フリーランスになって、税金が高いことに気づいた。節税の情報は多いが、どれからやれば、いくら減るのかが並んでいない。共済もiDeCoも経費も法人化も、全部やるべきなのかが分からない。
節税は順番だ。節税は順番だ。青色→共済→iDeCo→経費→法人化。所得別の効果の早見表と、順番と、やりすぎの線を書く。
先に一文で。所得500万のフリーランスの年間の税と保険料は、青色65万で25.2万減り、小規模企業共済84万で15.9万、iDeCo90万で16.8万、両方で29.5万、経費50万で17.2万減り、青色は掛金なしで最初、共済とiDeCoは貯金6ヶ月の後、経費は使った分だけ、法人化は所得600〜700万が分岐で、国保は所得控除では減らない。
この記事の要点
- 所得500万|青色25.2万、共済15.9万、iDeCo16.8万、両方29.5万、経費50万で17.2万
- 順番|青色(掛金なし)→貯金6ヶ月→共済→iDeCo→経費の適正化→法人化
- 国保は所得控除では減らない。減らすのは青色と経費だけ
- 共済とiDeCoは積立。手元の現金は掛金−節税分だけ減る
所得別の節税額の早見表(年間の税と保険料の減り幅)
事業所得=売上−経費。令和8年分の税制、東京23区の国民健康保険、40歳未満、国民年金月17,920円で私が計算した。税と保険料は所得税・住民税・国保・国民年金・個人事業税の合計。
| 事業所得 | 青色時の税と保険料の合計 | 手取り | 白色→青色65万 | 共済 月7万(年84万) | iDeCo 月7.5万(年90万) | 共済+iDeCo | 経費を50万増やす |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 69.1万円 | 230.9万円 | 16.2万円 | 12.5万円 | 13.1万円 | 18.1万円 | 12.9万円 |
| 400万円 | 98.9万円 | 301.1万円 | 17.8万円 | 12.7万円 | 13.6万円 | 26.1万円 | 14.9万円 |
| 500万円 | 132.0万円 | 368.0万円 | 25.2万円 | 15.9万円 | 16.8万円 | 29.5万円 | 17.2万円 |
| 600万円 | 175.6万円 | 424.4万円 | 25.0万円 | 22.4万円 | 23.7万円 | 40.6万円 | 26.4万円 |
| 800万円 | 263.5万円 | 536.5万円 | 25.0万円 | 25.6万円 | 27.4万円 | 52.9万円 | 21.7万円 |
| 1,000万円 | 344.1万円 | 655.9万円 | 22.4万円 | 27.4万円 | 29.2万円 | 54.7万円 | 20.2万円 |
所得500万の内訳は、国保51.5万・所得税16.4万・住民税32.1万・事業税10.5万・国民年金21.5万。国保が所得税の3倍重い。手取りの元の表は個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。
読み取れること
1、青色申告は掛金なしで最も効く。所得500万で25.2万。所得税と住民税だけでなく、合計所得が65万下がるので国保も減る。条件は承認申請・複式簿記・e-Taxの3つ(青色申告と白色申告の違いの記事)。
2、共済とiDeCoは所得が高いほど効く。所得300万で12〜13万、800万で25〜27万。税率が5%→20%→23%と上がるからだ。ただし国保は減らない。
3、経費50万は所得500万で17.2万減るが、審査で不利になる。国保と事業税も減るので効きは大きいが、所得が下がった分だけ賃貸・ローン・カードの審査で収入が低い人になる(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。
4、所得600〜700万で法人化が並ぶ。維持費30万を払っても法人が上回り、所得800万で+33万、1,000万で+62万(法人化のタイミングの記事)。
やる順番
| 順 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 青色申告65万(承認申請・会計ソフト・e-Tax) | 掛金なし。国保も減る |
| 2 | 貯金を生活費6ヶ月分にする | 共済もiDeCoも手元に戻らない。先に緊急資金 |
