独立を決めた。辞める日も決めた。でも辞めてから困ることが何なのか、辞める前にしかできないことが何なのかが、分からない。

会社員の信用は、退職した日に消える。会社員の信用は、辞めた瞬間に消える。使えるうちに使う。在職中にやる10個を、時系列で書く。

先に一文で。独立前に会社員のうちにやるのは、クレジットカード・賃貸・ローンの契約、副業での受注実績、生活費6ヶ月+税と保険料の後払い分の貯金、健康診断、有給消化と6月以降の退職、企業型DCの移換先、在職中の給付の使い切り、就業規則の競業避止の確認の10個で、辞める1年前から順に進める。

この記事の要点

  • 信用が要るもの(カード・賃貸・ローン)は在職中に契約する
  • 副業で受注実績を作れば、必要な貯金は半分になる
  • 貯金は生活費6ヶ月+後払いの税と保険料(年収500万で約88万)
  • 退職月は6月以降。有給を消化し、健康診断を受けてから辞める

10個の一覧

#やること理由期限の目安
1クレジットカードを2枚作る(事業用・私用)独立後は審査に通りにくい1年前〜
2引っ越しの予定があれば賃貸を契約する1年目は確定申告書がなく審査に落ちやすい半年前〜
3住宅ローン・自動車ローンを組むなら在職中に独立後は申告書3年分が要る半年前〜
4副業で受注実績と取引先を作る初月から売上が立てば貯金は半分でいい1年前〜
5貯金|生活費6ヶ月+税と保険料の後払い+初期費用独立初年度は前年所得の住民税・国保が来る1年前〜
6会社の健康診断・人間ドックを受ける独立後は自費(1〜5万円)3ヶ月前
7有給を消化し、退職月を6月以降にする1〜5月退職は住民税が一括徴収される3ヶ月前
8企業型DC・iDeCoの移換先を決める放置すると自動移換で運用が止まる退職月
9傷病手当金・育休給付など在職中の給付を使い切る独立後は使えない該当者のみ
10就業規則の副業規定と競業避止を確認する前職の取引先と契約できるかが決まる1年前

1年前にやること

副業で受注を始める。独立後の売上の見込みが立つかどうかで、必要な貯金の額が変わる。副業から独立する人は48万人いて、順番として普通だ(副業とフリーランスの割合の記事)。副業の所得が20万円を超えたら確定申告をする(副業の確定申告はいくらからかの記事)。

クレジットカードを2枚作る。事業用と私用を分けると、独立後の帳簿が楽になる。独立後は申告書2〜3年分がないと審査に通りにくい。

貯金の目標を決める。生活費6ヶ月分+前年の税と保険料の後払い(年収500万で退職なら約88万)+初期費用10〜50万で、月25万の生活なら260万前後(独立の資金はいくら要るかの記事)。副業の売上が立っていれば、生活費は3ヶ月分に縮められる。

就業規則を読む。副業の可否と、退職後の競業避止の範囲。前職の取引先と独立後に契約できるかは、ここで決まる。

半年前にやること

賃貸・ローンの契約。引っ越しやローンの予定があれば、在職中の源泉徴収票で審査を通す。入居後にフリーランスになっても契約は続く(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。

会計ソフトと事業用口座を決める。口座は本名の口座を1つ増やせば足りる(屋号の決め方と事業用口座の記事個人事業主の会計ソフトの比較の記事)。

消える保障の代わりを決める。傷病手当金・労災・賠償の代わりの保険を、額を見て決めておく(フリーランスに必要な保険5種類の記事)。

3ヶ月前にやること

退職の意思を伝え、有給の消化計画を立てる。退職月は6月以降にすると、住民税の残りが一括でなく分割になる(退職後の住民税はいくらかの記事)。

健康診断・人間ドックを受ける。会社の補助がある最後の機会で、独立後は1〜5万円の自費になる。

取引先に独立を伝える時期を決める。競業避止に触れない範囲で、独立後の契約の話を在職中に済ませておくと、初月から売上が立つ。

退職月にやること

退職後の手続きの全体は退職後の手続き完全ガイド、独立後のお金の5段階は独立・副業・お金の完全ガイドで書いた。

ここまでのまとめ

信用が要るもの(カード・賃貸・ローン)は在職中に契約する

副業で受注実績を作れば、必要な貯金は半分になる

貯金は生活費6ヶ月+後払いの税と保険料(年収500万で約88万)

