年末に配られる源泉徴収票。数字がいくつも並んでいるのに、見るのは一番大きい数字だけで、あとは机の引き出しに直行。毎年そうしていないか。
転職を考え始めたなら、この紙の読み方が変わる。源泉徴収票は、あなたという商品の値札だ。転職市場で自分がいくらの人間として扱われるかは、この紙の数字から始まる。
この記事の要点
- 見るべき欄は4つ。支払金額・給与所得控除後・所得控除・源泉徴収税額
- 転職市場の「年収」は支払金額の欄。手取りと混同すると交渉で損をする
- 転職先への提出は年末調整のため。退職時に必ず受け取る
- 支払金額が市場の相場とずれていないかを測るのが、転職準備の第一歩だ
4つの欄の意味。1分で読めるようになる
源泉徴収票の主要な欄は4つで、左から右へ、金が減っていく順に並んでいる。
| 欄 | 意味 | 一言でいうと |
|---|---|---|
| 支払金額 | 会社があなたに払った総額 | 額面年収。市場で言う「年収」 |
| 給与所得控除後の金額 | 支払金額から概算経費を引いた額 | 税計算の途中の数字 |
| 所得控除の額の合計額 | 社会保険料や扶養などの控除合計 | あなたの事情による割引 |
| 源泉徴収税額 | 天引きされた所得税の年額 | 今年払った所得税 |
実務で使うのは両端の2つだ。支払金額があなたの額面年収。源泉徴収税額が払った所得税。真ん中の2つは税金の計算過程で、転職の場面ではほぼ使わない。
1つだけ注意がある。支払金額には、通勤手当(非課税分)は入っていない。だから通勤手当込みの感覚年収より、支払金額は少し小さく見えることがある。逆に、残業代と賞与は全部入っている。
手取りと額面を混同すると、転職で二重に損をする
この紙が一番役に立つのは、手取りの感覚と額面の数字を切り分ける場面だ。
面接で「現在の年収は」と聞かれて、手取りの月収×12で答えてしまう人が実際にいる。額面550万の人が手取り感覚で430万と答えたら、提示年収の基準が120万低いところから交渉が始まる。逆に、求人票の想定年収を手取りと勘違いして入社し、初任給の振込額で青ざめるパターンもある。
覚え方は1つでいい。社外との会話はすべて支払金額(額面)で行われる。求人票も、面接も、オファー面談も、内定通知書も、全部額面の言葉で書かれている。手取りはあなたの家計の中だけの言葉だ。
賞与がない会社との比較で額面をどう読むかはボーナスなしの会社は辞めるべきかに書いた。月給が高く見えて年収では負けている求人を見抜くにも、この額面の感覚が要る。
転職の実務で源泉徴収票が出てくる3つの場面
転職を進めると、この紙は3回登場する。
1回目は、退職時。その年の1月から退職日までの分の源泉徴収票が、退職後1ヶ月以内に交付される。これは所得税法上の会社の義務で、くれない会社には請求していい。捨てるな。次の会社が必ず使う。
2回目は、転職先の年末調整。年の途中で入社した場合、転職先は前職分と合算して年末調整をする。その根拠として前職の源泉徴収票の提出を求められる。出せないと自分で確定申告する羽目になる。
3回目は、年収の証明。オファー面談の前後で、現年収の証明として源泉徴収票の提出を求める会社がある。ここで数字を盛っていた人は詰む。面接で答える現年収は、最初から支払金額の実額で答えておくのが唯一の安全策だ。
値札を読んだら、相場と比べろ
ここまでで、自分の値札は読めるようになった。転職を考えるなら、次の一歩はその値札が市場の相場とずれていないかの確認だ。
支払金額が同年代・同職種の相場より低いなら、それは今の会社の給与水準の問題で、あなたの能力の問題ではない可能性がある。逆に相場より高いなら、安易な転職は年収を下げる。どちらなのかを知らずに動くのが、一番危ない。
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受けた後の流れ|① 設問に答える(数分) → ② その場で適正年収の目安が表示される → ③ 結果だけ持ち帰ってもいい
源泉徴収票の実額と、診断の適正年収。2つの数字の差が、あなたが転職で動かせる金額の目安になる。差が大きいほど、動く価値がある。年収が下がってきている人は、その原因の切り分けを年収が下がる理由に書いたから合わせて読んでほしい。
交渉の場では、この紙が最強の根拠になる
最後に、攻めの使い方を1つ。
オファー面談での年収交渉は、感覚の希望額を言っても通らない。通るのは根拠のある数字だ。そして源泉徴収票は、あなたの現年収の動かぬ証拠であり、「現年収がこの額なので、これを下回る転職は考えていない」という交渉の土台になる。
支払金額に、直近の昇給が反映されていない場合(昇給が年の途中だった場合)は、直近の給与明細×12+賞与実績で補正した数字を添えればいい。紙の数字を土台に、最新の実態で補正する。この2段構えが、嘘なしで一番強い言い方になる。具体的な交渉の台本は年収交渉の台本にそのまま使える形で置いてある。
年末調整の紙が配られたら、今年は捨てる前に4つの欄を読んでほしい。自分の値札を読めるようになった人から、値札は上げられるようになるんよ。
よくある読み間違い3つ
源泉徴収票の相談で、実際によく見る読み間違いも潰しておく。
1つ目、退職した年の紙が2枚になるケース。年の途中で転職すると、前職分の源泉徴収票と、転職先で年末調整された源泉徴収票が存在する。転職先の紙の支払金額に前職分が合算されていれば、その1枚があなたの年収だ。合算されていない場合(提出が間に合わなかった場合)は、自分で確定申告して合算することになる。
2つ目、住民税が入っていると思い込むケース。源泉徴収票に載っている税額は所得税だけだ。住民税は翌年に別途課税されるから、この紙のどこにも出てこない。手取りの計算をする時に住民税を忘れると、月2〜3万円ずれる。
3つ目、支払金額を12で割って月収と比べるケース。支払金額には賞与が含まれているから、12で割っても月給にはならない。月給ベースの求人と比較する時は、賞与を引いてから割るか、最初から年収同士で比べる。比較の単位を揃える。これだけで求人票の読み精度が変わる。
よくある質問
源泉徴収票の支払金額が自分の年収ですか?
そうだ。転職市場で言う年収は支払金額(額面)を指す。手取りではない。面接でもオファー面談でもこの数字で話す。
転職先に源泉徴収票を出すのはなぜですか?
年末調整のためだ。年の途中の転職では前職分と合算する必要があり、根拠書類として求められる。退職時に受け取り保管しておく。
源泉徴収票はいつもらえますか?
退職後1ヶ月以内の交付が会社の義務だ。届かなければ請求する。それでも出ない場合は税務署に不交付の届出書を出す手段がある。
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