独立したら収入はどうなるのか。SNSの「月収7桁」でもなく、「フリーランスはやめとけ」でもない、間にある実際の数字を知りたくないか。フリーランス4年目の私の収支の内側を、実感ごと書く。

この記事の要点

  • フリーランスの収入は会社員と仕組みが違う。月の変動と税・保険の自己管理が前提だ
  • 独立前に副業で収入の種を作り、数字で判断してから辞めるのが順番だ
  • 私は副業収入が給与を超える月を確認してから独立した。勢いの独立はギャンブルになる

*筆者の立場|この記事は、フリーランス4年目の当事者として、独立前後の実体験に基づいて書いている。*

フリーランス独立前にやっていたこと

会社員時代から副業でブログとSNS運用を始めていた。最初は月数千円の収益だったが、続けるうちに数万円になり、育休中に匿名SNSアカウントを複数育てた結果、副業収入が給与を超える月が出た。この実績があったから独立に踏み切れた。あなたが「フリーランスは自由で楽そう」と思っているなら、その考えは今すぐ捨てろ。会社員時代の仕込みがなければ、独立後に地獄を見る。

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軌道に乗った理由

変わったのは「直営業」とSNS経由の問い合わせだ。クラウドソーシングの手数料は20%。これを削るだけで手取りが大きく変わる。X(旧Twitter)のフォロワーが伸びてからは問い合わせが安定して入るようになった。

あわせて読みたい会社員の副業は何から始めるべきか。結論、スキルの切り売りからだ

フリーランスの収支のリアル

売上から経費(家賃按分、通信費、ツール代、交通費)を引き、さらに税金と社会保険を引いた残りが手取りだ。会社員のように額面=手取りではない。有給も賞与もない。安定と引き換えに手に入れた自由だ。あなたが独立を考えているなら、まずは副業から始めることを強く勧める。

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独立前の副業の始め方は会社員の副業は何から始めるべきか。結論、スキルの切り売りからだに書いた。逆に、フリーランスから会社員に戻る選択肢を考えている人は[フリーランスから会社員に戻るのは負けじゃない。

出戻り転職の実際](/articles/freelance-back-to-employee)を読んでほしい。独立するにしても、まずミイダスの市場価値診断で自分の値段を知ってからだ。

独立を決めた人向けに、実務の道具も紹介しておく。開業届はマネーフォワード クラウド開業届を使えば、質問に答えるだけで無料で書類が作れる。フリーランスの資金繰りと保険にはFREENANCEがある。請求書の即日払いと賠償保険がセットで、独立初期の「入金まで長い問題」への現実的な備えになる。

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あわせて読みたいフリーランスの孤独がきつい。会社員に戻る前に試すこと
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独立して4年目で分かった、収支の実際

数字の細部は状況で変わるから、仕組みとして言えることを書く。

収入の側で起きること

  • 月ごとの変動が大きい。会社員の月給と違い、案件の切れ目がそのまま収入の谷になる
  • 単価は交渉と実績で動く。同じ作業でも、取引先と契約形態で金額が変わる
  • 取引先が1社に偏ると、会社員より不安定になる。そこが切れた瞬間にゼロになる

支出の側で起きること

  • 社会保険料の負担が変わる。会社が半分払っていた分が、自分の負担になる
  • 税と経費の管理が要る。確定申告、消費税の判定、帳簿。時間というコストも発生する
  • 収入が読めない分、生活防衛資金の必要額が上がる

独立前に必ず用意しておくもの

在職中にしか作れないものがある。辞めてからでは遅い。

  • 取引先を1社。独立初月に売上ゼロだと、焦って単価の低い仕事を受けることになる
  • 生活防衛資金。最低でも生活費の6ヶ月分が目安。会社員より多めに要る
  • クレジットカードと各種審査。在職中の方が通りやすい手続きがある
  • 戻る道の確認。フリーランスから会社員に戻る選択肢もある。不可逆な決断ではない

この4つが揃った独立は、ギャンブルではなく計画的な移動になる。私は副業収入が給与を超える月が出たのを確認してから独立したが、それでも1年目は正直きつかった。準備は多すぎるということがない領域だ。

そもそも独立に向いているかを先に確かめたい人は、フリーランスはやめたほうがいい人の特徴5つで正直に書いた。

売上が伸びてきた人は、法人化のタイミングも並べて読める。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

フリーランスの末路はやばい?

「末路」で検索される不安の実体は、収入の変動・保障の薄さ・老後の3つだ。どれも仕組みで対処できるが、対処しないまま年数が経つと確かに詰む。放置した人の話が末路として流通している。

フリーランスの年収の現実は?

会社員の年収と同じ数字では比べられない。経費・保険・年金・退職金を引いた残りが実感の年収で、額面の2〜3割引きで見るのが近い。この記事の収支がその実例だ。

会社員に戻る人は多い?

