独立して、パソコンとモニターとカメラを買った。全部で40万円ほど。これは今年の経費にできるのか、それとも何年かに分けるのか。開業前に払ったスクール代やドメイン代はどうなるのか。
線は3つある。10万・20万・30万。3つの線で経費の落とし方が変わる。減価償却の線引きと、開業費の使い方を書く。
先に一文で。取得価額10万円未満(または使用可能期間1年未満)は全額その年の経費、10万〜20万未満は一括償却資産で3年に3分の1ずつ、10万〜30万未満は青色申告者なら年300万円まで一括(適用期間の期限は確認)、それ以上は耐用年数で定額法、開業費は任意償却で好きな年に好きな額を落とせる。
この記事の要点
- 10万円未満(または使用可能期間1年未満)|全額その年の経費
- 10万〜20万未満|一括償却資産。3年で3分の1ずつ
- 10万〜30万未満|青色申告者は年300万円まで一括(適用期間の期限を確認)
- それ以上|耐用年数で定額法(パソコン4年、カメラ5年、普通車6年)
- 開業費は任意償却。黒字の年にまとめて落とせる
3つの線
| 取得価額 | 落とし方 | 条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満(または使用可能期間1年未満) | 全額をその年の必要経費 | なし |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産。合計額の3分の1を3年間 | なし。償却資産税の対象外 |
| 10万円以上30万円未満 | 少額減価償却資産の特例。合計300万円までその年の経費 | 青色申告者。国税庁が示す適用期間は令和8年3月31日までの取得(延長されてきた経緯があるので最新を確認) |
| 30万円以上 | 法定耐用年数で分割 | 個人の原則は定額法 |
取得価額の判定に消費税を含めるかは、自分の経理方式による。税込経理なら税込みの額、税抜経理なら税抜きの額で判定する(免税事業者は税込経理)。青色申告の要件は青色申告と白色申告の違いの記事で書いた。
主な耐用年数
| 資産 | 耐用年数 |
|---|---|
| パソコン(サーバー用を除く) | 4年 |
| カメラ | 5年 |
| 普通自動車 | 6年 |
| 軽自動車 | 4年 |
| 事務机(木製) | 8年 |
| 事務机(金属製) | 15年 |
| ソフトウェア(自社利用) | 5年 |
財務省令の別表に定められている。業務に使う割合が100%でない場合(自宅兼事務所のパソコン等)は、その割合で按分する(個人事業主の経費はどこまでの記事)。
40万円の買い物をどう分けるか
| 買ったもの | 額 | 扱い |
|---|---|---|
| パソコン | 24万円 | 青色なら特例で一括(30万円未満) |
| モニター | 6万円 | 全額その年の経費(10万円未満) |
| カメラ | 12万円 | 青色なら一括、または一括償却資産で3年 |
1台ごとに判定する。合計で40万円でも、1台ずつが線を下回っていれば分けて落とせる。
開業費は任意償却が強い
開業前の準備に使った費用は、開業費という繰延資産にできる。しかも任意償却なので、好きな年に好きな額を経費にできる。
| 開業費になるもの | 開業費にならないもの |
|---|---|
| 市場調査費 | 10万円以上の備品・パソコン(固定資産) |
| 打ち合わせの交通費・飲食費 | 敷金(資産) |
| 名刺・チラシの作成費 | 家賃・水道光熱費(開業後の経費) |
| ホームページの制作費(一定額未満) | 商品の仕入れ(売上原価) |
| 開業に向けた研修・セミナー費 | |
| 開業までの広告宣伝費 |
使い方が肝心。1年目が赤字なら開業費を落とさずに置いておき、黒字が出た年にまとめて経費にすると、税率の高い年の負担を下げられる。青色申告なら赤字を3年繰り越せるので、それと組み合わせる。
何年前まで遡れるかに明確な決まりはないが、開業のための支出だと説明できる範囲に限られる。領収書と、何のために使ったかのメモを残す。開業届の出し方は開業届の出し方の記事で書いた。
買うタイミング
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 今年が黒字で、来年は読めない | 今年のうちに買って落とす |
| 今年が赤字 | 急がない。来年以降に回す(赤字の年に落としても効果が薄い) |
| 30万円を少し超えそう | 構成を分ける(本体とモニターを別に買う等)。無理に落とさない |
節税の順番全体はフリーランスの節税の順番の記事、手取りへの効き方は個人事業主の手取り早見表の記事で書いた。
私の場合
私は独立の前に、スクール代・ドメイン代・名刺・打ち合わせの交通費を払っていた。これを開業費にできると知らずに、1年目に全部落とそうとしたことがある。実際は任意償却なので、売上が伸びた年に落としたほうが効いた。慌てて全部落とす必要はない。経費は、税率が高い年に当てるのが基本だ。
よくある誤解
「30万円未満なら誰でも一括で落とせる」。青色申告者の特例で、年300万円まで。適用期間の期限も定められている。
「開業費は1年目に全部落とす」。任意償却。黒字の年に回したほうが効く。
よくある質問
一括償却資産と少額減価償却資産の特例はどちらが得ですか?
一括で落とせる分、特例のほうが有利なことが多い。ただし一括償却資産は償却資産税の対象にならない利点がある。額が大きいなら両方の総額で比べる。
中古で買った場合の耐用年数は?
法定耐用年数より短くなる(簡便法で計算する)。中古の4年落ちの車が節税に使われるのはこのためだ。
独立の資料をLINEで無料配布中
買ったものを10万・20万・30万の線で振り分けて、開業費と合わせてどの年に落とすかを決める記入表を公式LINEで無料配布している。経費は、税率が高い年に当てよう。

