転職先から「源泉徴収票を提出してください」と言われた。手元にない。そもそも何のために要るのか。いつ、どの場面で、何枚必要なのか。
先に全体を言う。源泉徴収票が要る場面は主に4つ。一番大事なのは転職先の年末調整だ。場面別の一覧→入手の仕方→トラブル対応の順で、この1本で全部片付ける。
この記事の要点
- 同じ年に前職の給与がある転職では、転職先への提出がほぼ必須だ
- 提出期限の実務は11月中。年をまたいだ入社なら提出不要になる
- 前職は退職後1ヶ月以内の発行が原則。くれないなら税務署ルートがある
- 失業手当・住宅ローン・保育園の手続きでも出番がある。捨てないことだ
そもそも何の書類か。30秒で
源泉徴収票は、1年間にその会社が払った給与の総額と、天引きした所得税額を証明する書類だ。退職時(退職後1ヶ月以内が原則)と、毎年12月〜1月に発行される。
税金は1年単位で精算される。年の途中で会社が変わると、前職の給与を知らないと転職先が正しい精算(年末調整)をできない。これが転職で源泉徴収票が要る理由の中心だ。数字の欄の読み方は源泉徴収票の見方で書いたから、この記事は「いつ・どこに要るか」に絞る。
場面1。転職先の年末調整(一番多い)
同じ年のうちに退職→入社した人は、前職の源泉徴収票を転職先に提出する。転職先は前職分と自社分を合算して年末調整をしてくれ、あなたの確定申告は不要になる。
- 提出先|転職先の人事・経理
- 時期|入社時か、年末調整の書類提出時(10〜11月)。遅くとも11月中が実務の目安だ
- 枚数|1枚。同じ年に2社以上を経ている場合は全社分
注意が2つある。1、年をまたいだ入社なら提出不要だ。12月退職→1月入社のような場合、前年分の精算は転職先の年末調整の対象外で、必要なら自分で確定申告する。2、発行が間に合わないなら早めに申告する。前職の発行遅れで11月に間に合わない場合、転職先に事情を伝えた上で、最悪は自分の確定申告に切り替える形になる。
場面2。自分での確定申告
年内に再就職しなかった人、転職先の年末調整に間に合わなかった人は、翌年2〜3月の確定申告で源泉徴収票の数字を使う。退職して無職の期間がある年は、税金が戻る側になることが多い。仕組みは年末調整の前に退職した場合で書いた通りだ。
いまの申告は源泉徴収票の添付自体は不要になっているが、数字の転記に現物が要るから、手元にない状態では進まない。医療費控除やふるさと納税で申告する年も同じだ。
場面3と4。公的手続きと審査ごと
転職の前後で意外と出番があるのが、この2系統だ。
公的手続き系。
- 失業手当の関連手続き|収入の証明を求められる場面がある
- 保育園の入園・継続手続き|自治体への収入証明として、源泉徴収票か課税証明書を求められる
- 国民健康保険料の減免申請|前年収入の証明に使うことがある
審査系。
- 住宅ローン・自動車ローンの審査|年収証明として提出を求められる定番だ
- 賃貸契約の審査|転職直後の引っ越しでは、前職の源泉徴収票が収入証明になる
つまり源泉徴収票は、年末調整で使って終わりの紙ではない。提出用に出しても、控えかコピーを数年分保管しておくのが正解だ。
入手の仕方。もらえない・失くした時の手順つき
通常ルート。退職時に「源泉徴収票はいつ発行されますか」と確認しておく。原則は退職後1ヶ月以内の発行義務があるが、実務では請求しないと動かない会社もある。届かなければ、人事・経理へメールで請求する。
くれない場合。それでも発行されないなら、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を出す。税務署から会社へ行政指導が入る仕組みで、悪質な会社への一番効く手だ。会社が倒産して物理的に取れない場合も、この届出と給与明細で確定申告を進める運用がある。退職書類全般の請求の仕分け(会社が出す書類と役所経由の書類の違い)は退職証明書と離職票の違いにまとめてある。
失くした場合。再発行は前職に依頼できる。義務の範囲なので気まずくても頼んでいい。メール1本、「源泉徴収票を紛失してしまったため、再発行をお願いできますでしょうか」で済む話だ。
提出前に30秒だけ見ておく数字
転職先に出す前に、1箇所だけ自分でも見ておくといい。「支払金額」の欄だ。
これが前職の年収(額面)で、転職先の人事があなたの前職給与を知る数字でもある。ここで慌てる人が毎年いるが、源泉徴収票の提出で前職年収が転職先に伝わるのは、制度上避けられない。年収を盛って交渉していた場合にここで矛盾が出る、という順番になっている。逆に言えば、条件交渉は最初から源泉徴収票と整合する数字でやるのが、唯一安全な進め方なんよ。
時期別の早見。自分の状況で要否を判定する
自分がどのパターンかで、やることは1つに決まる。退職と入社の時期で引くのが一番早い。
- 3月退職→4月入社(年内転職の典型)|前職の源泉徴収票を転職先へ提出。年末調整は転職先がやる。あなたの作業は提出だけだ
- 6月退職→9月入社(間に無職期間あり)|提出は同じ。加えて、無職期間に自分で払った国民年金・国民健康保険の控除証明を年末調整に出すと、税金が戻る側に働く
- 10〜11月退職→12月入社|年末調整の締めに間に合うかが会社次第になる。入社時に人事へ源泉徴収票の到着見込みを伝え、間に合わなければ自分で確定申告に切り替える
- 12月退職→1月入社(年またぎ)|転職先への提出は不要。前年分は自分で確定申告する(還付側になることが多い)
- 退職して求職中|提出先はまだない。失業手当・保険料減免などの手続きに備えて保管し、翌年2〜3月に確定申告する
迷ったら、「同じ年の1〜12月に、いまの会社以外からの給与があるか」という1問だけで判定できる。あるなら合算が必要で、源泉徴収票の出番になる。ないなら不要だ。
よくある質問
アルバイトや副業分の源泉徴収票も転職先に出すべきですか?
本業の転職先で合算できるのは給与所得で、副業分を会社に知られたくない場合は自分で確定申告する選択がある。出す義務の範囲は会社の案内と自分の方針で決めればいいが、申告自体は漏らさないことだ。
源泉徴収票はいつ捨てていいですか?
確定申告の書類保存の目安に合わせて、最低5年は保管しておくと安全だ。ローン審査や公的手続きで過去分を求められることがあるため、データ化して残しておけば場所も取らない。
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