医師に休職を勧められた。会社に言えば休職できるらしいが、その間の給与はどうなるのか。無給なら家賃はどうするのか。社会保険料や住民税は止まるのか。休職期間が終わったらどうなるのか。誰も一度に説明してくれない。
休職中の給与はゼロ。代わりに3分の2が出る。休職中の給与はゼロ。代わりに月給の3分の2が1年6ヶ月出る。傷病手当金の額と、払い続ける保険料と税、手元に残る額、休職期間の満了と退職後の扱いを書く。
先に一文で。休職中は原則無給で、傷病手当金が月給の3分の2で通算1年6ヶ月出るが、社会保険料は免除されず本人負担分を会社に払い、住民税も前年分が続き、手元は月給30万で約14万、賞与は出ないか減り、有給は先に使い、休職期間の満了までに復職できなければ退職になり、退職後も条件を満たせば傷病手当金は続く。
この記事の要点
- 給与|原則無給。傷病手当金が月給の3分の2、通算1年6ヶ月
- 払い続けるもの|社会保険料(本人負担分)と住民税。月給30万で約6万
- 手元|月給30万なら傷病手当金20万−保険料4.2万−住民税2万=約14万
- 休職期間は3ヶ月〜3年。満了で退職。退職後も傷病手当金は続く
休職中のお金の一覧(月給30万円の例)
| 項目 | 休職中 | 額の目安 |
|---|---|---|
| 給与 | 原則無給(就業規則で一部支給の会社あり) | 0円 |
| 傷病手当金 | 標準報酬日額の3分の2×日数 | 約20万円(非課税) |
| 健康保険・厚生年金の保険料 | 免除されない。本人負担分を会社へ | 約4.2万円 |
| 住民税 | 前年分が続く。会社の立替か普通徴収 | 約2万円(前年年収500万) |
| 雇用保険料 | 給与がなければ0 | 0円 |
| 賞与 | 査定期間の勤務がないと出ないか減額 | ― |
| 手元に残る額 | 約14万円 |
傷病手当金の月給別の額は傷病手当金はいくらもらえるかの記事で書いた。産休・育休と違い、休職中の社会保険料は免除されない。ここを知らずに休職して、会社からの請求で驚く人が多い。
傷病手当金の条件と期間
- 業務外の病気・けが(業務上なら労災)
- 働けないことを医師が証明する
- 連続3日の待期の後、4日目から支給。待期は有給・欠勤・休日でもよい
- その日に給与が出ていない(一部出ればその分減額)
- 期間は同じ病気について支給開始から通算1年6ヶ月(2022年1月から、復職して給与が出た期間は数えない)
申請は月ごとに会社経由で健康保険へ。医師の意見欄が要る。初回の振込は休職開始から1〜2ヶ月後になるので、その間の生活費を先に取り分ける。
有給と傷病手当金の使い分け
| 有給 | 傷病手当金 | |
|---|---|---|
| 額 | 給与の100% | 3分の2 |
| 税・保険料 | 課税、保険料も引かれる | 非課税、保険料は別途払う |
| 期間 | 残日数まで | 通算1年6ヶ月 |
有給を先に使い切ってから傷病手当金に切り替えるのが基本。有給の日は給与が出るので傷病手当金は出ず、両方は重ならない。ただし、有給を復職後の通院に残したい人は、待期3日だけ有給にして4日目から傷病手当金にする形もある。
休職期間の満了と、その後
休職できる期間は就業規則で決まっていて、勤続年数に応じて3ヶ月〜3年が多い。満了までに復職できないと、自然退職か解雇(就業規則の定め)になる。満了が近づいたら、①復職(主治医の診断書と産業医の面談、時短やリハビリ出勤)、②休職の延長を会社に相談、③退職して傷病手当金を続けながら療養、の3つを比べる(休職期間の満了が近い時の記事、休職の延長をしたい時の記事)。
