退職して収入がないのに、住民税の納付書が届いた。額も予想より大きい。なぜ今来るのか、いくら払うことになるのか、払えない時はどうなるのかが分からない。

住民税は去年の所得に対して、1年遅れて来る税金だ。退職後の住民税は、去年の年収の6%が1年遅れて来る。額の目安と、届く時期と、払えない時の手を書く。

先に一文で。退職後の住民税は前年の年収の5〜6%(年収500万で年約24万)が6月から翌5月に来て、1〜5月退職なら最後の給与から一括徴収、6〜12月退職なら一括か納付書(年4回)を選び、翌年6月からは退職した年の所得で再計算されて減り、払えない時は市区町村で分割か減免を相談する。

この記事の要点

  • 額の目安|前年の年収300万で12万、500万で24万、800万で45万
  • 1〜5月退職→最後の給与から一括。6〜12月退職→一括か納付書
  • 納付書は年4回(6・8・10・翌1月)。退職1〜2ヶ月後に届く
  • 翌年6月からは退職した年の所得で再計算。退職金は含まれない

仕組み。なぜ退職後に来るのか

住民税は、前年1〜12月の所得に対して計算され、その年の6月から翌年5月に払う。会社員は給与から12回に分けて引かれている(特別徴収)ので、払っている実感が薄い。

退職すると給与天引きが止まり、残りの分を自分で払う。収入がなくなった年に、前年の給与に対する住民税が来る。これが「退職後の住民税が高い」の正体だ。

前年の年収別の目安

東京都・40歳未満・扶養なし、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除43万円を引いた課税所得の10%+均等割5,000円で計算。

前年の年収住民税(年額)月に直すと納付書1回分(年4回)
300万円11.7万円約1.0万円約2.9万円
400万円17.6万円約1.5万円約4.4万円
500万円24.2万円約2.0万円約6.0万円
600万円30.7万円約2.6万円約7.6万円
700万円37.6万円約3.1万円約9.4万円
800万円45.4万円約3.8万円約11.3万円
1,000万円63.8万円約5.3万円約15.9万円

扶養家族がいれば1人あたり年約3.3万円減り、iDeCoや生命保険料控除があればその分減る。年収500万円で退職した人なら、残りの期が3回分まとめて届くと18万円前後になる。

退職月で変わる払い方

退職月残りの住民税の払い方
1〜5月5月分までの残りを、最後の給与か退職金から一括徴収(原則)
6〜12月翌年5月分までの残りを、一括徴収か普通徴収(納付書)を選ぶ
転職先が決まっている転職先で特別徴収を続ける手続き(給与所得者異動届出書)ができる

1〜5月の退職は、最後の給与から数ヶ月分がまとめて引かれるので手取りが減る。6月以降の退職なら分割にできる。退職月の選び方は退職を切り出す時期の記事、転職時の特別徴収と普通徴収の切り替えは住民税の特別徴収と普通徴収の記事で書いた。

納付書はいつ届くか

普通徴収を選んだ場合、会社が市区町村に異動届を出してから納付書が作られる。退職の1〜2ヶ月後が目安で、納期は6月末・8月末・10月末・翌1月末の年4回。退職の時期によっては、すでに過ぎた期の分がまとめて1枚になる。

届かない時に確認する順番。

  1. 最後の給与明細で、住民税がまとめて引かれていないか(一括徴収されていれば納付書は来ない)
  2. 会社の人事に、異動届を出したか、普通徴収にしたかを聞く
  3. 市区町村の税務課に電話する。本人確認ができれば、その場で額と納期を教えてもらえる

届かないまま放置すると延滞金がつく。届かない時は、来るのを待たずに自分から聞く

翌年の住民税はどうなるか

退職の翌年6月からは、退職した年の所得で計算した住民税になる。年の途中で辞めた人は、辞めるまでの給与分だけになるので減る。退職金は分離課税で、支払い時に住民税が引かれて終わるため、翌年の住民税には含まれない。失業保険は非課税で、所得に入らない。

