独立した時、単価をいくらにすればいいのか分からなかった。相手に言われた額で受けて、忙しいのに手元に残らない。何を基準に決めればいいのかが分からない。

会社員の年収から逆算する。会社員の年収を稼働時間で割って、1.5〜2倍。それが下限の単価だ。逆算の式と、請求できる時間の現実と、値付けの3つの型と、安い案件の切り方を書く。

先に一文で。単価は「目標年収(会社員時代の1.2〜1.5倍)÷年間の請求できる時間(月80〜120時間×12)」で決まり、目標600万・月100時間なら時給5,000円、請求できるのは稼働の6〜7割、値付けは時間単価・成果単価・月額固定の3つ、安い案件は時間を埋めて単価が上がらない原因になるので下限を決めて割らない。

この記事の要点

  • 目標年収=会社員時代の年収×1.2〜1.5(社保の会社負担・有給・賞与・退職金の分)
  • 請求できる時間は稼働の6〜7割。月80〜120時間
  • 時給=目標年収÷(月の請求時間×12)。600万・月100時間で5,000円
  • 安い案件は時間を埋める。下限を決めて割らない

逆算の式

目標年収 ÷(月の請求できる時間 × 12)= 時給

目標年収月80時間月100時間月120時間
480万円5,000円4,000円3,333円
600万円6,250円5,000円4,167円
720万円7,500円6,000円5,000円
900万円9,375円7,500円6,250円

目標年収を会社員時代の1.2〜1.5倍に置く理由

理由内容
社会保険料の会社負担がない給与の約15%を会社が払っていた分が消える
有給・賞与・退職金がない休めば収入ゼロ。賞与2ヶ月分と退職金も自分で作る
経費と機材を自分で持つPC・ソフト・通信・場所
収入が不安定仕事のない月がある

年収500万円だった人の目標は600〜750万円。会社員と業務委託の手取りの比較は業務委託の手取り計算の記事、独立後の手取りは個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。

請求できる時間は稼働の6〜7割

請求できない時間
営業・提案・見積り新規の打診、提案書、相見積り
事務請求書、契約書、経理、確定申告
学習新しいツール、業界の情報
移動・待ち打ち合わせの移動、返信待ちの中断

月160時間稼働しても、請求できるのは100時間前後。ここを勘定に入れずに時給を決めると、年収が3割足りなくなる。

値付けの3つの型

向く案件注意
時間単価(時給・人日)作業量が読めない、仕様が変わる稼働の証明が要る。追加作業が収入になる
成果単価(1本・1件)慣れた業務。速さが利益になる修正の回数と範囲を先に決める
月額固定(顧問・リテイナー)継続の関係。収入が読める月の枠を取られる。時間単価に直して比べる

月額固定は必ず時間単価に直して確認する。月20万円で月60時間なら時給3,333円で、時間単価の案件より低いことがある。

手取りから逆算する

売上から引かれるものを入れて、手元に残る額を確認する。

売上(年)経費20%税・社会保険料手取りの目安
480万円96万円約90万円約294万円
600万円120万円約120万円約360万円
800万円160万円約170万円約470万円
1,000万円200万円約215万円約585万円

税と社会保険料は所得税・住民税・国民健康保険・国民年金・個人事業税の合計(40歳未満・東京・青色65万円控除)。売上600万円で手取りは約360万円。会社員の年収500万円の手取り(約393万円)に届かない(フリーランスの節税の順番の記事年収別の手取り早見表の記事)。

安い案件を切る判断

判断内容
実質時給を出す報酬÷(作業+修正+打ち合わせの時間)
下限を下回っているか下限は「目標年収÷年間の請求時間」で決めた額
実績・紹介につながるかつながるなら期間を区切って続ける
つながらないなら切る空いた時間を新規の営業に回す

安い案件を持ち続けると、時間が埋まって新しい案件を取れなくなる。値上げの伝え方はフリーランスの単価の上げ方の記事、報酬が支払われない時はフリーランスの報酬未払いの記事で書いた。契約の範囲は業務委託契約書のチェックの記事で書いた。

請求書に書く額

私はフリーランス4年目で、独立の直前は会社員の年収があった。単価は、その年収を月の請求できる時間で割って、1.5倍にした額から始めた。最初の年は相手の提示に合わせて安く受けた案件があり、その案件で時間が埋まって新規の営業ができなかった。翌年に切って、空いた時間で単価の高い案件を取った。下限を決めておかないと、忙しさと収入が比例しなくなる

よくある誤解

「会社員時代の年収と同じ売上があればいい」。社会保険の会社負担・有給・賞与・退職金がない分、1.2〜1.5倍が必要になる。

「稼働時間ぜんぶを請求できる」。営業・事務・学習・移動は請求できない。請求できるのは6〜7割だ。

フリーランス法(2024年11月施行)

発注側には、取引条件の書面明示・納品から60日以内の支払い・7つの禁止行為(減額、買いたたき、返品、不当なやり直しなど。1ヶ月以上の継続取引)・6ヶ月以上なら中途解除の30日前予告と育児介護への配慮・ハラスメント対策が義務づけられた。違反は公取委・中企庁・厚労省に申し出られる。中身はフリーランス法で何が変わったかの記事で書いた。

著作権を全部譲渡してはいけない

著作権法61条2項により、27条(翻案権等)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)は譲渡の目的として特掲されていなければ譲渡した者に留保されると推定される。だから発注側の契約書には必ず「27条及び28条を含む」が入る。著作者人格権は譲渡できないので、不行使条項が置かれる。取りにいくのは利用許諾化・範囲の限定・二次利用の追加報酬・実績公開・氏名表示の5つだ。書き方は著作権を全部譲渡してはいけない理由の記事で書いた。

見積書と請求書の書き方

見積書は宛名・発行日・見積番号・有効期限・件名・内訳・小計消費税合計・備考・自分の連絡先の9項目で、揉める原因は備考(作業範囲・修正回数・別途費用・支払条件)の空欄にある。請求書はインボイスの6項目に加え、源泉徴収の対象なら100万円以下の部分に10.21%の行を作って差引請求額まで書く。項目はフリーランスの見積書と請求書の書き方の記事で書いた。

よくある質問

相場が分からない時はどう決めますか?

同じ職種の求人の年収を、月の稼働時間で割って時給に直す(職種別の平均年収のデータ記事)。それに1.2〜1.5倍したものが、フリーランスの下限の目安になる。

最初の案件は安くても受けるべきですか?

実績と紹介につながるなら、期間か本数を区切って受ける。区切らずに続けると、その単価が既定になる。

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