退職金の額は分かった。そこからいくら税金で引かれるのかが分からない。2,000万もらえると聞いても、手元にいくら残るのか。
退職金の税金は、他の所得より軽い仕組みになっている。勤続20年で退職金1,000万なら税金15万。20年超は1年70万ずつ非課税枠が増える。早見表で額を確かめる。
先に一文で。退職金は退職所得控除(勤続20年まで年40万、20年超は年70万)を引いた残りの2分の1にだけ分離課税され、勤続20年で1,000万なら約15万・勤続30年で2,000万なら約40万で済み、受給に関する申告書を出さないと20.42%が源泉徴収され、勤続5年以下は300万超の部分に2分の1が使えない。
この記事の要点
- 非課税枠|勤続10年400万・20年800万・30年1,500万・38年2,060万
- 枠を引いた残りの半分だけに課税。勤続20年・1,000万で約15万
- 申告書を出さないと20.42%源泉。確定申告で戻る
- 勤続5年以下は短期退職手当で税が重い
計算の仕組み
- 退職所得控除を出す|勤続20年以下は40万円×年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(年数−20)。1年未満の端数は切り上げ
- 退職金から控除を引き、残りを2分の1にする(課税退職所得)
- 所得税(5〜45%の累進、復興特別所得税2.1%を含む)と住民税10%を、他の所得と分けて計算する
| 勤続年数 | 退職所得控除(非課税枠) |
|---|---|
| 5年 | 200万円 |
| 10年 | 400万円 |
| 15年 | 600万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 38年 | 2,060万円 |
退職金が控除の額以下なら、税金はゼロになる。
税金の早見表(所得税+住民税)
| 勤続年数 | 退職金500万円 | 1,000万円 | 1,500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年(短期退職手当) | 約23万円 | 約154万円 | 約346万円 | 約564万円 | 約1,062万円 |
| 10年 | 約7万円 | 約50万円 | 約123万円 | 約202万円 | 約411万円 |
| 15年 | 0 | 約30万円 | 約93万円 | 約169万円 | 約367万円 |
| 20年 | 0 | 約15万円 | 約62万円 | 約138万円 | 約323万円 |
| 25年 | 0 | 0 | 約26万円 | 約85万円 | 約247万円 |
| 30年 | 0 | 0 | 0 | 約40万円 | 約186万円 |
| 35年 | 0 | 0 | 0 | 約11万円 | 約131万円 |
| 38年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 約99万円 |
読み取れることは3つある。
1、勤続20年以上なら、多くの人は税金が数十万円で済む。定年退職金の平均(大卒1,896万円、退職金の平均の記事)を勤続35年で受け取れば、税金は10万円前後だ。
2、勤続が短いと税が重い。勤続10年で1,000万円なら50万円、勤続5年なら154万円。短期の役員退職金や、転職を重ねた人の退職金は、額に対して税が大きい。
3、勤続5年以下は別の計算。退職所得控除を引いた残りが300万円を超える部分には2分の1が使えない(短期退職手当)。勤続5年で1,000万円の154万円は、この規定の結果だ。
申告書を出さないと20.42%引かれる
退職前に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出すと、会社が上の計算で正しい税額を引いて支払う。出さないと、退職金全額の20.42%が源泉徴収される。勤続20年・1,000万円なら、正しい税額15万円のところ、204万円が引かれる。
出し忘れても、翌年の確定申告で退職所得を申告すれば差額が戻る。多くの会社は退職手続きの書類に含めているので、書類の束の中にあるかを確認する。振り込まれる時期と一緒に確認する項目は退職金はいつ振り込まれるかの記事で書いた。
住民税の扱い
退職金の住民税は、支払い時に会社が引いて納める(分離課税)。翌年の住民税には入らない。退職翌年に来る住民税は、給与など他の所得に対する分だけになる(退職後の住民税はいくらかの記事)。
企業型DC・iDeCoの一時金との重複
企業型確定拠出年金やiDeCoを一時金で受け取ると、それも退職所得になり、退職所得控除を使う。会社の退職金と同じ年に受け取ると、勤続期間が重複する分は控除を二重には使えない。前後の一定期間(退職金の後にiDeCoなら5年、iDeCoの後に退職金なら20年、2026年からは10年に見直し)を空けると、控除を別々に使える扱いになる。受け取り時期をずらすだけで、税額が数十万円変わることがある。
転職を重ねる人の場合
退職金は会社ごとに勤続年数が数えられる。4社で各5〜8年なら、それぞれ短い勤続の計算になり、1社で30年の人より同じ合計額でも税は重い。転職を重ねる人は、退職金より自分で積み立てる側(iDeCo・NISA)に比重を置くほうが、税の面でも合う。
私は4回転職しているので、1社あたりの勤続は最長でも数年だ。退職金をもらった会社もあるが、額は小さく、税金はほぼかからなかった。退職金の税制は、1社に長くいる人のためにできている。自分がどちらの側かを知って、積み立ての比重を決める。
よくある誤解
「退職金には給与と同じ税率がかかる」。控除を引いた残りの半分にしか課税されず、他の所得と分けて計算される。給与より大幅に軽い。
「税金は自動で正しく引かれる」。申告書を出さなければ20.42%が引かれる。出したかどうかで、手取りが100万円単位で変わる。
独立・副業・お金の全体像
副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。
会社員でも確定申告が必要な人
副業所得20万超・年収2,000万超・2ヶ所給与・年の途中の退職は確定申告が必要で、医療費10万超・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン初年度・控除の申告忘れは申告すると戻る。還付だけの申告は5年間できる。判定表とe-Taxの手順は会社員でも確定申告が必要な人の記事で書いた。
よくある質問
退職金を分割(年金形式)で受け取る場合は?
一時金でなく年金として受け取ると、雑所得(公的年金等)として毎年課税される。公的年金等控除は使えるが、退職所得控除の2分の1課税は使えない。一時金のほうが税は軽いことが多い。
早期退職の割増分にも同じ計算ですか?
同じだ。割増分を含めた全額を退職所得として、勤続年数で控除を計算する。早期優遇の退職金は平均2,266万円で、勤続30年なら税金は約90万円になる。
退職の資料をLINEで無料配布中
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