給与明細の住民税の欄を見て、この額が合っているのか、年収に対して高いのか安いのかが分からない。転職や退職で額が変わると聞くが、何を基準に変わるのかも分からない。
住民税は年収の5〜6%で、前年の所得に対して1年遅れて来る。住民税は年収の5〜6%。年収500万なら年24万、月2万。早見表と、仕組みと、変わる場面を書く。
先に一文で。住民税は前年所得に対する所得割10%+均等割5,000円で、年収300万なら年約11.7万・500万なら約24.2万・800万なら約45.4万、扶養1人で約3.3万減り、6月から翌5月に12回で天引きされ、年収110万以下は非課税、転職・退職・副業で額と払い方が変わる。
この記事の要点
- 年収300万→11.7万、500万→24.2万、800万→45.4万。月は12で割る
- 計算|(前年の所得−控除)×10%+5,000円
- 非課税|年収110万以下(単身)。扶養1人で約170万
- 転職・退職で払い方が変わる。額は前年所得で決まる
年収別の早見表(令和8年度)
40歳未満・東京都・社会保険料控除と基礎控除のみ。扶養は16歳以上の一般扶養(33万円)で計算。
| 年収 | 扶養なし | 扶養1人 | 扶養2人 | 月の天引き(扶養なし) |
|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 2.2万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | 約1,800円 |
| 200万円 | 6.2万円 | 2.9万円 | 0.5万円 | 約5,200円 |
| 250万円 | 8.9万円 | 5.6万円 | 2.3万円 | 約7,400円 |
| 300万円 | 11.7万円 | 8.4万円 | 5.1万円 | 約9,800円 |
| 350万円 | 14.5万円 | 11.2万円 | 7.9万円 | 約1.2万円 |
| 400万円 | 17.6万円 | 14.3万円 | 11.0万円 | 約1.5万円 |
| 450万円 | 20.9万円 | 17.6万円 | 14.3万円 | 約1.7万円 |
| 500万円 | 24.2万円 | 20.9万円 | 17.6万円 | 約2.0万円 |
| 600万円 | 30.7万円 | 27.4万円 | 24.1万円 | 約2.6万円 |
| 700万円 | 37.6万円 | 34.3万円 | 31.0万円 | 約3.1万円 |
| 800万円 | 45.4万円 | 42.1万円 | 38.8万円 | 約3.8万円 |
| 1,000万円 | 63.8万円 | 60.5万円 | 57.2万円 | 約5.3万円 |
読み取れることは3つある。
1、年収の5〜6%で安定している。所得税は年収で税率が5%から45%まで変わるが、住民税は一律10%。年収が上がっても割合はほぼ同じだ。
2、扶養1人で3.3万円減る。扶養控除33万円×10%。16〜18歳と23歳以上の一般扶養の場合で、19〜22歳の特定扶養なら45万円×10%=4.5万円減る。
3、年収500万円で所得税より多い。所得税約9万円に対し住民税24万円。年収600万円までは、住民税のほうが所得税の2倍以上重い(年収別の手取り早見表の記事)。
計算の仕組み
- 前年の給与収入から給与所得控除(令和8年度は最低65万円)を引いて給与所得を出す
- 社会保険料・基礎控除43万円・扶養控除・生命保険料控除・iDeCoなどを引いて課税所得を出す
- 課税所得×10%(所得割)−調整控除2,500円+均等割5,000円
年収500万円なら、給与所得356万円−社会保険料73万円−基礎控除43万円=240万円、×10%=24万円、−2,500円+5,000円で約24.2万円になる。
均等割の5,000円には2024年度から森林環境税1,000円が含まれる。自治体独自の上乗せがある地域(神奈川県の水源環境保全税など)は数百円多い。
いつ払うか。1年遅れの12回払い
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 1〜12月 | 所得が発生する年 |
| 翌年1月 | 会社が給与支払報告書を市区町村に出す |
| 翌年5〜6月 | 住民税決定通知書が会社経由で届く |
| 翌年6月〜翌々年5月 | 給与から12回で天引き(特別徴収) |
社会人1年目は住民税がなく、2年目の6月から始まるのはこの仕組みによる。前年の所得が基準なので、転職や退職で収入が変わっても、その年の住民税は変わらない。
非課税になる年収
| 世帯 | 非課税になる年収(令和8年度、東京23区などの1級地) |
|---|---|
| 単身 | 110万円以下 |
| 扶養1人 | 約170万円以下 |
| 扶養2人 | 約221万円以下 |
給与所得控除65万円を引いた所得が45万円以下なら、均等割も所得割もかからない。自治体の級地で100〜110万円の幅がある。2027年度(2026年の所得に対する住民税)からは給与所得控除の最低額が74万円に上がり、非課税ラインは年収119万円前後に上がる。所得税の非課税ライン178万円とは別で、住民税のほうが先にかかる(年収の壁の一覧2026の記事)。
給与明細の額が合っているか確認する
6月に届く住民税決定通知書に、所得・控除・税額の内訳が載っている。
- 給与収入が前年の源泉徴収票の支払金額と一致しているか
- 所得控除に、社会保険料・扶養・生命保険料・iDeCo・ふるさと納税(寄附金税額控除)が入っているか