一定数いるし、負けでもない。フリーランスから会社員に戻るに書いた通り、戻る前提の準備なしでも、実務経験があれば戻る道は普通にある。

独立の手続きそのものは開業届はいつ出すべきかにまとめた。失業保険との順番だけは、間違えると数十万円の差になる。

フリーランスに向いている人はどんな人ですか?

自分で仕事を作れる人だ。スキルの高さより、営業・値付け・納期管理・確定申告まで含めて自走できるかが分かれ目になる。会社員のうちに副業で一周経験してみれば、向き不向きは自分で判定できる。

独立に至るまでの経歴

収支の話の背景として、どういう経歴で独立に至ったのか(転職4回・年収を下げた4社目・育休と移住・副業が給与を超えた月)はキャリア孔明とは何者かの記事で書いた。数字だけでなく道筋も見ると、再現できる部分が見えると思う。

個人事業主の手取り早見表

2026年の税率と東京23区の国保で、売上500万(経費20%)の手取りは約301万、800万で約447万、1,000万で約536万で、会社員の同じ額より2割前後少ない。売上×経費率の一覧と、月30万を残すのに必要な売上の逆算は個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。業務委託の月額を会社員の月給に換算する倍率は業務委託の手取り計算の記事にある。

副業とフリーランスの割合(公的データ)

総務省の就業構造基本調査(2022年)では、副業がある人は305万人で4.8%、正社員では2.5%、副業をしたい人は7.8%、本業がフリーランスの人は209万人で3.1%、45〜54歳が最多で20代は1%台だった。年代別・業界別・都道府県別の表は副業とフリーランスの割合の記事で書いた。

独立とお金の入口

独立の資金は生活費6ヶ月+前年の税と保険料の後払い(年収500万で約88万)+初期費用で、退職翌月に国保と年金、6月に住民税が来る(独立の資金はいくら要るかの記事)。国保が高い時の5つの対策は国民健康保険が高い時の対策の記事、青色申告の65万控除は青色申告とはの記事、インボイスの判断はインボイスをフリーランス向けに分かりやすくの記事、老後の積立はフリーランスの老後資金の記事で書いた。

ここまでのまとめ

フリーランスの収入は会社員と仕組みが違う。月の変動と税・保険の自己管理が前提だ

独立前に副業で収入の種を作り、数字で判断してから辞めるのが順番だ

私は副業収入が給与を超える月を確認してから独立した。勢いの独立はギャンブルになる

フリーランスの保険と契約の守り

会社員の保障6つのうち独立で残るのは医療費3割と国民年金だけで、消える傷病手当金・労災・賠償の代わりは労災特別加入(年1〜2万)・所得補償(月1万前後)・賠償責任保険(フリーランス協会)で埋める(フリーランスに必要な保険5種類の記事)。2024年11月のフリーランス新法で発注者には条件の書面明示と60日以内の支払いが義務になり(フリーランス新法を分かりやすくの記事)、契約書は損害賠償の上限・中途解約・競業避止の3ヶ所を直す(業務委託契約書のチェック項目の記事)。

予定納税と簡易課税

独立2年目の6月には、1年目の所得税が15万円以上なら予定納税(3分の1ずつを7月と11月に前払い)の通知が来る(予定納税とはの記事)。インボイスの2割特例が2026年分で終わった後は、経費率が50%未満のサービス業なら簡易課税(受け取った消費税の50%)が原則課税より少なく、2027年分から使うなら2026年12月31日までに届出を出す(簡易課税制度とはの記事)。

帳簿と経費の実務

会計ソフトはfreee・弥生・マネーフォワードのどれも65万控除に対応し、簿記を知らない人はfreee、経験者か初年度を安くしたい人は弥生、法人化を見据える人はマネーフォワードが向く(個人事業主の会計ソフトの比較の記事)。経費の線は「売上を得るために使ったと説明できるか」の1つで、家賃と電気代は事業割合3〜5割で按分し、経費を増やすと手取りは減る(個人事業主の経費はどこまでかの記事)。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

独立前に会社員のうちにやること

会社員の信用は辞めた瞬間に消える。クレジットカード・賃貸・ローンの契約、副業での受注実績、生活費6ヶ月+税と保険料の後払い分の貯金、健康診断、有給消化と6月以降の退職、企業型DCの移換先、在職中の給付、就業規則の競業避止の10個を1年前から順に進める(独立前に会社員のうちにやること10個の記事)。フリーランス1年目は賃貸の審査に落ちやすく、在職中の契約が最も確実だ(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。

フリーランスの節税の順番と効果

所得500万のフリーランスの年間の税と保険料は、青色65万で25.2万、小規模企業共済84万で15.9万、iDeCo90万で16.8万、両方で29.5万、経費50万で17.2万減る。青色は掛金なしで最初、共済とiDeCoは貯金6ヶ月の後、国保は所得控除では減らない。所得別の早見表と順番はフリーランスの節税を効果の大きい順にの記事で書いた。

