初めて見積書を出す。テンプレートを落としてきたが、備考欄に何を書けばいいのか分からない。請求書も、インボイスとか源泉徴収とか、埋めるべき行が多すぎる。
備考欄が空だと、後で揉める。見積書に修正回数を書かないと、無限にやり直しになる。見積書の9項目と、請求書の6項目を全部埋める。
先に一文で。見積書は宛名・発行日・見積番号・有効期限・件名・内訳・小計消費税合計・備考・自分の連絡先の9項目で、トラブルの元は備考(作業範囲・修正回数・別途費用・支払条件)の空欄、請求書はインボイスの6項目+源泉徴収10.21%の行を作って差引請求額まで書く。
この記事の要点
- 見積書は9項目。効くのは有効期限と修正回数の2行
- 内訳を一式でまとめない。追加分の見積が出せなくなる
- 請求書のインボイス6項目|登録番号/取引年月日/内容/税率ごとの対価と税率/税率ごとの消費税額/相手の名称
- 消費税の端数処理は1請求書につき税率ごとに1回
- 源泉徴収|100万円以下は10.21%。差引請求額まで書く
見積書の9項目
| # | 項目 | 注意 |
|---|---|---|
| 1 | 宛名 | 会社名+部署+担当者名。御中と様は重ねない |
| 2 | 発行日 | |
| 3 | 見積番号 | 連番にする(後で照合できる) |
| 4 | 有効期限 | 発行から2週間〜1ヶ月。書かないと半年後に同じ額で発注される |
| 5 | 件名 | |
| 6 | 内訳 | 作業ごとに数量・単価・金額。一式でまとめない |
| 7 | 小計・消費税・合計 | |
| 8 | 備考 | ここが空だと揉める(下記) |
| 9 | 自分の氏名・住所・連絡先・振込先 |
備考に必ず書く4つ
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 作業範囲 | 「トップページ1枚のデザイン(PSD納品)。コーディングは含みません」 |
| 修正回数 | 「修正は3回まで。以降は1回あたり◯◯円」 |
| 含まれないもの | 撮影、素材の購入、コーディング、公開後の運用 |
| 支払条件 | 「納品後◯日以内」または「月末締め翌月末払い」 |
有効期限と修正回数、この2行を書くかどうかで同じ案件の労力が倍近く変わる。単価の出し方はフリーランスの単価の決め方の記事で書いた。
支払条件は60日以内で書く
取適法(旧・下請法)とフリーランス法は、代金の支払期日を受領後60日以内に定めることを発注側に義務づけている。だから見積書と契約書に自分から60日以内の条件を書いておく。書かないと「月末締め翌々月末払い」が当然のように出てきて、納品から90日開くことがある(取適法の4義務と11の禁止行為の記事、フリーランス法で発注者に課される義務の記事)。
請求書(インボイス)の6項目
| # | 項目 |
|---|---|
| 1 | 発行者の氏名または名称と登録番号 |
| 2 | 取引年月日 |
| 3 | 取引の内容(軽減税率の対象ならその旨) |
| 4 | 税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 |
| 5 | 税率ごとに区分した消費税額等 |
| 6 | 交付を受ける事業者の氏名または名称 |
消費税の端数処理は、1つの請求書につき税率ごとに1回だけ。明細の行ごとに端数処理をするのは認められない。登録していない場合は登録番号のない請求書になり、相手は原則として仕入税額控除ができない(インボイス制度をわかりやすくの記事)。
源泉徴収がある場合の書き方
原稿料、デザイン料、講演料、翻訳料など、所得税法で定められた報酬・料金を個人に支払う場合、支払う側に源泉徴収の義務がある。
| 支払金額 | 税率 |
|---|---|
| 100万円以下の部分 | 10.21% |
| 100万円を超える部分 | 20.42% |
請求書は、この順で行を作る。
| 行 | 例(10万円の案件) |
|---|---|
| 小計 | 100,000円 |
| 消費税(10%) | 10,000円 |
| 合計 | 110,000円 |
| 源泉徴収税額 | △10,210円 |
| 差引請求額 | 99,790円 |
実際に振り込まれる額まで書いておくと、双方の確認が早い。源泉徴収された分は前払いした所得税なので、確定申告で精算され、払いすぎていれば還付される(フリーランスの確定申告のやり方の記事)。
書類の流れ
| 順番 | 書類 | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | 見積書 | 自分 |
| 2 | 発注書(注文書) | 相手。取適法・フリーランス法で明示は義務 |
| 3 | 納品書 | 自分 |
| 4 | 検収(検収書) | 相手 |
| 5 | 請求書 | 自分 |
2が来ないまま作業を始めない。口頭の発注だけで作業させるのは違反だ。来なければ、こちらから「発注内容の確認」としてメールを送り、返信をもらって記録にする。未払いになった時の動き方は報酬が未払いの時の記事で書いた。
保存の義務
作った書類は、確定申告の後7年間(青色申告の場合)保存する。電子で受け取った請求書は電子のまま保存する(電子取引のデータ保存)。会計ソフトを使うと、この保存が自動になる(会計ソフトの比較の記事)。
私の場合
私はフリーランス4年目で、最初の1年は見積書の備考欄が空だった。その結果、修正が5回・6回と続いても断れず、時給に直すとバイト以下になった案件がある。修正回数を書き始めてから、その揉め方は消えた。書いてあるかどうかで、相手の出し方も変わる。テンプレートの穴は、経験ではなく1行で埋まる。
よくある誤解
「見積書に有効期限は要らない」。書かないと、値上げした後も古い額で発注されることがある。
「源泉徴収されたら損」。前払いの所得税。確定申告で精算される。
よくある質問
消費税は請求していいですか?
免税事業者でも消費税を含めて請求できる。ただし相手がインボイスを求める場合は、登録の有無で扱いが変わる。
見積書に印鑑は要りますか?
法律上は不要。電子で送るなら、PDFにして氏名と連絡先が入っていれば足りる。
独立の資料をLINEで無料配布中
見積書の9項目と備考の4つ、請求書のインボイス6項目と源泉徴収の行をそのまま埋められる記入表を公式LINEで無料配布している。備考欄を、空のままにしない。