退職した年に再就職せず、年末調整を受けていない場合は、確定申告をすると払いすぎた所得税が戻り、住民税も正しい額で計算される(年末調整の前に退職した場合の記事)。確定申告をしないと、住民税が高いまま計算されることがある。

払えない時

  • 分割|市区町村の窓口で、納期を分けて払う相談ができる。放置せず期日前に連絡する
  • 減免|失業・廃業・病気で収入が大きく減った場合、申請で減免される自治体がある。要件は自治体で違う
  • 猶予|一時的に払えない場合、1年以内の猶予制度がある

放置すると延滞金(年8%前後)がつき、督促の後に給与や口座の差し押さえになる。期日前に連絡した人と、放置した人で、扱いが変わる

私は退職の翌年に、会社員の最後の年の所得に対する住民税と国保が同時に来て、独立初年度の支払いの重さを知った。収入がなくなった年に、前年の収入に対する請求が来る。この1年のずれを知っていれば、退職前に取り分けておける額だ。独立する人の支払いの時系列は独立の資金はいくら要るかの記事で書いた。

よくある誤解

「退職したら住民税は止まる」。前年の所得に対する分は、退職に関係なく翌年5月まで続く。

「退職金にも翌年の住民税がかかる」。退職金は支払い時に引かれて終わる分離課税で、翌年の住民税には入らない。

退職金の税金

退職金は退職所得控除(勤続20年まで年40万、20年超は年70万)を引いた残りの半分にだけ分離課税され、勤続20年で1,000万なら約15万、勤続30年で2,000万なら約40万で済む。受給に関する申告書を出さないと20.42%が源泉徴収される。勤続年数×金額の早見表は退職金の税金の早見表の記事で書いた。

転職した年のふるさと納税とiDeCo

転職した年のふるさと納税の上限は前職と現職を足した1〜12月の年収で決まり、退職金と失業保険は入らず、転職先で年末調整を受けるならワンストップ特例が使える(ふるさと納税は転職した年にどうなるかの記事)。iDeCoは転職で消えず、種別変更届を1枚出せば続き、企業型DCがある会社なら上限が月2万円に下がる(iDeCoは転職したらどうなるかの記事)。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

失業保険の日額早見表(2026年8月改定)

失業保険の日額は退職前6ヶ月の月給÷30に50〜80%をかけた額で、月給20万で5,036円・30万で6,307円・40万で6,744円、上限は29歳以下7,450円・30〜44歳8,270円・45〜59歳9,110円。月給別・年齢別の表と、自己都合・会社都合の合計の目安は失業保険の日額早見表の記事で書いた。

住民税の年収別早見表

住民税は前年所得の所得割10%+均等割5,000円で、年収300万なら年約11.7万・500万なら約24.2万・800万なら約45.4万、扶養1人で約3.3万減り、単身は年収110万以下で非課税。扶養別の早見表と決定通知書の確認方法は住民税はいくらかの記事で書いた。

退職後の年金の切り替え

厚生年金は退職日の翌日に終わり、次の会社まで空白が月末を含めばその月は国民年金(月17,920円)になる。退職から14日以内に市区町村で切り替え、払えないなら退職特例で免除を申請する。放置すると未納で障害年金の要件も外れる。手順と書類は退職後の年金の切り替え手続きの記事で書いた。

よくある質問

転職先が決まっている場合はどうすればいいですか?

前の会社に転職先を伝えれば、特別徴収を引き継ぐ手続きができる。空白期間があって普通徴収の納付書を受け取った後でも、転職先の給与担当に納付書を渡せば、残りを給与天引きに戻せる。

住民税を払わずに引っ越したらどうなりますか?

住民税は1月1日時点の住所地の自治体に払う。引っ越しても納付先は変わらず、納付書は転送される。逃げられない税金なので、分割の相談をしたほうが早い。

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