会社を辞めた。健康保険の切り替えはやった。年金は、次の会社が決まっているから何もしなくていい、と思っている。空白が3週間ある。その3週間の分は、誰も手続きしてくれない。

厚生年金は退職日の翌日に終わる。空白が1日でもあれば、国民年金の手続きは要る。期限と、書類と、払えない時の免除を書く。

先に一文で。退職後の年金は、次の会社に入るまで国民年金の第1号になるので退職から14日以内に市区町村で切り替え、月17,920円を払うか、退職特例で免除を申請し、配偶者が会社員なら第3号に入り、月末をまたぐ空白がなければ手続きは不要で、放置すると未納で障害年金の要件も外れる。

この記事の要点

  • 期限|退職日の翌日から14日以内。市区町村の年金窓口
  • 書類|年金手帳か基礎年金番号通知書、退職日が分かる書類、本人確認書類
  • 保険料|月17,920円。払えないなら退職特例で免除申請
  • 空白が月末を含まなければ不要。配偶者の扶養なら第3号で無料

退職後の年金は3通り

状況加入する年金手続き保険料
次の会社まで空白がある(転職・独立・無職)国民年金 第1号14日以内に市区町村月17,920円
配偶者が会社員で、自分の年収見込み130万円未満国民年金 第3号配偶者の会社を通じて届出0円
退職日の翌日に次の会社の厚生年金に入る厚生年金が続く不要転職先で天引き

保険料は月末時点の加入状況で決まる。3月31日に退職して4月1日に入社なら、3月は前職の厚生年金、4月は転職先の厚生年金で、国民年金は不要。3月20日に退職して4月10日に入社なら、3月末時点で厚生年金に入っていないので、3月分の国民年金(17,920円)が発生する。転職の空白の社会保険の全体は転職の空白期間の社会保険の記事で書いた。

手続きの手順

  1. 退職日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村の年金の窓口へ行く(マイナポータルからの電子申請も可)
  2. 持ち物|年金手帳か基礎年金番号通知書(マイナンバーカードで代用可)、退職日が分かる書類(離職票・退職証明書・健康保険資格喪失証明書のどれか)、本人確認書類
  3. 国民健康保険の切り替えと同じ窓口で同時にできる。国保の切り替えも14日以内(国民健康保険が高い時の対策の記事
  4. 後日、納付書が届く。口座振替・クレジットカード・コンビニ・スマホ決済で払う。まとめて前納すると割引がある

退職日が分かる書類は、離職票が届くまで10日前後かかるので、退職証明書を会社に頼んでおくと早い

払えない時は免除を申請する

制度条件受給資格期間年金額への反映
全額免除前年所得が基準以下(退職特例で本人所得を除外)算入2分の1
4分の3・半額・4分の1免除所得の段階で算入8分の5〜8分の7
納付猶予(50歳未満)本人と配偶者の所得が基準以下算入なし
未納(何もしない)算入されないなし。障害年金の要件も外れる

退職した人は、離職票か雇用保険受給資格者証を添えて申請すると、本人の前年所得を除外して審査される(退職特例)。配偶者や世帯主の所得が基準内なら、全額免除になりやすい。免除と猶予は10年以内に追納できる。詳しくは国民年金の免除はフリーランスでも使えるかの記事で書いた。

払えないなら、払わないのでなく、免除を申請する。未納と免除は、将来の年金と障害年金の扱いが全く違う。

放置するとどうなるか

  • 未納の期間は受給資格期間(10年)に入らず、老齢年金が減る(1年未納で年約2万円減)
  • 障害年金は、初診日の前々月までの1年間に未納がないことが要件のひとつ。退職直後の空白で未納があると、事故や病気で障害を負っても受け取れない可能性がある
  • 未納が続くと催告状が届き、最終的に財産の差押えもある

