独立して収入が不安定になった。国民年金の月1万8千円が重い。払わなければどうなるのか、免除という制度があるらしいが、フリーランスでも使えるのか、将来の年金が減るのかが分からない。

免除はフリーランスでも使える。未納との違いが、この話の全てだ。払えない年は免除にする。未納にすると受取が減り、保障も消える

先に一文で。国民年金の免除は前年所得で判定され(単身で全額免除67万以下〜4分の1免除177万以下)、免除期間は年金額に2分の1〜8分の7が反映され、退職した年は退職者の特例で本人の前年所得を除いて判定でき、追納は10年以内、未納は年金額にも資格期間にも入らず障害・遺族の保障も失うので、払えない年は必ず免除か猶予を申請する。

この記事の要点

  • 4段階の免除(全額・3/4・半額・1/4)と、50歳未満の納付猶予
  • 全額免除でも年金額に2分の1が反映。未納はゼロ
  • 退職した年は特例で本人の前年所得を除いて判定
  • 追納は10年以内。収入が増えた年に追納すると控除にもなる

免除と猶予の種類

種類前年所得の基準(単身・扶養なし、2025年度)年金額への反映受給資格期間
全額免除67万円以下2分の1入る
4分の3免除103万円以下8分の5入る
半額免除138万円以下8分の6入る
4分の1免除177万円以下8分の7入る
納付猶予(50歳未満)67万円以下(本人と配偶者のみで判定)反映なし入る
未納なし入らない

扶養家族がいれば基準額は上がる(扶養1人で全額免除は102万円以下など)。免除は世帯主・配偶者の所得も判定に入るので、同居の親に所得があると通らないことがある。その場合は納付猶予(本人と配偶者だけで判定)を使う。

未納との違い

免除・猶予未納
老齢基礎年金の額免除は一部反映。猶予は反映なし反映なし
受給資格期間(10年)入る入らない
障害基礎年金・遺族基礎年金保障が続く保障を失うことがある(直近1年に未納があると不支給)
追納10年以内に可2年以内に納付(それを過ぎると時効)
督促・差し押さえなしあり

未納は、年金額が減るだけでなく、事故や病気の時の障害年金が出ない。フリーランスにとって障害年金は数少ない公的な保障で、それを未納で失うのが最大の損だ。

退職した年の特例

免除は前年の所得で判定される。会社員として働いていた年の翌年は所得が基準を超えるので、普通に申請すると通らない。退職者の特例(失業等による特例免除)を使うと、本人の前年所得を除いて判定できる。

  • 対象|退職・失業した人(自己都合を含む)
  • 添付|離職票、雇用保険受給資格者証、退職証明書のどれか
  • 期間|退職した月の前月から、翌々年の6月まで
  • 注意|世帯主・配偶者の所得は判定に入る

会社員からフリーランスになった初年度は、この特例で免除か猶予が通ることが多い。売上が立つまでの数ヶ月を未納にせず、特例で埋める。

申請の窓口と期限

  • 窓口|市区町村の国民年金担当、年金事務所、マイナポータル(電子申請)
  • 遡り|申請月の2年1ヶ月前まで遡って申請できる
  • 年度|免除は7月〜翌6月が1年度。毎年7月に申請し直す(継続申請にすれば自動)
  • 審査|結果の通知まで2〜3ヶ月。その間の保険料は結果が出るまで待っていい

追納。収入が増えた年にまとめて払う

免除・猶予の期間は、10年以内なら追納できる。3年度目以降は加算額(年数%程度)がつく。追納した保険料は社会保険料控除になるので、収入が増えて税率が上がった年にまとめて追納すると、年金額を戻しながら税も減る。

追納の額(1年分)節税額(税率10%+住民税10%)戻る年金額(年)
約21.5万円約4.3万円約1万円(終身)

年1万円が終身で戻るので、追納の元は21年で取れる。65歳から86歳まで受け取れば元が取れる計算で、平均寿命を考えれば追納は得な側に入る。

独立初年度の順番

  1. 退職翌日から14日以内に、市区町村で国民年金の加入手続き
  2. 同じ窓口で、退職者の特例を使った免除・猶予の申請(離職票を持参)
  3. 付加年金(月400円)は免除中は付けられない。免除が終わってから申し込む
  4. 売上が立って払える見込みになったら、翌年7月の更新で免除をやめる
  5. 収入が増えた年に、免除期間を追納する

免除中はiDeCoに加入できない(保険料を納めていることが条件)。小規模企業共済は加入できる。独立初年度の支払い全体は独立の資金はいくら要るかの記事、老後の積立の順番はフリーランスの老後資金の記事で書いた。国保にも同じ時期に軽減の申請がある(国民健康保険が高い時の対策の記事)。

私は独立した年、国民年金の免除申請を知らずに数ヶ月分を払った。払えたので損はなかったが、払えない人が未納にする理由の多くは、免除の存在を知らないことだ。窓口で「退職したので免除の申請をしたい」と言えば、書類は向こうが出してくれる。

よくある誤解

「免除すると年金が全くもらえなくなる」。全額免除でも2分の1が反映され、資格期間にも入る。もらえなくなるのは未納だ。

「フリーランスは免除の対象外」。前年所得が基準以下なら誰でも対象で、退職した年は特例で本人の所得を除ける。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

失業保険の日額早見表(2026年8月改定)

失業保険の日額は退職前6ヶ月の月給÷30に50〜80%をかけた額で、月給20万で5,036円・30万で6,307円・40万で6,744円、上限は29歳以下7,450円・30〜44歳8,270円・45〜59歳9,110円。月給別・年齢別の表と、自己都合・会社都合の合計の目安は失業保険の日額早見表の記事で書いた。

2026年の年収の壁

税金の壁は2026年に110万(住民税)・136万(配偶者控除)・169万(配偶者特別控除の満額)・178万(本人の所得税)まで上がり、残るのは社会保険の106万(2026年10月に賃金要件が撤廃)と130万(4月から契約上の基本収入で判定)だけになった。扶養内で働くなら見る壁は130万の1つで、超えるなら160万以上まで働く(年収の壁の一覧2026の記事)。

退職後の年金の切り替え

厚生年金は退職日の翌日に終わり、次の会社まで空白が月末を含めばその月は国民年金(月17,920円)になる。退職から14日以内に市区町村で切り替え、払えないなら退職特例で免除を申請する。放置すると未納で障害年金の要件も外れる。手順と書類は退職後の年金の切り替え手続きの記事で書いた。

よくある質問

免除中に副業や事業で収入が増えたら、報告が要りますか?

年度の途中で報告する義務はない。翌年7月の更新時に、前年の所得で再判定される。収入が増えた年は追納で戻せる。

配偶者の扶養に入れば国民年金は不要ですか?

配偶者が会社員(第2号)で、あなたの年収が130万円未満なら第3号被保険者になり、保険料の負担なしで納付した扱いになる。独立初年度で売上が少ない年は、扶養に入る選択が最も負担が小さい。

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