退職後も傷病手当金が続く条件は、退職日までに継続1年以上健康保険に加入していること、退職日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であること(退職日に出勤すると切れる)。残りの期間(1年6ヶ月まで)を受け取れる(傷病手当金は退職後ももらえるかの記事)。退職後は国保と国民年金への切り替えが要り、傷病手当金の受給中は失業保険を受けられないので、受給期間の延長(最長4年)をハローワークに申請する。
休職中の家計の計算
- 傷病手当金の月額(月給の3分の2)を出す
- 社会保険料の本人負担分(月給の約14%)と住民税(前年年収の6%÷12)を引く
- 家賃・ローン・生活費と比べ、足りない分×休職期間を貯金と照らす
- 初回振込までの1〜2ヶ月分を先に取り分ける
月給25万なら手元は約11万、40万なら約19万が目安。足りない分の月数が、休職できる現実の期間になる。貯金の中央値は30代単身で100万しかない(貯金の中央値のデータ記事)。休職前に計算しておくと、途中で「お金がないから復職」という判断を避けられる。
休職中の転職活動
休職中の転職活動は禁止されていないが、療養が目的の休職中に活動すると、復職の意思がないと見なされる。動くなら、主治医が働ける状態と判断してからで、面接で休職を聞かれた時の伝え方は休職を転職で伝えるかの記事、休職明けすぐの転職は休職明けにすぐ転職する時の記事で書いた。
私は休職の経験はないが、1社目のブラック企業で体を壊しかけて辞めた。当時は傷病手当金の存在も、退職後も続くことも知らなかった。知っていれば、辞める前に休職して、3分の2を受け取りながら次を考える選択があった。DMには、休職せずに辞めて収入がゼロになった相談が繰り返し届く。
よくある誤解
「休職中は社会保険料も止まる」。止まるのは産休・育休だけ。休職中は本人負担分を会社に払う。
「傷病手当金は退職したら終わり」。1年以上加入し、退職日に受給中なら、残りの期間は退職後も続く。退職日に出勤しないことが条件だ。
介護で辞める前に使える制度
介護休業は家族1人につき93日を3回まで分けて取れて給付67%(月給30万で約20万)、介護休暇は年5日、時短・時差出勤・残業免除を請求でき、2025年4月から会社は制度の個別周知が義務。介護離職後は年収が半分以下になる例が多いので、包括支援センター→要介護認定→ケアマネ→93日で体制→時短で続ける、の順で動く。詳しくは親の介護で仕事を辞める前にの記事で書いた。
フリーランスが病気で働けなくなった時
フリーランスには傷病手当金がなく、国保から出るのは高額療養費だけ。使えるのは国保の減免・国民年金の免除・小規模企業共済の貸付・限度額適用認定証・障害年金で、民間は免責の短い所得補償保険を貯金6ヶ月分ができるまで先に入れる。生活費6ヶ月は税と保険料の後払い分と別に作る。備えの順番はフリーランスが病気で働けなくなったらの記事で書いた。
うつで退職を考えた時の順番
うつで辞めたい時はまず休職で傷病手当金(月給の3分の2・1年6ヶ月)を受け、退職するなら1年以上の加入・退職日に受給中・退職日に出勤しないの3条件で手当を続け、失業保険は受給期間の延長を申請して回復後に受ける。病気の退職は特定理由離職者で給付制限なし、自立支援医療で医療費1割。順番はうつで退職を考えた時の順番の記事で書いた。
よくある質問
休職中に副業で収入を得たら?
傷病手当金は「働けない」ことが条件なので、副業で働けば支給されない可能性があり、会社にも療養中の就労として問題になる。療養に専念する。
会社が休職を認めてくれません
休職は就業規則の制度で、規定があれば医師の診断書を出して申請する。規定がない会社では、欠勤扱いで傷病手当金を受ける形になる。診断書があるのに出勤を強制されるなら、労働局の相談窓口に相談する。
退職の資料をLINEで無料配布中
月給から傷病手当金・保険料・住民税・手元の額を出し、貯金と休職期間の上限を並べる記入表(有給の使い方と退職後の継続条件のチェックつき)を公式LINEで無料配布している。休職の前に、手元に残る額を1回出そう。