| 3 | 小規模企業共済(月1,000円〜7万) | 掛金は変えられ、廃業時に退職金として受け取れる。貸付も使える(小規模企業共済の記事) |
| 4 | iDeCo(月5,000円〜7.5万、2026年12月分から) | 60歳まで引き出せない。共済より後(iDeCoの上限引上げと節税額の記事) |
| 5 | 経費の適正化(家事按分・漏れの回収) | 事業に使った分を漏らさず入れる。増やすのでなく、正しく入れる(個人事業主の経費はどこまでかの記事) |
| 6 | 法人化の検討(所得600〜700万超) | 社会保険と法人税率の差で年10〜60万 |
共済とiDeCoは、税が29.5万減っても現金は144万減る。順番を守らないと、資金繰りで解約して元本割れする。
国保だけは所得控除で減らない
国民健康保険の保険料は、合計所得(売上−経費−青色控除)から43万を引いた額で決まる。共済・iDeCo・生命保険料・扶養などの所得控除は関係ない。国保を減らすのは、青色控除・経費・法人化(協会けんぽに変わる)の3つだけだ。所得500万の国保51.5万は、税より重い。対策は国民健康保険が高い時の対策の記事で書いた。
やりすぎの線
- 経費|事業に使っていない支出を入れるのは脱税。税務調査で追徴と加算税。プライベートの割合が多い支出は家事按分で事業分だけ
- 共済・iDeCo|貯金6ヶ月分がない状態で満額にしない。共済は20年未満の任意解約で元本割れ、iDeCoは解約不可
- 法人化|所得500万以下では維持費で逆転する。役員報酬を低くして法人に残す形は、私用に使う時に課税される
私は独立してから、青色申告→会計ソフトに口座連携→小規模企業共済→iDeCoの順で入れた。最初の年に共済とiDeCoを満額にしなかったのは、翌年に来る住民税と国保の額が読めなかったからだ。2年目に税と保険料の年間額が分かってから、掛金を上げた。順番を守れば、節税で資金繰りを壊すことはない。年金の見込みは年金は平均いくらもらえるかのデータ記事、独立後のお金の全体は独立・副業・お金の完全ガイドで書いた。
よくある誤解
「共済とiDeCoを満額にすれば税金がほぼ消える」。所得500万で両方満額にしても減る税は29.5万で、国保51.5万は1円も減らない。
「経費を増やすほど得」。減る税より、審査で使える所得が減る損が大きい年がある。事業に使った分を正しく入れるのが上限だ。
フリーランスに税理士は必要か
税理士の費用は確定申告だけで5〜15万、個人の顧問で年20〜45万、法人で年40〜90万。売上1,000万以下の免税事業者で取引が単純なら会計ソフトで足り、頼むのは消費税の課税事業者・法人化・税務調査・売上の急増の時。記帳は自分でやり申告だけ頼めば費用は半分になる。相場と線はフリーランスに税理士は必要かの記事で書いた。
フリーランスの消費税はいつから払うか
消費税は2年前の売上1,000万超で課税、前年上半期1,000万超(売上も給与も)なら翌年から、インボイス登録なら登録日から課税になる。納税額は本則(受取−支払)・簡易(サービス業は受取の50%)・2割特例(受取の20%、2026年9月まで)で、売上1,200万のサービス業なら90万・60万・24万。判定と手順はフリーランスの消費税はいつから払うかの記事で書いた。
フリーランスが病気で働けなくなった時
フリーランスには傷病手当金がなく、国保から出るのは高額療養費だけ。使えるのは国保の減免・国民年金の免除・小規模企業共済の貸付・限度額適用認定証・障害年金で、民間は免責の短い所得補償保険を貯金6ヶ月分ができるまで先に入れる。生活費6ヶ月は税と保険料の後払い分と別に作る。備えの順番はフリーランスが病気で働けなくなったらの記事で書いた。
よくある質問
生命保険料控除やふるさと納税は?
生命保険料控除は最大12万の所得控除で、所得500万なら年2〜3万の効果。ふるさと納税は税が減るのでなく、寄附額−2,000円が翌年の住民税から引かれ返礼品が残る形で、上限は所得で決まる(ふるさと納税の記事)。どちらも共済とiDeCoの後でいい。
法人化すれば国保がなくなりますか?
協会けんぽと厚生年金に変わる。役員報酬を低くすれば社会保険料は最低額で済み、それが法人化の差の主な部分だ。詳しくは法人化のタイミングの記事で書いた。
独立の資料をLINEで無料配布中
自分の事業所得から、青色・共済・iDeCo・経費の節税額と手元の現金の減り幅を出して、順番と掛金を決める記入表を公式LINEで無料配布している。節税の額でなく、順番と現金で決めよう。