手続きをしなくても、退職の情報は年金機構に届くので、後から未納の納付書が届く。手続きの有無で変わるのは、未納になるか免除になるかだ。

配偶者の扶養に入る場合

配偶者が会社員か公務員で、自分の年収見込みが130万円未満(失業保険の日額3,612円以上を受けている期間は対象外)なら、配偶者の会社を通じて第3号被保険者の届出をする。保険料はかからず、期間は年金額に反映される。健康保険の扶養と同時に手続きする(年収の壁の一覧2026の記事)。

独立する場合

フリーランスになる人は、第1号のまま続く。厚生年金の上乗せがなくなるので、iDeCo(月6.8万円まで)、付加年金(月400円)、国民年金基金、小規模企業共済で自分で積む(フリーランスの老後資金の記事小規模企業共済の記事)。企業型DCがあった人は、6ヶ月以内にiDeCoへ移換する(iDeCoは転職したらどうなるかの記事)。

私は育休明けに退職して、国保と国民年金を同じ日に市役所で切り替えた。退職証明書を会社に先に頼んでおいたので、離職票を待たずに1日で終わった。年金は、その後フリーランスとして第1号のまま4年目になる。手続きより、退職特例の免除が使えることを知らない人のほうが多い。

よくある誤解

「転職先が決まっていれば年金の手続きは不要」。空白が月末を含めば、その月は国民年金の対象になる。月末退職・翌月1日入社なら不要。

「払えないなら放置して後で払えばいい」。未納は障害年金の要件にも関わる。免除を申請すれば、期間は算入され、10年以内に追納できる。

失業保険をもらいながら働く時の線

受給中の副業・アルバイトは週20時間未満で申告すれば認められ、1日4時間以上働いた日は手当が後ろに繰り越され、4時間未満の日は収入−1,354円+日額が賃金日額の80%を超えた分だけ減額される。業務委託やブログ収入も申告対象で、開業届を出すと止まり、隠すと3倍返しになる。判定と減額の式は失業保険をもらいながら副業・アルバイトはできるかの記事で書いた。

早く決まった人の再就職手当

受給中に早く就職すると、残日数×日額×70%(残3分の2以上)か60%を一括で受け取れる。給付日数90日で残60日・日額6,000円なら25.2万円。条件は待期後・残日数3分の1以上・1年超の雇用・雇用保険加入など7つで、自己都合の給付制限中の1ヶ月は紹介経由が条件になり、フリーランス開業も対象だ。計算例と申請の期限1ヶ月は再就職手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

年金の平均受給額(公的データ)

令和6年度の老齢年金の平均月額は厚生年金150,289円(男性169,967円・女性111,413円)、国民年金59,310円で、厚生年金の19%は10万未満・19%が20万以上。令和8年度の満額は70,608円、モデル年金は237,279円。年収500万×40年なら月約16.2万で、独立後の期間は基礎年金の7.1万しか積み上がらない。年収別の早見表は年金は平均いくらもらえるかのデータ記事で書いた。

年金の繰上げ・繰下げの損益分岐

繰上げは1ヶ月0.4%減(60歳で24%減)、繰下げは1ヶ月0.7%増(70歳42%増・75歳84%増)。損益分岐は60歳繰上げが80歳10ヶ月、70歳繰下げが81歳11ヶ月、75歳が86歳11ヶ月で、税と保険料を入れると1〜2年後ろにずれる。繰上げは取り消せず、繰下げ中は加給年金が出ず、働く人は在職老齢年金65万の線を見る。月額表と選び方は年金の繰上げと繰下げはどっちが得かの記事で書いた。

よくある質問

退職した月の厚生年金は引かれますか?

月末退職なら、その月は厚生年金の対象で最後の給与から引かれる。月の途中の退職なら、その月は国民年金になる(最後の給与で保険料が2倍引かれる理由の記事)。

14日を過ぎてしまいました

過ぎても手続きはできる。遡って加入になり、その分の納付書が届く。免除申請も、申請した月の2年1ヶ月前まで遡れる。

退職の資料をLINEで無料配布中

退職後の年金・国保・失業保険の手続きを期限順に並べたチェック表(免除申請の書類つき)を公式LINEで無料配布している。14日の期限を、辞める前に手帳に書こう。

LINEで無料の資料を受け取る