領収書は取ってあるが、これが経費になるのか分からない。家賃は入れていいのか、パソコンは全額か、カフェ代はどうか。入れすぎて税務署に指摘されるのも怖い。

経費の線は1つしかない。経費の線は1つ。売上を得るために使ったと説明できるか。一覧と、家事按分と、線の外側を書く。

先に一文で。経費は事業の売上を得るために使った支出で、機材・ソフト・通信・書籍・交通・外注・手数料・広告・打ち合わせの飲食は経費、自分の食事・服・生活費・所得税住民税は経費でなく、国民年金・国保・共済は所得控除で別枠、自宅の家賃と電気代は事業割合(3〜5割が目安)で按分し、10万円以上の備品は減価償却(青色なら30万円未満は一括)、経費を増やすと手取りは減る。

この記事の要点

  • 基準|売上を得るために必要と説明できるか
  • 家事按分|家賃は面積、電気は時間、通信は使用割合。3〜5割が目安
  • 10万円以上の備品は減価償却。青色申告なら30万円未満は一括経費
  • 国民年金・国保・共済・生命保険は経費でなく所得控除

経費になるもの・ならないものの一覧

区分経費になる経費にならない
機材・道具パソコン・モニター・カメラ・机・椅子(事業用)私用のスマホ・テレビ
ソフト・サービス会計ソフト・デザインソフト・クラウド・ドメイン・サーバー私用のサブスク
通信ネット回線・スマホ(事業割合)全額(私用分)
学習事業に関する書籍・セミナー・講座資格取得のための学校(事業と直接関係しないもの)
移動打ち合わせ・現場への交通費・出張費通勤に相当する私用の移動
外注・手数料外注費・振込手数料・プラットフォーム手数料・カード決済手数料
広告広告費・名刺・サイト制作費
飲食取引先との打ち合わせ・接待(相手と目的をメモ)自分1人の食事・カフェ代(作業場所として使った分は会議費で認められることがある)
家賃・電気・水道・ガスの事業割合私用分
税金個人事業税・消費税・印紙税・事業用の固定資産税所得税・住民税・罰金・延滞税
保険・年金事業の賠償責任保険・所得補償保険国民年金・国保・生命保険・iDeCo・共済(所得控除で別枠)
撮影用の衣装・作業着・制服スーツ・私服

所得控除と経費を混同しない。国民年金・国保・共済・生命保険は、経費の欄でなく所得控除の欄で引く。効果は同じ方向だが、帳簿には載せない。

家事按分。割合の出し方

支出按分の基準目安
家賃事業に使う部屋の面積÷全体1部屋を仕事部屋なら30〜40%
電気代事業の使用時間在宅で1日8時間なら30〜50%
ネット回線・スマホ事業の使用時間か通信量50%前後
車(ガソリン・保険・駐車場)事業の走行距離÷全体記録で決める
持ち家住宅ローンの利息・固定資産税・減価償却費の事業割合元本は経費にならない

割合に決まった数字はない。説明できる根拠(間取り図・使用時間の記録)を用意する。9割や10割の按分は、自宅で生活している以上、否認されやすい。

10万円以上の備品

金額(税込)扱い
10万円未満買った年に全額経費
10万円以上20万円未満3年で均等に経費(一括償却資産)、または減価償却
10万円以上30万円未満(青色申告)買った年に全額経費(少額減価償却資産、年300万円まで)
30万円以上減価償却(パソコンは4年、カメラは5年、机は8〜15年など)

青色申告なら、30万円未満のパソコンや機材は買った年に落とせる。白色は10万円以上が減価償却になる。青色の優遇の1つで、詳しくは青色申告とはの記事で書いた。

領収書がない時

  • 電子決済・カード|明細で足りる。会計ソフトに連携すれば自動で取り込まれる
  • 交通費(ICカード)|利用履歴を印刷するか、出金伝票に日付・区間・金額・目的を書く
  • 割り勘・香典・ご祝儀|出金伝票に相手と目的を書く
  • 紛失|出金伝票で代える。頻発すると信用されないので、レシートは撮影してソフトに入れる

インボイス登録をしている人は、消費税の仕入税額控除に取引先のインボイスが要る(簡易課税なら不要)。所得税の経費とは別の話になる(簡易課税制度とはの記事)。

経費を増やすと手取りは減る

経費を10万円使うと、所得税・住民税・国保が合わせて3〜5万円減るが、10万円は出ていく。手取りは5〜7万円減る。経費は使うほど手取りが減り、得なのは「どうせ使う費用が経費になる」場合だけだ。節税のために買い物をするのは、手取りを減らす行為になる。売上と経費率ごとの手取りは個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。

税務調査で否認されやすい項目

  • 家事按分が9割以上
  • 家族との食事・旅行を接待交際費にしている
  • 私服・私用の家電を経費にしている
  • 相手と目的の記録がない飲食
  • 売上に対して経費率が業種の平均から大きく外れている

否認されると、追徴と過少申告加算税(10〜15%)がつく。線の内側で説明できる経費だけ入れるほうが、結果として手元に残る。

副業の経費との違い

会社員の副業(雑所得)でも、副業のための支出は経費にできる。ただし家事按分は、本業の会社員の生活が中心なので割合は低くなる(家賃なら1〜2割)。副業の赤字を給与と相殺する目的の経費計上は否認されやすい(副業の確定申告はいくらからかの記事)。

私は独立してから、経費の判断で迷った支出は、領収書の裏に「誰と・何のため・売上とどう関係するか」を1行書いている。書けない支出は経費にしない。それだけで、線の内側と外側が自分で分かるようになった。会計ソフトに入れる時は、そのメモを摘要欄に写す。

よくある誤解

「経費で落とせば無料になる」。税と国保が3〜5割減るだけで、5〜7割は自分の負担だ。無料にはならない。

「家賃は全額経費にできる」。自宅で生活している以上、事業割合の分だけになる。全額は否認される。

独立・副業・お金の全体像

副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。

請求書と屋号・口座の実務

請求書は宛名・発行者・番号・発行日・内容・金額(税抜/消費税/税込)・支払期日・振込先・登録番号の9項目で完成し、源泉徴収の仕事は税抜額×10.21%を引いた差引額を書く(フリーランスの請求書の書き方の記事)。屋号は任意で後から変えられ、口座とカードを事業専用に分けるだけで帳簿がほぼ自動になる(屋号の決め方と事業用口座の記事)。

独立前に会社員のうちにやること

会社員の信用は辞めた瞬間に消える。クレジットカード・賃貸・ローンの契約、副業での受注実績、生活費6ヶ月+税と保険料の後払い分の貯金、健康診断、有給消化と6月以降の退職、企業型DCの移換先、在職中の給付、就業規則の競業避止の10個を1年前から順に進める(独立前に会社員のうちにやること10個の記事)。フリーランス1年目は賃貸の審査に落ちやすく、在職中の契約が最も確実だ(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。

よくある質問

カフェで作業した時のコーヒー代は?

作業場所として使った実態があれば、会議費や雑費として認められることが多い。ただし毎日の食事代は経費にならない。回数と目的をメモしておく。

経費の領収書は何年保管しますか?

青色申告は7年、白色は5年。紙でもデータでもよく、電子取引(メールで届いた請求書など)はデータで保存する義務がある。

独立の資料をLINEで無料配布中

経費の判定表(なる・ならない・按分の3区分と、按分割合の根拠メモの型)を公式LINEで無料配布している。線は1つ。説明できるかで決めよう。

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