熱が下がらない。病院に行く時間も惜しくて、納期を抱えたまま働いている。会社員の時は休めば傷病手当金があった。今は休んだ月の収入がゼロになる。何があるのか、何に入っておけばいいのかが分からない。

フリーランスに傷病手当金はない。フリーランスに傷病手当金はない。倒れた月の収入は、自分で作った備えだけだ。使える制度と、保険の選び方と、貯金の作り方と、倒れた時の動き方を書く。

先に一文で。フリーランスには傷病手当金がなく国保から出るのは高額療養費だけで、使えるのは国保の減免・国民年金の免除・小規模企業共済の貸付・高額療養費の認定証・障害年金、民間は免責の短い所得補償保険を貯金6ヶ月分ができるまで先に入れ、生活費6ヶ月は税と保険料の後払い分と別に作り、倒れたら取引先に即日連絡して納期を動かす。

この記事の要点

  • ない|傷病手当金、休業補償、有給。国保にあるのは高額療養費と出産育児一時金
  • 使える制度|国保の減免、国民年金の免除、共済の貸付、限度額適用認定証、障害年金
  • 保険|貯金6ヶ月未満は免責の短い所得補償保険を先に。長期は就業不能保険
  • 貯金6ヶ月は、税と保険料の後払い分と別に作る

会社員とフリーランスの違い

場面会社員フリーランス
病気で1ヶ月休む傷病手当金(月給の3分の2、最長1年6ヶ月)なし。収入ゼロ
仕事中のけが労災(休業補償8割)なし(特別加入していれば労災)
医療費高額療養費高額療養費(同じ)
休んだ月の社会保険料天引き(傷病手当金から払う)国保・国民年金は止まらない。減免と免除を申請
有給あるない

会社員の休職中のお金は休職中の給与と手当の記事で書いた。フリーランスは、休んだ月の収入がゼロで、固定費と保険料はそのまま来る

使える制度

制度内容動き方
高額療養費・限度額適用認定証月の医療費の自己負担に上限(年収370〜770万で約8〜9万)入院や高額の治療が決まったら、自治体で認定証を取る
国民健康保険料の減免所得が前年から大きく下がる見込みの時に所得割を減免自治体の窓口に申請。基準は自治体ごと(国民健康保険が高い時の対策の記事
国民年金の免除・納付猶予所得の見込みで申請。10年以内に追納可年金事務所か自治体。障害年金の要件のためにも未納にしない国民年金の免除の記事
小規模企業共済の貸付掛金の範囲で契約者貸付・傷病災害時貸付。低利、数日で振込加入していれば最も早い資金(小規模企業共済の記事
iDeCo引き出せないが、掛金の停止・減額はできる運営管理機関に届
障害年金障害が残れば障害基礎年金(1級 月約9.4万、2級 約7.5万)初診日の前々月までの1年に未納がないこと
医療費控除年10万超の医療費翌年の確定申告

就業不能保険と所得補償保険

所得補償保険(損保)就業不能保険(生保)
免責期間7日程度〜60〜180日
給付期間1〜2年の短期60〜70歳まで長期
給付額所得の5〜7割月10〜30万の定額
保険料(30代)月3,000〜6,000円月2,000〜5,000円
向く場面数ヶ月の療養。貯金が薄い時長期の療養・障害

貯金が生活費6ヶ月分に届くまでは、免責の短い所得補償保険を先に入れる。届いたら、免責の長い就業不能保険に切り替えるか、両方を薄く持つ。見るのは、免責期間(貯金で何ヶ月耐えられるか)、給付の条件(在宅療養・精神疾患が対象か)、給付額(固定費+生活費−貯金で賄える分)。保険料は経費にならず、生命保険料控除の範囲になる。フリーランスに要る保険の全体はフリーランスに必要な保険5種類の記事で書いた。

どの保険をいくら持つかは、家計と貯金の額で変わる。FPに家計ごと見てもらうと、就業不能・所得補償・医療の3つの重なりと抜けが分かる。

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貯金6ヶ月の作り方

フリーランスの貯金は2つに分けて持つ。①税と保険料の後払い分(住民税・国保・所得税・消費税の翌年分。所得500万で年130万前後)、②生活費6ヶ月分(倒れた時と、仕事が切れた時のため)。①を生活費と混ぜると、倒れた月に納付書が来て両方が消える。売上の入る口座から、①は毎月の売上の25〜30%、②は月の生活費の10〜20%を別口座に移す(個人事業主の手取り早見表の記事貯金の中央値のデータ記事)。

倒れた時の動き方

  1. 取引先に即日連絡する。病名は要らず、「体調不良で◯日まで作業できない」と納期の見直しを伝える。黙って遅れるのが最も信用を失う
  2. 納期を動かせない案件は、同業者に振るか、部分納品で切る
  3. 医療費が大きくなりそうなら限度額適用認定証を取る
  4. 収入ゼロの月が2ヶ月見えたら、国保の減免と国民年金の免除を申請し、共済の貸付を検討する
  5. 復帰は、単価の高い案件と継続案件から。新規営業は体力が戻ってから

私は独立する前に、傷病手当金がなくなることを前提に、生活費6ヶ月の貯金と、免責の短い所得補償を先に用意した。会社員の時に育休を1年取って、給付があるかないかで家計の余裕がどれだけ変わるかを体で知っていたからだ。独立後4年間で長く倒れたことはないが、備えがあるかどうかで、休む判断の早さが変わる。備えの順番は独立前に会社員のうちにやることの記事で書いた。

よくある誤解

「国保にも傷病手当金がある」。市区町村の国保にはない。一部の国保組合に独自の給付があるだけだ。

「保険に入れば貯金は要らない」。免責期間中は給付がない。貯金6ヶ月と保険は、期間で役割が違う。

フリーランスの保育園の申込

フリーランスも就労の事由で保育園に申し込め、就労証明書は自分で書いて開業届・確定申告書・請求書・入金記録を添える。点数は多くの自治体で会社員と同じで、差が付くのは就労時間と在宅の扱い。1年目は開業届と請求書で代え、申込前に開業届を出す。書き方はフリーランスは保育園に入れるかの記事で書いた。

よくある質問

労災の特別加入はフリーランスでも入れますか?

2024年11月から、業務委託で働くフリーランスは業種を問わず労災の特別加入ができる。仕事中のけがや病気に休業補償(給付基礎日額の8割)が出る。保険料は自分で選ぶ給付基礎日額で決まり、年数万円から。

病気で廃業した場合、小規模企業共済はどうなりますか?

廃業は共済金Aの支給事由で、掛金の全額以上が退職金として受け取れる。加入6ヶ月以上が条件で、退職所得として税の扱いも有利になる。

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