独立後には戻せないもの

戻せないもの理由
会社員の信用でのカード・賃貸・ローン審査の基準が申告所得に変わる
傷病手当金・育休給付健康保険と雇用保険の給付は退職で終わる
会社負担の社会保険料独立後は全額自己負担
退職金の勤続年数転職・独立で1社ごとにリセット
有給休暇退職で消える。消化してから辞める

私は育休を取り、育休明けに退職してフリーランスになった。育休給付は在職中にしか受け取れない給付の代表で、独立してからでは使えなかった。移住と賃貸の契約も、会社員のうちに済ませた。順番を逆にしていたら、1年目は住む場所の審査から始まっていた。

よくある誤解

「独立してから準備すればいい」。信用が要る契約と、在職中の給付は、辞めた後には戻せない。準備の半分は、辞める前にしかできない。

「貯金は生活費1年分あれば十分」。生活費とは別に、前年の所得に対する住民税と国保が来る。年収500万で退職なら約88万を上乗せする。

退職後の年金の切り替え

厚生年金は退職日の翌日に終わり、次の会社まで空白が月末を含めばその月は国民年金(月17,920円)になる。退職から14日以内に市区町村で切り替え、払えないなら退職特例で免除を申請する。放置すると未納で障害年金の要件も外れる。手順と書類は退職後の年金の切り替え手続きの記事で書いた。

早く決まった人の再就職手当

受給中に早く就職すると、残日数×日額×70%(残3分の2以上)か60%を一括で受け取れる。給付日数90日で残60日・日額6,000円なら25.2万円。条件は待期後・残日数3分の1以上・1年超の雇用・雇用保険加入など7つで、自己都合の給付制限中の1ヶ月は紹介経由が条件になり、フリーランス開業も対象だ。計算例と申請の期限1ヶ月は再就職手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

育休の手当は手取りでいくらか

育児休業給付は賃金日額×67%(181日目から50%)で、令和8年8月からの上限は月332,454円。月給30万なら20.1万だが、非課税と社会保険料免除で手取りの約84%になり、両親とも14日以上取れば最大28日は13%上乗せで手取り10割になる。住民税だけは前年分が来る。月給別の早見表は育休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

産休の出産手当金はいくらか

産休98日の出産手当金は標準報酬日額の3分の2で、月給30万なら約65万、40万なら約87万。非課税で社会保険料は免除され、出産育児一時金50万は別に出る。退職後も1年以上の加入・産休中の退職・退職日に出勤しないの3条件で受け取れ、国保の人には出産手当金がない。月給別の早見表と育休給付との1年の合計は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

貯金の中央値(公的データ)

家計の金融行動に関する世論調査2025の金融資産は、単身30代が中央値100万・平均501万、40代が100万・859万、二人以上は30代311万、40代500万で、ゼロの世帯が単身519%。平均は少数の世帯が引き上げるので、自分の位置は中央値と年収帯で見る。年代×年収の表は貯金の中央値と平均のデータ記事で書いた。

年金の平均受給額(公的データ)

令和6年度の老齢年金の平均月額は厚生年金150,289円(男性169,967円・女性111,413円)、国民年金59,310円で、厚生年金の19%は10万未満・19%が20万以上。令和8年度の満額は70,608円、モデル年金は237,279円。年収500万×40年なら月約16.2万で、独立後の期間は基礎年金の7.1万しか積み上がらない。年収別の早見表は年金は平均いくらもらえるかのデータ記事で書いた。

よくある質問

副業禁止の会社で独立の準備はできますか?

受注実績を作る副業は難しいが、それ以外の9個(カード・賃貸・貯金・健康診断・有給・就業規則の確認など)は全てできる。受注は、退職の意思を伝えた後の有給消化期間に始める人も多い。

退職月は何月がいいですか?

6月以降なら住民税は分割になる。賞与の支給後、有給を消化し切った月が現実的で、3月末の決算期は取引先の予算が切り替わるので、独立後の契約が取りやすい。

独立の資料をLINEで無料配布中

独立前の10項目を1年前・半年前・3ヶ月前・退職月で分けたチェック表(戻せないものの一覧つき)を公式LINEで無料配布している。会社員の信用は、辞める前に使い切ろう。

LINEで無料の資料を受け取る