産休に入ると給与が止まる。手当が出るとは聞いているが、いくらなのか、いつ振り込まれるのか、退職を考えている場合はもらえるのかが分からない。育休の手当と混ざって、合計でいくら残るのかも見えない。

産休は月給の3分の2、育休は67%。産休98日で月給の3分の2。育休と合わせて1年で手取りの8割が残る。計算式と、月給別の早見表と、退職する場合の条件を書く。

先に一文で。産休の出産手当金は標準報酬日額の3分の2×98日で、月給30万なら約65万、非課税で社会保険料は免除、出産育児一時金50万は別に出て、退職後も1年以上の加入・産休中の退職・退職日に出勤なしの3条件で受け取れ、国保の人には出産手当金がなく、育休給付と合わせると1年で手取りの8割前後が残る。

この記事の要点

  • 額|標準報酬日額×3分の2×98日。月給30万→約65万、40万→約87万
  • 非課税・社会保険料免除。住民税だけ前年分が来る
  • 出産育児一時金50万は別枠。振込は申請から2〜4ヶ月
  • 退職後も受け取れる3条件|1年以上加入・産休中の退職・退職日に出勤しない

月給別の早見表

標準報酬月額は月給(残業代・通勤手当込み)から決まる等級で、月給25万なら26万、35万なら36万、45万なら44万になる。日額は標準報酬月額÷30。

月給標準報酬月額日額の3分の2産休98日の出産手当金育休6ヶ月(67%)の給付産休+育休1年の合計目安
20万円20万円約4,447円約44万円約80万円約184万円
25万円26万円約5,780円約57万円約101万円約232万円
30万円30万円約6,667円約65万円約121万円約276万円
35万円36万円約8,000円約78万円約141万円約323万円
40万円41万円約9,113円約89万円約161万円約370万円
45万円44万円約9,780円約96万円約181万円約412万円
50万円50万円約11,113円約109万円約199万円(上限)約457万円

育休の列は67%の6ヶ月分と、181日目からの50%の6ヶ月分を足した1年の目安。育休の月給別の詳しい表は育休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。産休と育休で1年間休むと、月給30万の人で約276万が非課税で入る。会社員の時の年間の手取り(約290万)と比べて、8〜9割が残る計算だ。

計算の仕組み

  1. 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均を出す(加入12ヶ月未満の人は、加入期間の平均か全被保険者の平均30万円の低いほう)
  2. ÷30で標準報酬日額(10円未満四捨五入)
  3. ×3分の2(円未満四捨五入)が1日の額
  4. ×休んだ日数。産前42日(出産日を含む)+産後56日=98日。出産が予定日より遅れれば、遅れた分も産前に足される

会社から給与が出る場合は、その分が差し引かれる。給与が日額の3分の2以上なら出ない。

非課税・保険料免除・住民税

項目産休中の扱い
所得税・住民税出産手当金・出産育児一時金は非課税
健康保険・厚生年金産休中は本人・会社とも免除(月末が産休中の月)。年金額は払ったものとして計算
賞与の保険料産休中に賞与月の月末が含まれれば免除
雇用保険給与がないので0
住民税前年分が来る。天引きできないので納付書か会社が立替(住民税の年収別早見表の記事
配偶者控除手当は非課税なので、その年の所得が48万以下なら配偶者の扶養控除の対象になる

年収の途中で産休に入った年は、給与が減って所得税を払いすぎているので、年末調整か確定申告で還付が出る。

出産育児一時金(50万円)

出産費用に対して、健康保険か国民健康保険から1児につき50万円(産科医療補償制度の対象外は48.8万円)。直接支払制度を使えば病院に直接払われ、差額だけを窓口で払う。出産手当金は健康保険の本人だけ、出産育児一時金は扶養の配偶者や国保の人も出る

退職する場合の3条件

条件内容落ちやすい点
退職日までに継続1年以上の加入健康保険の本人として。任意継続の期間は数えない転職の空白で途切れていると不可
退職日が産休の期間中出産予定日の42日前以降産休前の退職では退職後の分は出ない
退職日に出勤していない有給消化・欠勤なら可最終日に挨拶で出勤扱いにすると、翌日以降の分が消える

3条件を満たせば、退職後も産後56日までの残りの期間を受け取れる。育休給付は退職すると出ないので、退職を考えているなら、産休で辞めるか、育休を取ってから辞めるかで、1年分の差になる育休の延長と退職どっちがいいかの記事)。

もらえない人

  • 配偶者の扶養に入っている人(被扶養者)|出産育児一時金のみ
  • 国民健康保険の人(フリーランス・自営業・退職して国保)|出産育児一時金と、国民年金の産前産後4ヶ月免除、国保料の産前産後分の免除のみ
  • 男性|産休はなく、産後パパ育休(出生時育児休業給付、67%+出生後休業支援の13%)を使う

フリーランスに出産手当金と育休給付がないことは、独立前に知っておく。月給30万なら1年で250万前後の差で、在職中にしか受けられない給付の代表だ(独立前に会社員のうちにやることの記事)。

申請と振込の時期

  1. 産休に入る前に、会社から出産手当金支給申請書を受け取る
  2. 医師・助産師の証明欄を出産後に書いてもらう
  3. 会社の証明欄(給与の有無)を記入してもらい、健康保険に提出。産前と産後で分けて2回申請することもできる
  4. 振込は提出から2週間〜1ヶ月。産後にまとめて出すと、産休開始から振込まで2〜4ヶ月空く

産休に入ってから最初の入金まで、給与2〜3ヶ月分の空白ができる。先に取り分けておく。

私の家では、妻の産休と私の1年の育休を合わせて取った。産休の手当と育休の給付が非課税で入り、社会保険料が止まった分、額面の3分の2や67%という数字より、手取りの減りは小さかった。減ったのは後半の育休50%の期間と、前年分の住民税の納付書が来た月だ。

よくある誤解

「産休中は無給だから手当だけでは生活できない」。月給の3分の2が非課税で、社会保険料も止まる。手取りで見ると8割前後が残る。

「入社1年未満だと出産手当金は出ない」。在職中に受ける分は、加入期間の条件がない。1年以上が要るのは、退職後に受け取る場合だけだ。

よくある質問

産休中に有給を使ったほうが得ですか?

有給は給与が全額出て、社会保険料は引かれ、課税される。出産手当金は3分の2で非課税・保険料免除。手取りで比べると有給のほうが1割強多いが、有給を産休に使うと育休明けの有給が減る。産休の98日は手当で、有給は復帰後の通院や看護に残すほうが使いやすい。

出産手当金と傷病手当金は同時にもらえますか?

同時には出ない。切迫早産などで産休前に休んだ期間は傷病手当金、産休に入ってからは出産手当金になり、重なる期間は出産手当金が優先される(傷病手当金はいくらもらえるかの記事)。

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