- 年税額÷12が、6月の給与明細の住民税と一致しているか(端数は6月に寄せられる)
ふるさと納税をした人は、寄附額−2,000円が税額控除に入っているかを見る。入っていなければワンストップの申請漏れで、確定申告で取り戻せる。
転職・退職・副業で変わる点
| 場面 | 額 | 払い方 |
|---|---|---|
| 転職(空白なし) | 変わらない(前年所得) | 転職先で天引きを継続する手続き。手続きが遅れると納付書 |
| 退職して空白がある | 変わらない | 1〜5月退職は最後の給与から一括、6〜12月退職は納付書で年4回(退職後の住民税はいくらかの記事) |
| 年の途中で入社した1年目 | 前年所得が少なければ少ない | 2年目の6月から本格的に引かれ、手取りが減る(住民税が高いと感じる理由の記事) |
| 副業がある | 副業の所得分だけ増える | 業務委託の副業なら自分で納付にできる。給与の副業は合算で会社に通知(副業の確定申告はいくらからかの記事) |
| ふるさと納税 | 寄附額−2,000円が減る | 翌年6月からの天引きが減る |
| iDeCo・生命保険料控除 | 掛金×10%が減る | 同上 |
私は退職した翌年、会社員の最後の年の所得に対する住民税と国保が同時に来た。額は前年の年収の6%と決まっているので、辞める前に計算できた数字だ。この早見表を、辞める年の1月に見ておけば、取り分ける額が分かる。
ここまでのまとめ
・年収300万→11.7万、500万→24.2万、800万→45.4万。月は12で割る
・計算|(前年の所得−控除)×10%+5,000円
・非課税|年収110万以下(単身)。扶養1人で約170万
よくある誤解
「住民税は年収が上がると税率も上がる」。所得割は一律10%。上がるのは所得税の税率で、住民税は年収の5〜6%で安定している。
「転職したら住民税が下がる」。その年の住民税は前年の所得で決まっているので変わらない。下がるのは翌年6月からだ。
会社員でも確定申告が必要な人
副業所得20万超・年収2,000万超・2ヶ所給与・年の途中の退職は確定申告が必要で、医療費10万超・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン初年度・控除の申告忘れは申告すると戻る。還付だけの申告は5年間できる。判定表とe-Taxの手順は会社員でも確定申告が必要な人の記事で書いた。
育休の手当は手取りでいくらか
育児休業給付は賃金日額×67%(181日目から50%)で、令和8年8月からの上限は月332,454円。月給30万なら20.1万だが、非課税と社会保険料免除で手取りの約84%になり、両親とも14日以上取れば最大28日は13%上乗せで手取り10割になる。住民税だけは前年分が来る。月給別の早見表は育休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。
産休の出産手当金はいくらか
産休98日の出産手当金は標準報酬日額の3分の2で、月給30万なら約65万、40万なら約87万。非課税で社会保険料は免除され、出産育児一時金50万は別に出る。退職後も1年以上の加入・産休中の退職・退職日に出勤しないの3条件で受け取れ、国保の人には出産手当金がない。月給別の早見表と育休給付との1年の合計は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。
初任給の平均と手取り(公的データ)
令和7年の初任給は大卒262,300円・高卒207,300円・院卒299,000円で、手取りは1年目に住民税がないため大卒約21.1万・高卒約16.8万、2年目6月から住民税で月1万前後減る。初任給30万台の求人は固定残業代と年俸制の中身を基本給で見る。学歴別の表は初任給の平均と手取りのデータ記事で書いた。
年金の繰上げ・繰下げの損益分岐
繰上げは1ヶ月0.4%減(60歳で24%減)、繰下げは1ヶ月0.7%増(70歳42%増・75歳84%増)。損益分岐は60歳繰上げが80歳10ヶ月、70歳繰下げが81歳11ヶ月、75歳が86歳11ヶ月で、税と保険料を入れると1〜2年後ろにずれる。繰上げは取り消せず、繰下げ中は加給年金が出ず、働く人は在職老齢年金65万の線を見る。月額表と選び方は年金の繰上げと繰下げはどっちが得かの記事で書いた。
iDeCoの上限が月6.2万円に上がる
2026年12月分の掛金から、会社員のiDeCo上限は2.3万→6.2万(企業年金ありは合算6.2万、公務員5.4万、自営業7.5万)になり、加入は70歳未満まで延びる。節税は掛金×(所得税率+10%)で、年収500万なら年4.2万→11.2万、800万なら8.4万→22.6万。60歳まで引き出せないので、貯金6ヶ月分と数年内の大きな支出を先に見る。年収別の表はiDeCoの上限引上げと節税額の早見表の記事で書いた。
よくある質問
住民税を安くする方法はありますか?
控除を増やす方法しかない。iDeCo(掛金の10%)、ふるさと納税(寄附額−2,000円)、生命保険料控除、扶養の申告漏れの確認。この4つで年数万円変わる。
住民税の決定通知書をなくしました
会社に再発行はできないが、市区町村で課税証明書を取れば同じ内容が分かる。ふるさと納税の上限を計算する時にも使う。
転職の資料をLINEで無料配布中
年収と扶養から住民税を出し、決定通知書と給与明細を突き合わせる記入表(控除の入れ忘れチェックつき)を公式LINEで無料配布している。月2万の内訳を、1回だけ確かめよう。