フリーランスの消費税はいつから払うか

消費税は2年前の売上1,000万超で課税、前年上半期1,000万超(売上も給与も)なら翌年から、インボイス登録なら登録日から課税になる。納税額は本則(受取−支払)・簡易(サービス業は受取の50%)・2割特例(受取の20%、2026年9月まで)で、売上1,200万のサービス業なら90万・60万・24万。判定と手順はフリーランスの消費税はいつから払うかの記事で書いた。

フリーランスが病気で働けなくなった時

フリーランスには傷病手当金がなく、国保から出るのは高額療養費だけ。使えるのは国保の減免・国民年金の免除・小規模企業共済の貸付・限度額適用認定証・障害年金で、民間は免責の短い所得補償保険を貯金6ヶ月分ができるまで先に入れる。生活費6ヶ月は税と保険料の後払い分と別に作る。備えの順番はフリーランスが病気で働けなくなったらの記事で書いた。

フリーランスのクレジットカード審査

カードの審査で見られるのは申告した所得・信用情報・事業の実態で、落ちる理由は1年目で申告書がない・経費で所得を圧縮・多重申込・延滞の4つ。対策は会社員のうちに2枚(事業用・私用)作ること、申込は1〜2ヶ月に1枚にすること。事業用を分けると会計ソフトの連携で帳簿が自動になる。詳しくはフリーランスのクレジットカード審査の記事で書いた。

フリーランスの単価の決め方

単価は「目標年収(会社員時代の1.2〜1.5倍)÷年間の請求できる時間(月80〜120時間×12)」で決まり、目標600万・月100時間なら時給5,000円。請求できるのは稼働の6〜7割で、値付けは時間単価・成果単価・月額固定の3つ。安い案件は時間を埋めて単価が上がらない原因になる。逆算の式はフリーランスの単価はどう決めるかの記事で書いた。

フリーランス法(2024年11月施行)

発注側には、取引条件の書面明示・納品から60日以内の支払い・7つの禁止行為(減額、買いたたき、返品、不当なやり直しなど。1ヶ月以上の継続取引)・6ヶ月以上なら中途解除の30日前予告と育児介護への配慮・ハラスメント対策が義務づけられた。違反は公取委・中企庁・厚労省に申し出られる。中身はフリーランス法で何が変わったかの記事で書いた。

著作権を全部譲渡してはいけない

著作権法61条2項により、27条(翻案権等)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)は譲渡の目的として特掲されていなければ譲渡した者に留保されると推定される。だから発注側の契約書には必ず「27条及び28条を含む」が入る。著作者人格権は譲渡できないので、不行使条項が置かれる。取りにいくのは利用許諾化・範囲の限定・二次利用の追加報酬・実績公開・氏名表示の5つだ。書き方は著作権を全部譲渡してはいけない理由の記事で書いた。

10万・20万・30万の3つの線

取得価額10万円未満(または使用可能期間1年未満)は全額その年の経費、10万〜20万未満は一括償却資産で3年に3分の1ずつ、10万〜30万未満は青色申告者なら年300万円まで一括にできる(適用期間の期限は最新を確認)。それ以上は耐用年数で定額法(パソコン4年、カメラ5年、普通車6年)。開業費は任意償却で、黒字が出た年にまとめて落とせる。線引きはパソコンは一括で経費にできるのかの記事で書いた。

経営セーフティ共済は節税になるのか

経営セーフティ共済は掛金月5,000円〜20万円(年最大240万円、積立ての上限800万円)が全額損金・必要経費になり、40か月以上納めれば全額戻る。ただし解約手当金は収入になるので節税でなく課税の繰り延べで、出口の年を先に決めておく必要がある。令和6年10月1日以降に解約して再加入すると、解約から2年間は掛金を経費にできない。中身は経営セーフティ共済は節税になるのかの記事で書いた。

よくある質問

フリーランスの収入は会社員より増えますか?

単価は上がるが、安定は下がる。売上から経費・税金・保険を払い、営業も事務も自分でやる。手取りと安定込みで比べると、独立直後は会社員時代を下回る時期もある。数年かけて信頼と単価を積んで、ようやく上回るのが実態だ。

フリーランスになる前に何を準備すべきですか?

副業での実績作りと、生活費1年分の蓄えだ。会社員のうちに副業で顧客と収入源を作り、収入が育ってから独立するのが一番安全な順番だ。勢いの独立は、営業力が育つ前に貯金が尽きる。

単価の停滞に悩んでいる人は単価の上げ方と交渉の台本を、案件が空いて不安な時期は仕事が途切れた時の不安の扱い方を読んでほしい。どちらも4年やってきた実感で書いた。

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