開業届、出していない。出さないと捕まるのか。それとも出さなくても平気なのか。フリーランス初期の定番の疑問だ。
即答する。罰則はない。だが損はある。それも気分の問題ではなく、青色申告の控除という金額の損だ。出さない場合に起きることを、正確に並べる。
この記事の要点
- 提出は義務だが罰則はない。出さなくても事業と確定申告はできる
- 最大の実害は、青色申告の65万円控除が使えないこと。税額で年数万円以上の差だ
- 屋号口座・事業の証明・各種手続きで、無いと困る場面が実在する
- 出す作業は無料で数十分。損得の計算は一方的に「出す」に傾く
罰則がない、の正確な意味
所得税法上、事業を始めたら1ヶ月以内に開業届を出すことになっている。ただし出さなかった場合の罰則は定められていない。だから出さないまま何年も活動して、白色申告で確定申告をしている人は実在するし、それで逮捕も罰金もない。
ここまでが「出さなくても平気」説の根拠だ。間違ってはいない。だが、この説は損の方を数えていない。
実害1。青色申告の65万円控除が使えない
最大の実害はこれだ。青色申告特別控除(最大65万円)を使うには、開業届と青色申告承認申請書の提出が前提になる。
65万円の控除は、課税される所得を65万円減らす。税率と住民税を合わせれば、年で数万〜十数万円の税金の差になる計算だ。売上が伸びるほど差は開く。さらに青色申告には、赤字の繰り越しや家族への給与の経費化など、事業を続けるほど価値の出る仕組みが付いてくる。出さない選択は、この全部を毎年捨てる選択なんよ。フリーランスの収支の実際はフリーランス4年目の収支で書いた通り、手残りを決めるのは売上より税と経費の管理だ。
実害2と3。口座・証明・手続きの場面で詰まる
実害2、屋号付き口座が作れない。銀行で屋号付きの事業用口座を開くには、開業届の控えを求められるのが通例だ。事業と生活の金が混ざる状態は、確定申告の手間を毎年膨らませる。
実害3、事業の証明ができない。フリーランスには在籍証明書がない。開業届の控えは、保育園の就労証明の代わり、融資や給付金の申請、賃貸契約などで、事業をしている証明として機能する数少ない書類だ。必要になった時に出していないと、その場で詰まる。
なお、会社員の副業で「出すと会社にバレるのでは」と心配している人は、話が別の論点になる。開業届は会社にバレるのかで書いた通り、開業届自体がバレる経路はほぼない。
出す作業は数十分で終わる
損得を並べれば、答えは出ている。出す作業のハードルも、いまはほぼ無い。書き方は開業届の出し方で全手順を書いたが、作成サービスを使えば質問に答えるだけで書類が揃う。
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利用の流れ|① 質問に答えて入力する → ② 開業届と青色申告承認申請書が作成される → ③ 税務署に提出する
青色申告承認申請書は、開業届と同時に出すのが一番楽だ。承認申請には期限(原則、青色にしたい年の3月15日まで、開業年は開業から2ヶ月以内)があるから、後回しにするほど今年の分の控除を逃す。
よくある質問
何年も出していません。今から出しても大丈夫ですか?
大丈夫だ。過去の分を咎められることは実務上まずなく、今から出せば青色申告の道も開ける。気まずさを理由に放置し続ける方が損が積み上がる。
売上が少なくても出す意味はありますか?
ある。控除の恩恵は所得があるほど大きいが、屋号口座や証明書類としての価値は売上と無関係に機能する。事業を続ける気があるなら早い方がいい。
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