち非正規の職員・従業員7.2%5.8%+1.3pt
副業をしたい人(追加就業希望者)493万人(7.8%)400万人(6.5%)+93万人(+1.3pt)
うち正規の職員・従業員7.7%5.3%+2.4pt

読み取れることは3つある。

1、正社員の副業は40人に1人。2.5%。副業解禁の流れはあるが、実際にしている正社員は少数派だ。

2、したい人はしている人の3倍。正社員で7.7%が副業をしたいと答えていて、5年で2.4ポイント上がった。増えているのは、副業そのものより、副業したい気持ちだ。

3、非正規は正社員の3倍の割合で副業している。7.2%。収入を補うための副業が、非正規で多い。

都道府県別の副業者比率は京都府7.5%、東京都6.5%、和歌山県5.6%が高い。副業をしたい人の割合は沖縄県10.2%、奈良県8.4%、福岡県8.4%、大阪府8.2%が高く、西日本で高い。

フリーランスの数

区分人数有業者に占める割合
本業がフリーランス209.4万人3.1%
うち本業のみ202.9万人3.0%
うち本業と副業の両方6.4万人0.1%
副業のみフリーランス48.0万人0.7%
合計257.4万人3.8%

年齢階級別(本業がフリーランス)

年齢人数有業者に占める割合
20〜24歳3.1万人0.7%
25〜29歳7.7万人1.4%
30〜34歳11.8万人2.1%
35〜39歳17.1万人2.8%
40〜44歳19.4万人2.8%
45〜49歳24.5万人3.0%
50〜54歳24.4万人3.0%
55〜59歳22.5万人3.4%
60〜64歳19.9万人3.7%
65〜69歳20.8万人5.4%
70〜74歳20.2万人6.5%

読み取れることは3つある。

1、フリーランスは30人に1人。3.1%。副業より少ない。

2、人数は45〜54歳がピーク、割合は年齢が上がるほど高い。20代のフリーランスは1%台で、SNSで目立つ若いフリーランスは統計上は少数だ。会社員の経験を積んでから独立する人と、定年後に独立する人が中心になる。

3、副業としてフリーランスをしている人が48万人。本業フリーランスの4分の1弱。会社員のまま個人で仕事を受ける形が、独立の入口として定着している。

業界別

業界人数有業者に占める割合
建設業49.7万人10.7%
学術研究、専門・技術サービス業36.7万人13.5%
サービス業(他に分類されないもの)18.2万人4.0%
卸売業、小売業17.5万人1.8%
不動産業、物品賃貸業16.4万人10.7%
製造業16.2万人1.5%
情報通信業15.3万人5.2%
教育、学習支援業12.5万人3.7%
生活関連サービス業、娯楽業10.7万人4.8%
運輸業、郵便業9.4万人2.7%
医療、福祉3.6万人0.4%

人数では建設業(一人親方)が最多で、割合では学術研究・専門・技術サービス業(デザイン・コンサル・士業など)が13.5%で最も高い。情報通信業は15.3万人で5.2%。IT系フリーランスは多く見えるが、建設の3分の1以下だ。

都道府県別では東京都4.2%(35万人)、神奈川県3.6%(18万人)、京都府3.6%(5万人)が高い。

ここまでのまとめ

副業がある人305万人(4.8%)。正社員2.5%、非正規7.2%。5年で60万人増

副業をしたい人493万人(7.8%)。している人の3倍

本業フリーランス209万人(3.1%)。45〜54歳が最多、20代は1%台

副業と独立を考える時に、このデータをどう使うか

1、副業をしていないのは普通。正社員の97.5%はしていない。周りにいないのは当然で、始めれば40人に1人の側に入る。

2、したい人が多い分、始めた人の差は大きい。したい7.7%のうち、している2.5%。始めるだけで、したい人の3分の2を追い抜く。副業の始め方は副業の完全ガイドの記事で書いた。

3、独立は30代後半以降が中心。20代の独立は1%台で、統計上は珍しい。焦って独立するより、副業フリーランス(48万人)として受注の実績を作ってから本業にする順番が、数字の上でも多数派だ。

4、業界で独立しやすさが違う。学術研究・専門技術(13.5%)、建設(10.7%)、不動産(10.7%)、情報通信(5.2%)は、フリーランスで成立している人が多い業界。医療・福祉(0.4%)や製造(1.5%)は少なく、独立するなら職種を変える話になる。

独立後の手取りは会社員より2割前後少なくなる。売上と経費率ごとの数字は個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。

私は会社員の時に副業のブログとSNSを始め、副業の収入が給与を超える月が出てから、育休明けに退職してフリーランスになった。この統計で言えば、副業フリーランス48万人の側から、本業フリーランス209万人の側へ移った形だ。順番は珍しくない。珍しいのは、副業を始めること自体だった。

よくある誤解

「みんな副業している」。正社員で2.5%。したいと思っている人が7.7%いるだけで、している人は40人に1人だ。

「フリーランスは若い人の働き方」。20代は1%台、45〜54歳が人数のピーク。割合は70代が最も高い。

独立とお金の入口

独立の資金は生活費6ヶ月+前年の税と保険料の後払い(年収500万で約88万)+初期費用で、退職翌月に国保と年金、6月に住民税が来る(独立の資金はいくら要るかの記事)。国保が高い時の5つの対策は国民健康保険が高い時の対策の記事、青色申告の65万控除は青色申告とはの記事、インボイスの判断はインボイスをフリーランス向けに分かりやすくの記事、老後の積立はフリーランスの老後資金の記事で書いた。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

副業のアルバイトと社会保険

給与の副業は、副業先で週20時間以上・従業員51人以上なら健康保険と厚生年金が2ヶ所加入になり(月8.8万円の賃金要件は2026年10月に撤廃)、届出で本業に伝わる。雇用保険は1ヶ所だけで、住民税は給与合算で本業に通知される。条件と対策は副業のアルバイトで社会保険はどうなるかの記事で書いた。

独立前に会社員のうちにやること

会社員の信用は辞めた瞬間に消える。クレジットカード・賃貸・ローンの契約、副業での受注実績、生活費6ヶ月+税と保険料の後払い分の貯金、健康診断、有給消化と6月以降の退職、企業型DCの移換先、在職中の給付、就業規則の競業避止の10個を1年前から順に進める(独立前に会社員のうちにやること10個の記事)。フリーランス1年目は賃貸の審査に落ちやすく、在職中の契約が最も確実だ(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。

よくある質問

副業の収入はどのくらいですか?

この調査は副業の有無と人数を集計しており、副業の収入額は集計していない。副業の収入と確定申告の関係は副業20万円以下の住民税申告の記事で書いた。

フリーランスの年収は分かりますか?

この調査では有業者数が中心で、年収の分布は別の集計になる。フリーランスの手取りは、売上と経費率から計算できる(個人事業主の手取り早見表の記事)。

副業の資料をLINEで無料配布中

副業を始める前の3つの確認(就業規則・住民税・時間)と、副業フリーランスから本業にする判断の記入表を公式LINEで無料配布している。40人に1人の側に、先に入ろう。

LINEで無料の資料を受け取る