初めての転職の年、総務から年末調整の書類一式が配られた。例年と同じ顔をした書類だが、前職の分はどうなるのか。書き方を間違えて、税金で損をしないか。
安心していい。あなたの追加作業は、前職の源泉徴収票を出すことだけ。合算の計算は会社の仕事だ。迷いやすい3箇所と、例外パターンだけ押さえよう。
この記事の要点
- 転職年の年末調整は、現職が前職分と合算して計算してくれる
- あなたの追加ミッションは、前職の源泉徴収票の提出のみ
- 申告書の書き方は例年と同じ。前職の数字を自分で書く欄は基本ない
- 年内に2社目の給与がない・副業がある等は、確定申告のパターンになる
仕組みを30秒で。なぜ源泉徴収票が要るのか
所得税は1月〜12月の年収全体に対して決まる。転職した年のあなたの年収は、前職分+現職分の合計だ。現職の会社が年末調整でこの合計を精算するには、前職でいくら払われ、いくら源泉徴収されたかの証明が要る。それが前職の源泉徴収票になる。
だから提出は必須で、そして提出さえすれば、合算も過不足の計算も全部会社側の処理だ。転職年だからといって、あなたが特別な計算をする欄はない。
源泉徴収票は退職後1ヶ月以内に前職から交付されるのが決まりで、手元にないなら請求する。時期と必要性の全体は源泉徴収票は転職でいつ必要か、くれない場合の税務署ルートはもらえない時の対処で書いた。
書き方で迷う3箇所。ここだけ見ればいい
1、扶養控除等申告書。例年通り、現時点の扶養の状況を書く。転職による特別な欄はない。入社時に一度書いている場合も、年末調整のタイミングで最新の内容に更新して出す。
2、保険料控除申告書。生命保険・地震保険などの控除証明書を添えて書く。ここも例年通りだ。注意は1つで、転職の空白期間に自分で払った国民年金・国民健康保険の保険料があれば、社会保険料控除の欄に記入できる。払った額の分だけ税金が下がるので、書き忘れが一番もったいない箇所になる。空白期間の保険の扱いは転職の空白期間の社会保険で書いた通りだ。
3、前職分の記入欄。申告書に前職の収入を自分で書く欄は基本なく、源泉徴収票の原本を添付(または提出)すれば足りる。会社指定の提出方法(原本・データアップロード)に従えばいい。
確定申告になる4パターン。自分が該当するかだけ確認
年末調整で完結せず、翌年の確定申告(例年2月16日〜3月15日)が必要になるのは、主にこの4つだ。
- 源泉徴収票が年末調整に間に合わなかった。現職分だけで調整され、前職分は自分で申告して精算する
- 年の途中で退職して、年内に再就職していない。年末調整をしてくれる会社が存在しないので、自分で申告する(払いすぎた税金が戻ることが多い)
- 副業などの給与外の所得が一定額を超える。転職と無関係に申告対象だ
- 医療費控除・ふるさと納税(ワンストップが使えないケース)・住宅ローン初年度など、年末調整で扱えない控除を使う
どれも、確定申告になったから損をするわけではない。税額は同じで、精算の窓口と時期が変わるだけだ。落ち着いて期限内に出せばいい。
年末調整の後に来るもの。住民税の変化も知っておく
年末調整が終わると、12月か1月の給与で所得税の過不足が精算される(戻る人が多い)。そしてもう1つ、転職年の後には住民税の徴収方法の変化が続く。前職での特別徴収が退職でどう切り替わり、現職でいつから再開されるかは、転職と住民税の特別徴収・普通徴収が担当だ。
給与明細の税金欄が転職前後で動くのは、ほぼこの2つ(年末調整の精算と住民税の切り替え)で説明がつく。明細の変動に驚いたら、まずこの2つを疑うと覚えておくといい。
よくある誤解
「前職の源泉徴収票を出すと、退職理由や評価まで現職に伝わる」。伝わらない。源泉徴収票に載っているのは支払額・源泉徴収税額・社会保険料などの数字だけで、退職理由や人事評価の情報は一切ない。安心して出していい。
「転職年は必ず確定申告が必要だ」。逆で、源泉徴収票を出して年末調整が済めば、大半の人は確定申告不要で完結する。確定申告は上の4パターンに該当する人だけの話だ。
よくある質問
年内に3社(前職→短期の会社→現職)を経験しました。源泉徴収票は?
年内に給与のあった全社分を現職へ提出する。2枚でも3枚でも、合算の考え方は同じだ。短期の会社の分をもらい忘れていることが多いので、退職済みの全社に請求を出しておく。
前職の年末に賞与だけもらって転職しました。これも合算対象ですか?
対象だ。同じ年に支払われた給与・賞与はすべて合算される。賞与のみの支払いでも源泉徴収票は発行されるので、忘れず提出する。
転職の資料をLINEで無料配布中
転職年の年末調整チェックリスト(提出物・控除の漏れ確認)を公式LINEで無料配布している。転職年の税金は、書類1枚出せば会社が締めてくれる。あなたは取りこぼしだけ拾えばいい。


